夫の海外赴任が突然決まり、「お金」に関する悩みに直面するプレ駐在妻。そして、海外生活をスタートさせた後にも、「お金」の悩みを抱えながら日々過ごしている駐在妻。
FP資格を持つ駐在妻たちによる、駐在妻のための”Global FP Salon” では、こうした悩みを解決し、ライフプランニングを考える際のヒントをお伝えしていきます。



「今の家計の状況を知る」ためのステップ、今回が最終回となりました。

ステップ④「家計のバランスシートを作成してみよう」

皆さんは、「バランスシート(貸借対照表)」という言葉をご存知ですか? もともとは、企業が株主などに財政状態を開示するため作成するものですが、家計においてもバランスシートを作成すれば、資産や負債などの状況が一目でわかるようになります。
また、年間の収入や支出を大まかに把握するだけでなく、バランスシートを作成することにより、家計の実態がより一層わかりやすくなります。さらに、家計管理に役立てるだけでなく、家計における問題点や対応策を考えやすくなります。実態を知って、漠然とした不安を解消しましょう。

バランスシートを作成する際に注意するべき点は、以下の通りです。
・表の左側に資産、右側に負債を記入する
・資産に入るのは、現金・預貯金・株式や債券などの有価証券・貯蓄型保険・自宅・自動車など
・負債に入るのは、住宅ローン・自動車ローン・返済の必要な奨学金など
・資産合計(表の左側)と、負債及び純資産額の合計(表の右側の合計)の左右の額が等しくなる


資産と負債の差が本当の意味での資産といえる「純資産」となります。資産をすべて売却し、借金をすべて返済した場合、手元に残る金額が「純資産」と考えると分かりやすいでしょう。

バランスシートは、「ある一時点」の家計の資産と負債の状況を分かりやすく示すためのものであるため、本来であれば、資産も負債も同じ時点での情報にする必要があります。しかし、そこまで厳密に計算しなくてもよいでしょう。例えば、株式や投資信託などは時価を確認する必要がありますが、金融機関から送付される取引残高報告書などを利用してもよいでしょうし、自宅や自動車などについても取得時から価値が変動しているので、現時点でのおおよその額で構いません。例えば、マンションであれば間取りや広さの似た住戸、一戸建ては近隣の売り出し価格を参考にします。また、自動車については、ネットなどで自動車買取会社の査定例を調べるとよいでしょう。

前回(ステップ③)のブログで、
“銀行など金融機関の通帳(海外生活中であれば、WEB通帳など)、証券会社の口座残高、貯蓄型の保険(学資保険やこども保険、終身保険など)情報、住宅ローン・自動車ローン残高が分かる書類を準備しておいてくださいね。”
とお伝えしましたが、準備はできていますか?

海外で生活を始めると、日本と海外にお金が分散されるので、全体を把握するのが難しくなります。また、保険や住宅ローンの書類は日本に置いたままという方も多く、貯蓄額の総額を計算するには少し手間がかかります。しかし、今はWEB上で保険の加入情報などわかることも多いので、できる限り調べてみましょう。

それでは、実際に家計のバランスシートを作成してみましょう。例を参考にしながら、空欄に数字を埋めていきましょう。

<家計のバランスシート(例)>

ワークシートはこちらからプリントアウトできます。

 

では、早速空欄を埋めてみましょう!

 

貯蓄型保険(終身保険など)は解約返戻金額を、株式は時価額もしくは取引残高報告書を確認、不動産は売却見込み額を調べましょう。また、住宅ローンや自動車ローンの借入金は、元本の残高を調べましょう。
資産合計①から負債合計②を引いた額が純資産額となります。
この例では、3,250万円-3,020万円=230万円となり、230万円が純資産となります。この純資産がマイナスになっている方は、「債務超過」となり、言い換えれば、赤字家計となります。
念のために、資産合計3,250万円(表の左側合計)と、負債合計3,020万円+純資産230万円=3,250万円(表の右側合計)が一致している(同額になっている)ことを確認しておいてくださいね。


4回に分けて、「今の家計の状況を知る」ためのステップを紹介しましたが、いかがでしたか? 家計の実態を知って、漠然とした不安を少しでも解消できたでしょうか?
バランスシートを見て、「純資産がマイナスになっている!」 と、ショックを受けた方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、今後改善していくことが可能です! 純資産を増やすために、収入を増やす、または支出を抑制するという解決方法があります。


年間収入表・年間支出表・年間の貯蓄額・今回の家計のバランスシートを計算している際に、疑問に思ったことや分からないところがございましたら、“Global FP Salon”へ「メッセージ」を送信してくださいね。すべての質問にお答えできるわけではありませんが、できる限り皆さんの疑問を解消しながら、次のステップに進めていきたいと思います。


次回は、家計の「構造改革」を進めるためのヒントをお伝えします。

現状を知る~ステップ②~で作成した「年間支出表」を準備しておいてくださいね。


次回もお楽しみに!

 

 

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