かつて、リングに上る前のアントニオ猪木が、リポーターから「もし負けたら?」と質問された際に返した言葉です。
怒ったアントニオ猪木はリポーターをビンタして「出る前から負けること考える馬鹿がいるかよ!」と怒鳴ったのです。

これはとても含蓄のある言葉だと思います。
私も格闘技の経験がありますが、戦う前に負ける想像をするような人は勝てません。

自分と相手の実力差やキャリアなどを分析すれば「普通に考えたら勝てない」と思うことも当然あります。
その現状を正しく把握し、対策を立て、練習を重ねることは大切です。
しかし、いざリングに立つ時には、自分が負ける想像など絶対にしません。
相手を打ち倒すことしか考えません。
自分が負ける想像などしたら戦うことが怖くなります。
怖くなれば体は硬くなり、スムーズに動くことすらできなくなります。
気持ちが負けていれば、殴られた時に逃げたいと思ってしまいます。
そのような状態でリングに上がるくらいなら、やらないほうがマシです。
リングに上がって戦うことを決めたのなら、戦う前から気持ちで負けるなどあってはならないのです。

これは理屈ではないのです。
私もリングに上がる前には、相手を打ち倒すことしか考えていませんでした。
いくら殴られようが私には効かない。1発貰ったら必ず3発返してやると、それだけを考えていました。
(1発もらったら3発返す、はボクサーだった赤井英和さんの言葉から借りていました)

試合中も、相手からいくら殴られようが「全然効かねえ。3発返す!」ということしか考えません。
自分が劣勢になると、明らかにダメージによって体が動かなくなっていることも自覚します。
自分の体の動きがスローモーションになっている自覚もあります。
でも関係ないのです。
気持ちで負けた瞬間、つまり自分が負けることを想像した瞬間に戦いは終わるからです。

そして、気がつくとリングに倒れていたりします。
実際に実力差があれば負けることもあります。
当然、私も負けたことがあります。(負けたことのほうが多いです)
試合が終われば、ただ自分の力が足りなかっただけ、と受け入れます。
練習を重ね、自分の力を出し切って負けたのだから仕方がないと、それで終わりです。

でも、試合前や試合中に負けることを考えるのは自分から負けにいくようなものですから、物理的な勝敗が決まるまでは諦めません。
自分が負ける想像など完全に頭から追い出すのです。
戦うときは理屈などどうでもいいのです。
日々の練習の際に打った手を出す以外にないのですから。

アントニオ猪木の言葉を聞いた時、まさにその通り、私自身もそうしていた。

と思いました。

そして、この考え方は、仕事でも同じです。さらに人生全般にも言えることなのです。

格闘技の試合に比べたら、仕事や人生はもっと大きな覚悟が必要になります。
生活がかかっているし、負けた時の損失が大きいですから。(格闘技の試合で生活費を稼いでいる人は生活がかかっていますが。)


状況を分析して事前に戦いを回避する判断も必要になります。

しかし、仕事や人生では戦うことが避けられない、どうしても解決しなければいけない問題に当たることもあります。
その時は、できる限りの事前準備をしたら、あとは勝つことしか考えずに事に当たる、というメンタルが必要な場面も必ず起こります。


戦う前から負けることを考える人は、必ず負けるのです。

これは事実です。