みなさん、おひさしぶりです、年が明けて最初の投稿になりますが、実は昨年の11月に書き始めてたもので、4か月ぶりの更新となります。

永い間、ご無沙汰して申し訳ありませんでした。

 実はわたくし、この数か月、疲労感が蓄積して、体調もわるく、昨年末には体調を崩して2週間ほど入院してました。

 冬も終わりだけど、寒さがぶり返してる今、能登半島地震の被災者の皆様には、心からお見舞い申し上げます。

 ずいぶん遅くなってしまいましたが、昨年、11月3日の文化の日に時間を戻して、令和6年度のスタート記事とさせていただきます。

 

今現在は公開から4か月を経過して、内外でのいろんな記録を塗り替えつつ、快進撃を続け、アメリカのアカデミー賞の視覚効果賞にノミネートされるに至った「ゴジラ-1.0」ですが、私は日本での公開初日に、東京の日比谷で鑑賞しました。

当日は午後からゴジラフェスティバルが開催されることもあり、どうしても午前中に観ておきたかったのですが、前々日にネット予約したところ、日比谷東宝シネマではI-MAXは満席で売り切れ、通常画面のドルビーアトモスで前から2列目通路際の席がなんとか取れました。

 で、映画を観終わった率直な感想です。

一言で言えば、大傑作です。

”魂が震える”素晴らしい映画です。

こんな映像がずっと観たかった、と思うようなシーンの連続でワクワクドキドキが止まらない、しかも新鮮な衝撃をたっぷり感じることができました。

 日本に生まれて良かった、生きててよかった、と心から思いました。

それほどまでに感動した理由のひとつは、この映画のゴジラはまぎれもないゴジラであり、シン・ゴジラやアメリカのモンスターバースのゴジラの、ルックス的な違和感がなく、正真正銘の日本の”真ゴジラ”であったことです。

そのことがなによりの満足感を与えてくれる根本的な理由です。

 

 ふたつめは俳優さんが、ちゃんとその時代の人に見えたことです。

その点について、ネットでは逆の意見を言う人もいますが、そういう人は戦前、戦中、戦後の古い日本映画を観たことない人でしょう。

 神木隆之介さんは別人のように凛々しく見えたし、こんなにいい役者さんだったのかと見なおしました。

役名が「敷島」というのも、鉄人28号の博士の名前だし、浜辺美波さんの役名「大石典子」も「二十四の瞳」の大石先生と、小津安二郎監督作品での原節子さんの役名が、紀子(のりこ※字はちがうけど)なので、まさに昭和なヒロインの響きを、古い日本映画好きの私には感じられました。

山田裕貴さんの役名は「ビルマの竪琴」の主人公と同じ「水島」なのも偶然なのか意図的なのか、たぶん意図的なネーミングだと思われます。

 

 三つめは、ゴジラに対する俳優さんたちのリアクション演技が、実に素晴らしいことです。

やっぱり怪獣映画ではこれが一番大切なポイントですね。

特に、木造船”新生丸”でのゴジラ初対面時の山田裕貴さんのリアクション演技がストレートに観客の心理として臨場感を感じさせてくれてるし、素直な人柄が好ましいです。

 四つ目は、ストーリー、物語自体が、”浪花節的”ともいえる”胸アツ”なドラマであることです。

よく、山崎貴監督の演出は、俳優さんの演技が大げさ、わかり易すぎる芝居にセリフが説明的すぎると言う人がいますが、今作ではそんな山崎演出が良い方向に作用してると思います。

その証拠に、Youtubeのレヴュー動画において、今作の俳優さんの演技はすこぶる評判が良いでからです。

特に主役である神木隆之介さんの鬼気迫る演技が素晴らしい。

物語終盤、決意を秘めて、ゴジラに向かってゆく神木さんの表情、これが、あの神木隆之介さんかと思うくらい、カッコいい。

 また、新生丸の艇長役の佐々木蔵之介さん、素顔は気さくな関西人なのは知ってたけど、こんなあらくれ男な演技ができる人だったとは、ちょっとびっくり、要所要所でキメ台詞(ぜりふ)を発しててくれてます。

