★「地球防衛軍」4Kデジタルリマスター版、観てきました。
9月の第一土曜日、場所は自宅から一時間半、かつての阪急ブレーブスの本拠地、西宮球場跡に建つ大型ショピングモール「阪急西宮ガーデンズ」の最上階の西宮東宝シネマズです。


「午前十時の映画劇場」の名のとおり、10時きっかりに始まった「地球防衛軍」(昭和32年)のリマスターは、66年の昔の映画というより、まるで新作映画のような新鮮な気持ちで観ることができました。
実はわたくし、昭和53年(1978年)、最後の東宝チャンピオンまつりで短縮版上映された時にも劇場で当作品を観ているのですが、その時以来の高揚感がありました。
その後発売されたDVDで、短縮版ではカットされた白川由美さんがお風呂の窓越しにモゲラを目撃するシーンに感動した記憶があります。
今回のデジタルリマスター版を観て、DVD版では場面によって黄色ぽかったり、青っぽくくすんでる色合いは当時の映画フィルム特有のものとして当たり前だと思って特に不満を感じることなく普通に観てたんだけど、本来はそうではなかったんだと、認識が変わりました。
本来はこんなに鮮やかな色彩だったんだ、と思ったのと、昭和32年当時、この映画を”新作”として観た人達の感覚を共有してるような、タイムトリップ感がありました。
具体的には、ミステリアンの着てるヒラヒラのマントの材質感や、ヘルメットのテカリ・・・アルファ号、ベータ号の塗装の色具合、などなど特撮模型モデラーとしては興奮しまくりの贅沢な時間でした。
また、映像が鮮明になったぶん、ミステリアン円盤やアルファ、ベータ号を吊ってる糸も見えまくりなんだけど、円谷特撮の手作り感がなんとも味わい深いです。
で、ここからは作品そのものの感想です。
個人的な好みですが、宇宙人が人間っぽすぎることが、この作品の弱点であり、味でもあると感じています。
侵略テーマのSF映画は、宇宙人の姿が人間ばなれしてて、何を考えてるかわからないほうが怖い、と思うのです。
そういう意味では、1953年のバイロン・ハスキン監督の「宇宙戦争」など、アメリカ映画の侵略宇宙人は怖いのが多いです。
日本でも、侵略者ではなく友好宇宙人だけど、大映が前年の昭和31年に発表した「宇宙人東京に現る」のパイラ星人は、ヒトデ型の異様な見た目がシュールで良かったと思います(この点は小松崎茂画伯に岡本太郎画伯が勝利)。
ミステリアン統領役の土屋嘉男さんの怪演も別次元で語るべきで、今の感覚では、”ストーカー体質の盗撮宇宙人の婚活物語”を、壮大なスペクタクルで描いた”珍作”が本作「地球防衛軍」の本質ではないかと思います。
2年後、同じ本多・円谷・伊福部トリオで作られた続編「宇宙大戦争」のほうが、宇宙人ナタールの描き方に進歩があるし、アメリカ映画にも劣らないSF感を感じました。
この続編「宇宙大戦争」のほうが侵略SF映画としては完成度が高いのだけど、前編「地球防衛軍」には、ロボット怪獣モゲラという強力キャラが登場するぶん、総合的な見地で見比べると、やはり「地球防衛軍」のほうに軍配が上がる気がします。
侵略SF映画としての評価とは別の、”怪獣映画”としての魅力もあるのが「地球防衛軍」の魅力です。
モゲラは、「妖星ゴラス」におけるマグマはもちろん「海底軍艦」におけるマンダよりも、あきらかに作品の中で重要な役割を果たしています。
私は「妖星ゴラス」のマグマは決して”付け足し”ではなく、それなりに存在意義があると思うのだけど、もっと南極基地を壊すシーンが欲しかったです。
「海底軍艦」のマンダも、地上に現れて街を壊すシーンか、アメリカの潜水艦レッドサタン号を襲うシーンがあればよかったのに・・・と思います。
「緯度0大作戦」のグリフォンはちゃんとストーリーにからんでる存在でしたね、でも活躍シーンが少なすぎます。
★デァゴスティーニ東宝怪獣コレクション・・・・に思うこと

