ニュース報道で、都内で俳優の卵の
劇団生の女性が殺害されたと聞いた。
俳優では食べていけないので、
居酒屋でバイトをしていたとの情報もある。
世に「夢を持てる人生は素晴らしい」とか
「途中で諦めなければいつか夢は叶う」
などという言葉がある。
だが、それはほとんどの場合
成功者の言葉である。
現実の人生では夢と現実、
どこかの時点で折り合いをつける必要がある。
特に俳優や歌手などアート系の仕事や
スポーツ選手など
夢は夢としていつかは現実と向き合い、
どちらかを選ばざるを得なくなる。
それらの職業は先天的な資質に加え、
たとえそれがあってもコントロールできない
運というものも必要になる。
それに加えて夢を追うには
人生の時期という制約もある。
以前に聞いた話だが、
仲代達也さんの「無名塾」では、
資質の無い俳優志望の人には
できるだけ早く引導を渡す(つまり退団勧告)
ようにしているという。
そうしないと他の道に転身する
時期を逸してしまうからである。
プロスポーツチームでも
若い人への戦力外通告は残酷なようだが
実は本人のためでもあるという。
しかし、当の本人にすれば
「いつかきっと花咲く」と思い
毎日を励んでいるのだ。
もしそんな人と対峙したとしたなら
自分はなんと声をかけるのだろう。
「夢を途中で諦めるな」と言うのか、
「いい加減現実を見た方がいい」と言うのか。
ただ本人の年齢や環境を踏まえた時、
後者とならざるを得ない場合はあると思う。
人生にチャンスは多いが、それには
タイミング、潮というものはある。
「絶対にあきらめるな」は
成功者の美辞麗句であり、
それに固執させて人生を破滅させるのは
無責任である。
ひとつだけ夢追い人に言えることは、
夢は一つではなく、
今夢として描いていることの他に
もっといろいろな世界があるということだ。
そして、人は思い込みの生き物であり、
夢と思っていることさえも
無意識の固定観念に縛られている。
人生も世界も実際には無数の選択肢があり、
そのトビラを開ける権利は
誰もがもっているのだ。