湯治 | 月と光トカゲ

月と光トカゲ

難病の事、中途障害の事、毎日の事。


ゆっくりゆっくり受け入れていきたい。


もう一度自由に歩けるように。希望は捨てないでいたい。





(2008~2009)



指が真っ直ぐ伸びなくなりはじめた頃、良い温泉があるとすすめられた。





岐阜県にある「ローソク温泉」と言う所で、

全国から湯治をしにやって来るという有名な温泉だった。



ラジウム泉といわれるその湯は、ラジウムの含有量が高いという。







ラジウムにどんな効果があるのかは知らなかったが

夫の休日に家族で行ってみた。

入浴券を買うときに受付のおばちゃんに

「うちは観光温泉じゃありませんよ」

と言われた。



来るのは初めてな事と、私の病気の事を話すと

「入る前に1度うちの所長の話を聞いてみては」

と言われたので聞いてみることに。



薬剤師でもある所長さんは、初めて来た人へ入り方の説明をしてくれた。ラジウムの濃度の違う湯船が2つあって、濃度の低い方から順に5分間ずつ入り、休憩を挟み、また同じ様に5分ずつ入るというものだ。





同じお湯に5分以上入ってはいけなくて、子供は濃度の濃い方には入らない方がいいという。温泉だけでなく周辺の空気中にもラドンが含まれているのでなるべく深く呼吸をして

体の中に取り込んで下さいと言われた。







所長さんは、説明を聞いているお客さん一人一人にどんな病気か聞いて回った。







ほとんどが癌を患っている方だった。なるほど湯治というだけある。







「私は膠原病の強皮症と言われました」







すると所長さんは、

「膠原病にも効くと思います。月1回位で入るといいでしょう。きっとよくなりますよ」





と言ってくれた。







なぜラジウム泉が良いのか、説明があったけど忘れてしまった。







早速入ってみる事に。









洗い場は石鹸やシャンプーが禁止だった。





5~6人も入れば一杯になってしまうような大きさのお風呂が2つ。





最初は濃度の低いお湯。

なんとなく全身がピリピリする感じ。

お湯の中で手をマッサージしてみた。





5分経ったので、隣の濃度の濃いお湯へ。



娘は洗い場で待っていてもらった。



2番目のお湯は最初より熱く、ピリピリ感も強い。5分も経つと出ずにはいられなかった。







そして一旦脱衣所で着替えて休憩所へ。

畳の部屋におじちゃんやおばちゃんが雑魚寝をしていた。



そこで1時間程休み、

また2つのお湯に入った。







入浴が終わったら、受付でもらった紙コップに源泉を汲んで飲み干す。





これも決まりだそうだ。



手足はポカポカ温かくなった。

後はだるさが残った。

単に疲れただけなのか、ラジウムのせいなのかははわからなかったが





良くなる事を期待して月に1回通ってみることにした。









私の民間療法放浪はこの「湯治」から始まった。