 吉岡秀隆さん演じる”学者”こと野田さんも、一見、頼りなげなのに狂言回し的な役どころを担っおり、これまでの怪獣映画にはいないタイプの科学者で、吉岡さんらしい味が出てて良かったです。

まさに、Drコトーのその後を観てるようです。

 吉岡さんは、寅さん映画では、初代ゴジラの山根博士を演じた志村喬さんの孫なので、時代の流れ、日本映画の歴史を感じて感慨深いものがあります。

 また、浜辺美波さんには”昭和”の女優さんの面影があるのにもちょっとびっくり、当時の髪型や衣装に完全に馴染んでます。

 青木宗高さん、安藤サクラさん、それぞれが重要な役どころでツボにはまったお芝居、2歳の明子ちゃんの自然な振る舞いを取り入れた演出も、この映画のドラマが内外で受けてる理由の一つでしょう。

 そしてもうひとり、絶対に忘れてほしくないのが、後半になって登場する駆逐艦「雪風」の堀田艦長役の山本美央(みおう)さんです。

 かつての田崎潤さんや藤田進さんのような、風格ある指揮官を演じられる俳優さんが久々に日本映画に現れた気がしました。

 が、しかし、いかなる状況でも、まったく動じない完全な”軍人”指揮官であった大先輩のお二人にくらべ、田中さん演じる堀田艦長は、もっと一般人感覚を持ち合わせた温かみのある人物という感じがします。

 政府もアメリカ軍も力を貸さない中、民間人だけでゴジラを倒すための対策会議に登壇した田中さん演じる堀田艦長が集まった人達に協力を呼び掛ける場面は、その人柄を感じさせて胸を打つものがありした。

古武士のようなルックスで人情味がにじみ出る田中美央さんは、今の日本映画界では貴重な存在で、今後も注目したい俳優さんです。

 ほかにもメインキャストでなくとも、端役の俳優さんの個々の演技が光ってて、いろんなキャラクターの人がいて、印象的なセリフが、特に後半に溢れています。

 

 五つめの理由は対ゴジラ兵器が゛旧プラモデル世代”の心をくすぐるものであったことです。

 ガンプラ(ガンダム・プラモ)登場以前はプラモデルと言えばスケールモデル、特にミリタリープラモが中心で、キャラクターモデルより、実在した第二次大戦時の艦船、戦闘機、戦車などのほうが人気でした。

 しかも、任天堂のゲームなどもない時代、私を含む当時の子供たちは、町の模型屋さん=プラモデル屋さんに通いつめ、せっせと戦艦大和やゼロ戦のプラモを作りに夢中だったのです。

 私の場合は艦船が好きで、1/700ウォーターラインシリーズ(艦底を省略し海面上だけの姿を模型化したシリーズ)を集めていました。

(高雄、雪風、響のウォータラインシリーズのパッケージ、昭和40年代の昔から今も発売されてますが、何度もリニューアルされて精密さが増してます)

 今回の映画に登場する重巡洋艦・高雄や、駆逐艦・雪風はもちろん、響の同型艦の吹雪のプラモも作りました。

 それらの完成模型は近所のプラモデル屋さんのショーウィンドウに飾ってもらってたりしたのですが、そのプラモ屋さんも今はなく、もちろんプラモ自体も残ってませんが懐かしい思い出です。

 今回の映画で特に注目された戦闘機、震電(しんでん)も(プラモ屋さんではなく)駄菓子屋さんで小さいプラモデルを買った記憶があります。

(これは映画とのコラボで発売された震電のプラモデル、ハセガワ1/48)

その特異なスタイルは「あれ?後ろ前が反対やん、こんなん本当に飛んだんかな?」と、子供どうしの会話が飛び交った記憶もあります。

 また、不沈艦・雪風の伝記は、私グレンマンガン世代には超メジャーなので、この船は最後まで生き残るなって気がしました。(堀田艦長役の田中美央さんが参考にしたと思われる戦艦大和の沖縄特攻作戦時の雪風艦長、寺内正道さんの逸話など、興味のある人は調べてみてください、泣きます)

