感動の北海道支部総会への旅 - 第1部

9年前、ALSを発症したばかりの洋平さんが、奥様とともに北海道から私の住む佐賀県を訪れ、私たちの暮らしと考え方を深く学び、北海道に戻りました。あれから9年が経ち、現在、洋平さんは人工呼吸器を使用しながらも、私と同様に口から食事をとる生活を送り、介護事業所を経営し、自立した生活を見事に実現しています。また、日本ALS協会の理事や北海道支部長も務めています。

 

北海道行きの動画↓↓↓

旅の計画と準備
北海道支部総会での講演の依頼を受け、私と妻、そしてヘルパーさん3人の5人で話し合い、3泊4日の旅に出掛ける計画を立てました。各自が準備を進め、期待と興奮が高まっていました。

私は、「30年もなぜ私たちはうまくいくのか?」というテーマで話す原稿と、対談時に使う「ALS患者の在宅生活を支えるプライベートアシスタントの重要性」についての原稿を書きました。さらに、予備として「ALSとの向き合い方」など、3本の動画を作成しました。とにかく、この講演を絶対に成功させるという思いで全力で取り組みました。

今回の講演は、私の妻とヘルパーさんたちも加わり、それぞれの立場でエピソードを交え、本音で話すという素晴らしい企画でした。ヘルパーさんたちも「30年もなぜ私たちはうまくいくのか?」というテーマに沿って、本気で原稿を書いていました。ヘルパーさんたちが講演で話す機会を持つことは、ALS患者の日常生活におけるケアの実際と、そのケアがどのようにして患者及び家族の生活の質を向上させるかについての貴重な情報を提供する絶好の機会です。

ヘルパーからの視点は、ケアに携わる多くの人にとっても、また同じような状況にある他の患者さんや家族にとっても非常に役立つものとなるでしょう。実際、私はヘルパーさんたちの原稿を読ませてもらい、1人でポロポロと感動の涙を流していました。ヘルパーさんたちの話は、もしかしたら私の話よりも感動的かもしれません。

出発の日
出発3日前に、札幌京王プラザホテルに荷物を送りました。その中には、キザミ食を作るための包丁やまな板も入っています。いよいよ出発の日がやってきました。初の北海道なので、全員ハイテンションで福岡空港へ向かい、スムーズに搭乗しました。2時間20分のフライトで新千歳空港に着きました。着陸時には、いつものようにヘルパーさんに額を押さえてもらえば大丈夫でした。

空港で出迎えてくれた洋平さん夫妻とヘルパーさんたちを目にしたとき、本当に北海道に来たことを実感しました。洋平さんと奥さんの五月さんと挨拶を交わした瞬間、何とも言えない感情が込み上げてきて、「洋平さん、五月さんよく頑張ったね!」「よく乗り越えたね、良かった」と心の中で思い、安堵しました。

この日から4日間、五月さんは、毎日私たちをもてなしてくれました。本当に、助かりました。心から感謝いたしております。

ホテルの環境と体調の良さ
宿泊したホテルの環境が非常に良く、私の体調も快適でした。東京の京王プラザホテルと同様に、札幌京王プラザホテルにも電動介護ベッドが備えられていました。さらに、部屋には加湿器も置いてあり、自宅と同じ環境で3泊できることが一番ホッとしたことでした。

以前、水分補給と加湿が不足し、救急車で病院へ運ばれた経験があるため、それ以降、水分補給と加湿には特に注意を払っています。今回の北海道の滞在でも、1日に200mlの水を12杯飲むと決めて、実際にその通りに水分補給を行いました。そのおかげで、毎日絶好調の体調を維持することができました。

このように、快適なホテルの環境のおかげで、体調も非常に良く、充実した旅を過ごすことができました。

講演の内容と感動
今回の講演のテーマは「30年もなぜ私たちはうまくいくのか?」でした。このテーマに沿って、私たちは次のプログラムでお話ししました。会場とZoomを含めて、約100名の参加がありました。

講演のプログラム
★ALS確定診断直後に決めたこと
・診断を受けた直後にどのような決断をしたか、その決断が今の生活にどのように影響したか。

★ALS発症から今の生活にたどり着くまで
・ALS発症から現在の自立した生活に至るまでの経緯と、その過程での学びや成長。

★ALSが教えてくれたこと
・ALSを通じて得た教訓や気づき、そしてそれが日常生活にどう影響しているか。

★私のまとめ: 30年もなぜ私たちはうまくいくのか?
・この30年間を振り返り、私たちがうまくやってこれた理由とその要因。

特別企画
★ 妻の話し
・私の妻が彼女の視点から見たALSとの生活や支援の重要性について語りました。

★ ヘルパーの話し
・中島さん、松田さん、永渕さんの3人のヘルパーがそれぞれの視点から、18年~20年の経験談を語りました。

ヘルパー3人の話しの内容
1. ケアの経験談
・関わり始めたきっかけ: どのようにヘルパーとして関わることになったか、その初期の感想や期待。
・日常のケア: 私の日々のケア業務や具体的なサポート内容。

2. 相互理解の重要性
・関係構築: 私や家族との信頼関係の築き方、コミュニケーション方法について具体的なエピソードを交えて。
・感情の共有: ケアを通じて感じた喜びや困難、感動した瞬間など。

3. 課題と解決策
・直面した課題: ケアの過程で直面した課題や困難、そしてそれをどのように乗り越えたか。
・改善策や学んだこと: より良いケアを提供するための工夫や改善策、この経験から学んだこと。

4. ケアの意義
・ケアがもたらす影響: 私や家族に対するケアの意味と影響。
・ヘルパーとしての達成感: この仕事を通じて得られた満足感や達成感。

5. メッセージ
・他のヘルパーやケアに携わる人へのアドバイス: これからケアの仕事を始める人や、すでに携わっている人へのアドバイスや励ましの言葉。
・社会に向けたメッセージ: ALS患者やその家族への理解と支援の重要性、ケアに関わるすべての人の重要性。

私は、参加者の皆さんからの温かい反応とヘルパーさんたちの前向きな話しに感動し、ポロポロと涙があふれました。

北海道支部のみなさんの歓迎
北海道支部の皆さんの温かい歓迎に感謝の気持ちでいっぱいです。講演後も質問やたくさんの励ましの言葉をいただき、改めてALS患者やその家族、そしてケアに携わる皆さんとの絆を感じました。皆さん、本当にありがとうございました!

まとめと次回予告
今回の講演を通して、私たちがどのようにして30年間もALSと向き合い、うまくやってこれたのかをお伝えできたと思います。次回の投稿では、講演後の親睦会や洋平さん夫妻とその子供たち、ヘルパーさんたちとの交流について詳しくお伝えします。お楽しみに!

 

 

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ALSになることは選べませんが、このALSとどう向き合うかは選べます。人は誰しも難しい問題に直面することがありますが、その問題にどう立ち向かうかで、その人の人生は大きく変わります。

私は自分の人生を最大限に生きて生活することを選びました。ALSと診断されたからといって、自分の人生を諦める必要はありません。

私の体験が、同じように困難に直面している人たちにとって、少しでも勇気や希望の源になれば幸いです。

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