これは、ほぼ最強のボールペンかもしれない。
ワタクシは今、興奮に体を震わせています。

……ボールペンの「最強」って、なんだ。
……んで、「ほぼ」最強って、なんだ。「ほぼ」って。




軽井沢で木軸の万年筆を製作しておられる工房「スティロアート」のボールペンです。
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まず、形が美しいでしょう?
ペン先からお尻までゆるやかに滑らかな弧を描く曲線。不格好な段差は全くありません。
お尻の先は、すっぱりと平らに切り落とされ、潔いシルエット。
太すぎず、細すぎず、絶妙なバランス感。
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胴には2種類の銘木が使われています。
ワタクシが選んだのは、花梨とパープルハートの組み合わせ。

どうやらワタクシは花梨に弱い性質らしく、気が付くと花梨のペンがどんどん増えています。
明るい赤みがかった茶色に、くっきりと刻まれる杢目が、そそるのです。



表面は、ナチュラルな仕上げで、木目の感触を楽しめます。
少し使ったら、表面の艶が増してきたような気がします。これから使い込むと、もっと変わるでしょう。



この花梨は、花梨としては、ごくスタンダードです。
見事な花梨瘤をもつのはら工芸のボールペンと比べると、ほら。
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杢目としては、それほど派手とは言えません。

でも、なんだか目を離せない魅力があります。
気づくとついつい、手の中でころころ転がして見入ってしまいます。



お尻のパープルハートの紫が、全体を引き締めています。
ここを左右にひねって芯を出し入れするタイプです。
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身長は13.5センチ。少し短めですが、ワタクシの手にはぴったりです。
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このブログの始まりの一本となった、ねーさんに近い体格ですね。
写真下がねーさんです。
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さてさて。きれいなのはわかったけど、じゃあ、どこが「最強」なのでしょう。

ふふふふふ。
それは、ですねぇ。

このボールペン、なんとカランダッシュのゴリアット芯が標準装備なのです!



パーカータイプの木軸ならよくありますが。
クロス芯もときどきありますが。
のはら工芸のパイロットも、書き心地は悪くありませんが。

でも、しかし、
なんたって、
ゴリアット芯ですよゴリアット芯!

一本あればおよそ8キロメートルものラインを引くことができ、
油性にしては最高水準の滑らかさを誇り、
油性ならではの軽いタッチで薄い線を軽々と描け、
ボールペンの最大の不快ポイントであるインクだまりがまったくできない、
絵を描くのに持って来いの、
あの、ゴリアット芯ですよ!!
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(ぼく、しまえなが。様のサイトの写真を写させていただきました。ありがとうございました)




ゴリアット芯で、しかもワタクシの弱点ど真ん中を的確に突く、銘木の木軸。
「ゴリアット芯で、木軸っていうペンが、世の中にあったらなあ……」と、ずっと思っていたのでした。
そうしたら、ほら、あった、と。
世の中、広いですねぇ。

んで、花梨にパープルハートの組み合わせときたら、
これは、最強のボールペンとしか言いようがないではありませんか。




……つくづく、マニアですね。




さらに、このボールペンは、すごいのです。

体重を測ってみましょう。28グラムですね。
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木軸で30グラムを切るというのは、そうとう軽い部類に入ります。
さきほどののはら工芸の花梨瘤が36グラムあることを考えれば、かなり軽いと言えますね。
持ったとき「軽い!」と、びっくりしたのでした。

とはいえ軽すぎる重さではありません。ちょうど、手にほどよい重みをもって収まり、書いても書いても疲れない理想的な重量だと思います。
重心は、ちょうど真ん中あたり。ミドルウェイトのお手本みたいなバランスです。




そして、このクリップ。
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高級感を醸し出すには軽すぎる印象もありますが、この形がなんといっても優れものです。
シャツの胸ポケットにも、厚みがある革でできたヘルツのバッグの内ポケットにも、すっと差し込めて、しかも落ちにくい。

クリップをすっと差し込めるかどうかというのは、ワタクシの中では重要なポイントなのですが、この形はペリカンのクリップに並ぶ使い勝手の良さです。
のはら工芸のペンは、残念ながら玉クリップなので、厚革のポケットに挿しこむのは一苦労です。




美しい形で、ゴリアット芯が入って、銘木軸で、書き心地も良くて、クリップも使い勝手がいい。
どうです。ほぼ最強でしょう?




……………え?
じゃあ、なんで「最強」でなく「ほぼ」なのかって?

それは、ですねえ……




このボールペンは、先ほどお話ししたとおり、お尻のパープルハートを左右にひねって芯を出し入れするタイプです。

この手のペンは、普通、右にいっぱい止まるまでひねったら芯が出て、左にいっぱい止まるまでひねったら芯がしまわれますね。



ところが……
このペンは、右にいっぱいひねっても、左にいっぱいひねっても、なぜか芯が出るのです。
芯をしまうには、ちょうど中間のところで手を止めなければなりません。
加減を見ながらひねらないと、芯をしまったつもりが出っぱなし~ということになってしまうわけなのです。



これが、ねぇ……
ワタクシのような、ざ・ずぼら~には、ほんのちょっと、面倒くさい。
うっかりすると、胸ポケットの中で出っぱなしの芯が、いつの間にか何か得体のしれないメッセージを書いていた……なんてことになります。

芯がしまわれたのをしっかり確認する。たったそれだけのひと手間なのですが。
その面倒くささが、「ほぼ」をつけざるをえない理由なのでございます。




ざ・ずぼら~がペンに求める条件は、かくも厳しいものなのです。
……って、おい。


とはいえ、この、ほぼ最強のボールペン。
ワタクシのバッグの内ポケットがすっかり定番の席となり、ことあるごとにすっと抜かれて手の中に納まっています。




……え?
じゃあ、ゴリアット芯のボールペンは、もうこれで決まりだなって?



そうだったら、よかったんですけど、ねぇ………

ゴリアット芯には、実に様々な沼が、ございまして………
そのお話は、またいつか……