引き寄せの法則では、望むものが既に叶った状態でいることで、その状態を引き寄せるという考え方があります。
これは、私たちの理解できない不思議な力が働いて望むものを必ず引き寄せるというわけではありません。
宝くじが当たるとか、奇跡のような出来事が起こって願いが叶うなどという魔法など存在しないでしょう。
人間の生命さえも、思っても見なかった病によって急に終わることもあります。それが思考によって回避できるとは思えません。
引き寄せの法則を疑う人はこの点が「胡散臭い」と感じるはずです。
それが可能なら、世の中には宝くじに当選した億万長者だらけになってしまうでしょう。
現実としてそんなことは起きていませんし、そのような方法が本当にあるのならば、とっくの昔に体系化されていていいはずです。
これが引き寄せの法則がオカルトであると言われる点でしょう。
私もそう思う派なのですが、実は全く骨董無形で意味がない話ではないのです。これは自己暗示の手法であると考えると合理的な意味があります。

私は、引き寄せの法則は自己暗示のテクニックであると考えています。
私たちは、自分が信じていないことに向かっては自発的に行動しません。それどころか脳の機能として、信じていないことに関する情報は目で見たり耳で聞いたりしても、脳がその情報を捨ててしまい、見逃してしまうのです。
これは、全ての情報を脳が処理すると莫大な量になるため、脳の処理する情報量を無意識に選別するという脳の省エネ機能といえます。
脳はエネルギーを多く消費する器官で、処理する情報量が多すぎると餓死してしまうと言われるほどです。
そのため情報を取捨選択し、必要な情報のみを処理し、必要でない情報は捨ててしまいます。必要な情報とは自分が信じている情報です。
これは無意識に行われています。

しかし、自己暗示によって「可能である」「手に入れることが出来る」と信じられるようになれば、その目的のための情報を捨てずに活用し、目的に向かう思考や行動を起こせるようになります。
この自己暗示による変化が、現実の目的達成のための行動を促すのです。
だからといって必ず達成できるわけではありませんが、「不可能だ」「私にはできない」と考えている状態よりは確実に目的を達成する可能性は高まります。
この「信じる」という自己暗示は、実際に現実を変える力を持っているのです。

「信じる」自己暗示を成功させるには、今見えている物理世界の認知を超える概念が必要になります。宗教における神、引き寄せの法則における波動といった概念です。
今までの自分の思考、認知を凌駕する存在に価値を置くことで、信じるという自己暗示がかけられるのです。
そのために波動や宇宙に満ちるパワーといった概念を用いているのです。
根本は宗教における神への信仰と同じです。

脳のメカニズム的に考えれば、引き寄せの法則は私たちを目的に向かわせるための自己暗示と言えるでしょう。
引き寄せの法則を信じることによって私たちの脳の使い方が変わり、その結果現実世界への働きかけが変わり、現実が変化するということです。
決して現実世界が魔法のように変化するわけではありません。

私たちが眼の前の現実世界の認知を超越して何かを信じるためには、神や波動といった概念が必要になるのです。

しかしここで問題が起きます。
信じるためには、今の現実を超越した概念を用いなければならないのに、それが信じられない原因になるというパラドックスが発生します。
これが引き寄せの法則を活用できない原因です。

疑り深い私たちが、引き寄せの法則を有効に活用するためには、信じるという脳の機能を意図的に働かせるための自己暗示のテクニックであると認識した上で、信じる脳機能を活用することです。
理解した上で、あえて信じることでパラドックスは解決します。
そのためには、私たち自身の思考や感情を俯瞰的な高い位置から見る視点が必要になります。