【195-1】永遠の片想い | 〈 追 憶 の 向 こ う 側 〉

〈 追 憶 の 向 こ う 側 〉

筆者のリアル体験物語。「社内恋愛」を題材にした私小説をメインに、創作小説、詩を綴っています。忘れられない恋、片思い、裏切り、絶望、裏の顔―― 全てが入った、小説ブログです。


『逢瀬は、プラットホームで。』 ~ epilogue ~



二人が今、お互いに求めているものは、

私は、 “あの頃の井沢さん” で、

井沢さんは、 “あの頃の恋” ・・・。


このふたつは、似ているようで、違う。



「井沢さん。あのね・・・、答えの前に、聞いてもらえる?」


『うん。 いいよ』



相変わらず、優しい声で頷いてくれる。


“言葉に出来ない気持ち” を伝えるって、難しい。

“言葉にしてはイケナイ想い” は、

どうすれば、上手く伝わるのだろう・・・。


言葉に詰まりながらも、伝えられる範囲で、

自分の想いを話した。



「具体的に、言葉にはしない・・・ 出来ないけど、

 井沢さんなら、解ってくれると思うから・・・ 言うね」


『ん・・・ うん』


緊張を含んだ声。

私は、飾らずに、正直な言葉で伝えることに勤めた。



「・・・ 井沢さんへの気持ちはね、昔と変わらないよ。

 なんて、今の私が言うのもオカシイけど」



遠回しな “二度目の告白” から、話し始めた。

思い余って、言葉を挟もうとする彼を止めて、続ける。


井沢さんへの想い、宗教活動への理解も含めて、

あの頃とは何も変わらない。

ただ、これまでの時間、生きてきた中で、

たくさんの事に折り合いをつけて、自分なりに生きてきた。


・・・ そういう事を、話した。


「本当はね、私も、井沢さんに会いたいよ。

 でも、会えない ―――・・ 解って貰えないかな・・・」


『・・・ うん。 解ってるよ。

 それに、会ってもらえないだろうって、思ってた』



諦めた様子で、呟いた。

苦笑いの井沢さんは、静かに言葉を続ける。



『もし、会えたら・・・と、思っていたけど、

 俺も、少し 聞いて貰おうかな』



二人で、面と向かえた時に言おうとしていたこと。

少しでも、気持ちが残っていて、望みがあるのなら、

もう一度、今度こそ ――――・・ と。

そんなに、都合良くいくはずがないと、思いながら、

少しだけ、期待していた・・・って。



『・・・ 俺ら、何言ってんだろうな』



彼の、恥ずかしそうな声を合図に、笑いがこぼれた。


悲しい涙を浮かべて、笑っている私に、

彼は気付いているだろうか・・・。



「井沢さん・・・」



呼びかけた私の声は、涙声になっていた。

また泣いている・・・ と、困らせてしまうかも。

それでも、ボロボロとこぼれ落ちる涙は、止められない。



『どうした? 大丈夫か? ・・・ おい ・・・』



ありきたりな言葉しか掛けられず、もどかしそうな声。


私は、突然、意味の解らないことを言っていた。




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