怪獣フィギュアとしては、はじめての統一スケール(1/700)で発売されるデアゴスさんの隔週刊・分割図鑑、楽しみにされてるみなさんも多いと思います、
でも、ごめんなさい、わたくしは小学生の時に怪獣図鑑などのムック本に載ってる怪獣の身長(や体重)はデタラメでいい加減だと気付いたので、今回のこのデアゴスさんの企画自体がちっともうれしくないのです。
第一、身長50m初代ゴジラは1/700だと、たった7.5cmという小ささ。
キングギドラは身長100m設定だけど、なぜか首を曲げた状態で100mとしてるようで、初代ゴジラや初代メカゴジラと見た目の大きさの印象に差がありすぎます。
ですが、設定が180mと大きい初代モスラの幼虫は1/700でも24cmと手頃な大きさなので購入しようと思ってるので、今のところは幼虫モスラが楽しみです。
成虫モスラも初代の設定(翼長250m)で商品化され、かつ海洋堂のリボルテックモスラに負けないくらい造形が良ければ購入します。
しかし、このシリーズ好きな初期の怪獣はときどき購入するでしょうが、集めることはないです。
若戸大橋に匹敵する全長数百メートルのドゴラはどうするのでしょう?
また怪獣図鑑と実際の映像の中で大きさのちがう怪獣はどうするんだろう?
たとえば「地球防衛軍」のモゲラは怪獣図鑑では身長50mとなってるけど、映像の中では高圧送電塔よりかなり低く2階建住宅が腰まであり、消防車の放つ水柱の大きさから20mくらいか、せいぜい大きく見積もっても30mくらいと思われます。
モゲラが50mあったら、鉄橋が落ちたくらいでは壊れない気がします。
バラゴンやフランケンシュタイン、ゲゾラ、ガニメ、カメーバ、サンダ、ガイラなどの20m級や30m級の怪獣は3cm~4.5というミニサイズになってしまい、食玩より小さいグリコのオマケのようになってしまいます。
それから、ゴロザウルスみたいに、デビュー作「キングコングの逆襲」公開当時の少年雑誌においては身長20mで尻尾の先までの「全長」が35mとなってたのに、いつのまにか「身長」が35mと記載されるようになったものも、どう解釈して商品化されるのか?気になりますね。
おそらく、ドゴラは商品化されず、モゲラは50m説で、ゴロザウルスは身長35m設で商品化される気がします。
私個人はディアゴスティーニさんには「怪獣総進撃」のムーンライトSY-3号をブースターと発射台を含めた大型モデルとして、分冊で出してほしかった。(SY-3号本体が25~30cm、ブースターとドッキング状態で60~80cmくらい)

ムーンライトSY-3がブースターとドッキングした状態で打ち上げられる場面

または「東宝SF映画メカコレクション」もしくは「日本SF映画メカコレクション」として、食玩の東宝マシンクロニクルよりはメカそのモノが大きいシリーズの企画・発刊してほしいです。
「地球防衛軍」のアルファ号、ベータ号、マーカライトファープ、マーカライトジャイロ、ミステリアン円盤、「宇宙大戦争」の宇宙ステーション、スピップ号、月面探検車、「妖星ゴラス」の隼号、鳳号、V-TOL機、「モスラ」の原子熱戦砲・・・etc
日本SF映画全体で東宝以外のSFメカとなると、松竹の「宇宙大怪獣ギララ」のアストロボート、東映の「ガンマー第3号・宇宙大作戦」に登場した宇宙戦車などの各種メカ&ビークル、などなど分冊シリーズとして再商品化されたら夢のようです。

。
これらは統一スケールなどと無意味なことはせずに、やや小さめながらコレクションしやすい充分な大きさで毎号、隔週刊で本屋さんに並んだりしたらワクワクします。
デアゴスティーニさん、「東宝SF映画メカコレクション」もしくは「日本SF映画メカコレクション」をぜひ、ご検討お願いします。
工作室作りは、暑さのせいではかどってませんが、fusion360による岩田屋デパート3D設計はすこしづつ進んでおります。
早く、キット作りを再開したいですが、まだ少し先になりそうです。
2023年、9月11日:記