この話は、いつもとちょっと違う恐怖の話なんですよ。
あまり皆さん、体験はないだろうなと思うんですが…
まだ20歳くらいの時、長野県の川上村に夏だけバイトに行ったんですよ。
知ってる人は知ってると思いますが、農家に下宿して野菜を育てて出荷する作業なんですがね。
村の人工が三倍に膨らむ、それだけバイトがやって来るんですよ。
でも、やって来ても直ぐ夜逃げしちゃう。
あ、隣の家に二人入ったんだなって思ったら、次の日にはもう居ないなんて日常茶飯事ですよ。
仕事がとにかくキツいんですよ。
座りっぱなしで作業して、中腰で箱詰め、それで重いと15キロくらいの箱を何箱も持ってトラックに積んでく。
これを朝の5時から夜の6時くらいまでやるんです。
もちろん、休憩時間は長めにありますがね。
っと…話が逸れてしまいました。
で、神奈川から原付で川上村に行く事にしたんですよ。
当時はナビなんて普及してないですからね、地図を持ってどう行こうかなんて考えながら、箱根を越えて、御殿場から富士五湖に出て、そこから甲府を目指して走ってたんですよ。
川上村に行くには、甲州街道をひたすら進んで行くんですが…
『見付けたんですよ、ショートカットを。』
それが山梨県の塩山から、長野県の川上村を結ぶ【川上林道】ただ、この道が通れるかどうか分からない。
一度、塩山に立ち寄り、給油の際におばちゃんに聞いた。
『あの~川上林道って、原チャリでも通れます?』
『うん、通れるよ。川上行くの?』
『はい。』
『バイトだろ?頑張ってね。川上林道通れば直ぐだからさ。』
『ありがとうございますー。』
そして、私の愛車【ARISA MIDUKI号】は川上林道へ向けて颯爽と走り出した。
ブーーーーーーーーーーー❗
舗装された道をぐいぐい進んで行く。
これなら、予定より早く着きそうだ。
と、突然舗装路が途切れた…
砂利道になり、スピードを落とし、慎重に進んでいく。
そして、いよいよ登り坂が始まった。
ゆっくりと進んではいるのだが、勾配がきつく、しかも荷物を積んでいる為、20キロがやっとだ。
山道を登っていると、今度はごろごろとした大きな岩が現れた。
それを交わしながら、悪路を進む。
どれくらい進んだだろうか?
ガソリンがもう半分程度しかない。
と、ここでダムか何かを作っている職人さんに声を掛けられた。
『おーい!ダメだよ!原チャリじゃ絶対無理!引き返しなさい!』
絶対無理…いやいや、ここまで来て引き返せるか。
私はスロットルをひねりながら
『大丈夫ですからー。』
心配なのは、ガソリンだ。
川上村までたどり着けるのだろうか…?
まだまだ、大きな岩が転がる悪路は続いている。
スピードも出せない。
ガソリンも足りそうにない。
この時の私は誰よりもエコ運転だっただろう。
ブーーーーーーーーーーー❗
車やバイクとは一台もすれ違っていない。
本当にこの道であってるのだろうか。
不安に駆られながら、山道を登って行くと…
寒くなってきた。
夏なので、半袖のTシャツ1枚しか来てないのだが、ブルブル震えるくらい寒さが襲ってきた。
さらに登って行くと、今度は雲に包まれた。
『おい、天国かここは?わしゃ死んだのか?』
寒さも次第に増していく。
荷物の中に防寒着は入っているが、ここで荷解きをしている時間はない。
そのまま進んで行った。
すると…
大弛峠
標高2360メートル
そりゃ寒いわ…⛄
どうやら、ここが山頂らしい。
助かった…後は下り坂だ。
ちょうどガソリンも振り切れる寸前だった。
エンジンを切って、坂を下って行けば、ガソリンは必要ない。
時々、登りは出てくるだろうが、惰性で登れたりするから、大丈夫だろう。
そう考えていたんですよ。
さぁ、川上に向けてLet's GO❗
思った通り、下り坂を快調に進む。
さっきまでの苦労が嘘みたいだ。
山道を原付で下るなんて、最高だな~。
なんて、思ってたら…橋が見えて来たんですよ。
で、その橋の袂に人影が見えるんですよ。
『参ったな。注意とかされなきゃいいけど…』
そんな事を考えながら、【ARISA MIDUKI号】は進んで行くんですがね。
橋に差し掛かった時、私心臓が飛び出るかと思った。
それ、人じゃなくて
親子連れの熊
なんですよ❗
直ぐにキーを回してエンジンを掛けてフルスロットルで逃げましたがね…
幸いにも追っ掛けてくる事もなく、命拾いをしました。
皆さんも熊には気を付けて😄✋


