転職をしたくない理由ランキングなんて記事があります。
http://ranking.goo.ne.jp/ranking/014/jobchange_unwilling/

色々な理由が書かれていますが、現状維持バイアスを表す内容が多いです。
現状維持バイアスは最も厄介なバイアスであり、人生常にこのバイアスと闘わなくてはいけません。

このバイアスは必ずしも悪いとは言いません。
悪くないと言えるのは現状維持しておけば結果的に満足する事が多いからです。というよりかは相対的不満に陥る可能性が低いという表現の方が正しいでしょうか。

なぜかというと現状維持しておけば他を知らないので、主観的に満足できる可能性が高いという結果論からくる肯定です。

変えれば変更前と比較をしてしまうので、うまくいかなかった場合、損を感じてしまう。そしてその損は現状維持した時に感じる損よりも遥かに大きい。行動を起こすことによって得る損は起こさなかった時の損よりも遥かに大きいと感じる人間のメカニズムは最近の行動経済学でも取り上げられています。

この損失回避の感情が現状維持バイアスの主要因です。彼氏彼女を抱えている時の感情と言えば分かりやすいのではないでしょうか。60億人という人口がいる中で、なぜ付き合い、そして結婚して、余生をずっと一緒に過ごせるカップルが多いのかというのは、夢がないですがこの現状維持バイアスで7割説明が付くと思います。

少し自分の身の回りや過去の行動を見渡してみればどれだけこのバイアスに縛られてきているか分かると思います。

現状維持バイアスは物事の判断を極めて主観的にしてしまうので、正当な判断ができなくなります。
人生は、主観的でいいですし、自己満足主義なので、結果論としてそれでもいいですが、結果に客観性が入るとこのバイアスは致命的です。例えばビジネスの世界では、「お金損したけどこれをやり続けてまあ良かったかな」なんて自己満足では当然済みません。

人生及びこの世の中は、本当にこの現状維持バイアスとの闘いの連続だと思います。

現状を打破する事が大事なのではなく、いかに物事をゼロベースに、客観的に見れるか、これが重要で且つ難しい思考です。


人間の思考回路との闘いなので、正直難しいですが、こいつとの付き合い方として、自分は何か物事を考える際は、まずこのバイアスがどういう風に働いていて、今の自分の思考や心境にどんな影響を与えているのかはまず考え、出来る限り思考のデータ補正をするように心がけています。

しかし、このバイアスは本当に厄介で、上記のような何か判断を求められる時はそこで立ち止まって考えられるのでまだいいですが、そもそも自分の脳が勝手に現状維持をしていて、立ち止まって考えるべき機会を逃している事が多いはずであり、この機会損失をどうカバーするかです。

あくまで努力ベースですが、無意識にしてしまうような些細な意思決定にも敏感に反応するようにしていますし、1ヶ月に1回以上は、現状を疑う事をします。自分は前回から何をしてきたか、回りに何か落ちていないか、これから何をするのか、このままでいいのか。自分は社会と比べてどうなのか、第三者からどう見られているのか、第三者として見た時どんなアドバイスをするのか、など。

ここまでご立派に毎回体系的に考えているわけでは当然ないですが、それでもこの意識は個人的に非常に重要だと思っているので、是非皆さんも努力してみてください。