重巡洋艦・高雄に関しては、あの円谷プロの空飛ぶ万能戦艦、マイティ号のモデルとしても有名でした(あのお城のような艦橋に面影があります)。

 そんな訳で、この「ゴジラ-1.0」は”おじさんホイホイ”なのです。

この”おじさんホイホイ”という言葉は、Youtubeの馬場康夫さんのチャンネル「ホイチョイ的映画生活」で山崎貴監督自ら出た言葉です。

 おじさん世代を捕らえて離さない、という意味で、私グレンマンガンも見事に捕まってしまったのでした。

(タミヤ1/350の雪風の完成写真、この艦橋部分は今回の映画の撮影で実物大の物が作られました。)

(”素組状態”のアオシマの1/350高雄の艦橋、素晴らしい構造美!こんなの見るとプラモデル作りたくなりますね)

 この映画が素晴らしかった理由の六つ目は音楽です。

佐藤直紀さんは「オールウェイズ三丁目の夕日」の音楽が、テレビの情報番組やバラエティ番組で、昭和30年代を懐古するシーンのBGMとして必ず使われてるのでみなさんもおなじみでしょう。

 あの映画で、子供たちの手を離れたプロペラ飛行機が、下町から都電が走る大通りへと舞い上がって、建設中の東京タワーを映し出すオープニングシーンに流れた、心にしみるノスタルジックな、あの旋律が忘れられません。

 今回のゴジラでは、元祖ゴジラ音楽の伊福部昭さんの音楽は使用されないのではないか?という予感も心のどこかであったのですが、ところが、と言うか、やっぱりというか、伊福部ゴジラは突如出現しました。

 ”ゴジラ出現のテーマ”、”ゴジラ進撃のテーマ”そして一般的にはこれがゴジラのテーマと思われてる”ゴジラ防衛のテーマ”(第一作「ゴジラ」オープニング曲)が絶妙のタイミングで流れるので、感極まること、このうえないです。

 それに加えて、佐藤さんの讃美歌を思わす荘厳なオリジナル曲も素晴らしいので、その相乗効果が、超絶VFX映像を盛り上げてます。

 そんなわけで、ひさびさの大満足のゴジラ映画、六つの理由で語らせていただきました。

アカデミー視覚効果賞、獲れるような予感がします。

 

私、グレン・マンガンの個人情報に戻ります。

昨年中に完成予定だった工作室は経済的な理由もあり、あまり進んでなくて、春先はまだ無理、暑い夏が来る前には完成して、模型製作の再開を目指してます。

次回は、その後購入したSF・特撮グッズ紹介を含めた近況報告となる予定です。

                      2024年3月3日:記

(バンダイスピリッツ・SHモンスターアーツの可動フィギュア、16cmと小さいけど、ものすごく精密で映画の中のゴジラそっくり、でも購入は迷ってます。いずれエクスプラスから30cmシリーズの大きいマイナスワン・ゴジラも出るけど、それは固定ポーズだし・・・)

P.S.

 あのスティーブン・スピルバーグ監督も3回観たという「ゴジラ-1.0」、私もこの4か月の間に、マイナスカラー(モノクロ版)も含めて7回劇場鑑賞しました。

モノクロ版だと、”昭和”感と、ドキュメンタリー感が増して、ゴジラもより初代に近いイメージになるので、特に”初代ゴジラが最高!”という私のようなファンは必見です。

P.S.その2

 みなさん、Youtubeで馬場康夫さんの「ホイチョイ的映画生活」はぜひ、検索してご覧になってください。

それから「だいちゃんの映画部屋」もお勧めです。

だいちゃんのサイトでは海外のレヴューが紹介されてて、アメリカ人に限らず、メキシコ人やブラジル人などのゴジラファン、映画ファンからの賞賛の声に思わず胸が熱くなります。

「これは日本人の団結力を描いた映画だ」なんてメキシコ人の方に言われると、日本人として、なんだかむずがゆいけど、とてもうれしいです。

戦後の復興を築いてきた私たちのお父さんお母さんや、おじいさん、おばあさん達は、この映画に描かれているようにたくましく、苦難を乗り切ってきたこと、忘れないようにしたいです。

                2024年3月7日:追記