私が高校生の頃の話なんですがね、目をケガしまして一週間程度入院する事になったんですよ。

病室に行くと、四人部屋。
皆さん年配の方ばかりで少々浮いたような存在だったにも関わらず、皆さんよくしてくれましてね。

その中でも特に可愛がってくれたのが、私の隣のベッドの石井さん。
奥さんと高校生の娘さんが毎日のようにお見舞いに来てくれてて、すごくいい家族だなって思ってたんですよ。

でも、この部屋は…私以外の入院患者さんは全員がんだったんですよ。
もちろん、石井さんも…

でも、石井さんはがんを克服して、また仕事復帰するんだって強い意思でがんに立ち向かってました。
そんな彼を応援するしか出来なかったですが…

入院して初日の深夜の事。
眠りが浅かったせいか、気付くと
石井さんのベッドの床頭台の灯りが点いてるんです。

『眠れないのかな』
そう思いながら、再び寝ようと時計を見ると
【2:22】
その日はいつの間にか眠りに落ちてしまいました。

次の日も、隣の床頭台の灯りと石井さんの話し声で目を覚ましてしまいました。
どうやら、携帯電話で話をしているようなんです。

『うん、わかってる、ああ、わかった』

そんなような事を言っていたと思います。

何気なく時計を見ると…

【2:22】

次の日も、また次の日も…
石井さんは決まって
【2:22】に誰かと話しているんですよ。

気になって仕方ないんで、翌日覗いてみることにしたんです。

やっぱり【2:22】に床頭台の電気が点く。
気付かれないように、カーテンの隙間から石井さんのベッドを覗いてみる。

すると、石井さんは携帯電話で話してたんじゃない。
ベッドに座り込んで宙を見て話をしてるんですよ。

『ああ、明日な。明日行くからよ。』 

そう言ってるんです。
そして、言い終わった後、ベッドに倒れ込む。

翌日、石井さんに昨夜の出来事を聞いたんですが…
案の定、石井さんは全く覚えていなかった。

石井さんを連れていこうとしているモノがいる。
それは、今日もまた来る。
石井さんを守らなきゃ。   

それが私の出した結論だった。

そして、その瞬間はやって来た。
【2:22】
床頭台の電気が点く。

その瞬間、私はカーテンを開け、石井さんを連れて行こうとするモノを探す。

何も…いない…

石井さん、石井さんは…  

『石井さん!石井さん!』
まだ温もりは残っていたが、石井さんは息絶えていた。

直ぐにナースコールを鳴らし、看護師さんが何人かやって来る。
そのうち医師もやって来て、『2:38心停止確認。』

嘘だよ…石井さんが亡くなるなんて…
そんなの嘘だよ…

翌日、石井さんは家族と共に自宅へと帰って行った。

石井さんと話していたモノは誰だったんだろうか…
なぜ【2:22】だったんだろうか…
未だに答えは出ない。

私に出来る事は石井さんのご冥福を心よりお祈りする事だけだ。