【55】相 談 | 〈 追 憶 の 向 こ う 側 〉

〈 追 憶 の 向 こ う 側 〉

筆者のリアル体験物語。「社内恋愛」を題材にした私小説をメインに、創作小説、詩を綴っています。忘れられない恋、片思い、裏切り、絶望、裏の顔―― 全てが入った、小説ブログです。


プールデートから、私の気持ちの変化というのか、
彼への想いが少し変わったように思えた。

恋に恋しているところが、多分にあり、
自分の理想などを、押し付け過ぎた部分もあった。

彼の良いところを、きちんと見ていなかったのかもしれない。

私が抱いていた幻想が独り歩きして、空回りしていた・・・?

岩田さんとの関係を、ややこしく考えて、
難しくしていたのは、私自身なのではないか。

それでも、当初からの直感的なものを、覆すことは出来ないが、
彼を信じて、ついていくしかないのだろう。

.
.

お盆休みが明けた頃、社内で “ある事件” が起きた。

私としては、大変な事だけど・・・
社内では他人事というのか、特に珍しくもない様子。


何やら、武内課長の奥さんから、会社に電話があったようだ。

そんな噂・・・情報が、何処からともなく、耳に入った。

誰が初めに、電話を受けたのかは判らない。
だが、この会社で口の堅さを求めるのは、無理というもの。

誰かが誰かに話し、それが瞬時に広まる。

社員がそれほど多くなければ、半日以内に伝達は完了する。


なんでも・・・

武内課長の奥さんが、
多部井さんを名指しで掛けてきたらしい・・・と。

それがどういう事か、皆の察しはついていた。

でも、私と多部井さんは隣の席だから、
何か異変があれば気付くはず。
しかし、彼女が妙な電話を受けている様子は無かった。

上手く回避したか、それとも・・・
会議室などで電話を取り、コッソリと対応をしたのか。

ともかく、私には何の関係もない。

何が起きても、自業自得なのだし、
それを承知の上での不倫なのだから、どうという事もないのだろう。


「椎名さん、ちょっといい?」


武内課長が、私を呼んだ。

課長が絡む仕事はしていないから、見当もつかないが・・・
コピーとか、そんなところだろう。


「はい。何か御用ですか?」


端末に入力していた手を止めて、課長の席へ。

丁度、近くの中井さんや、高瀬部長も席を外していて、
周りには誰もいない、

武内課長は、少し声を落として、簡潔に言った。



「今夜、空いてる? 君に、相談があるんだ」





・「この人誰?」と思ったら → 登場人物
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