26年前、僕の状態は一言で言えば「危機的」でした。僕の身体は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の影響で、食事を摂るのも一苦労となっていました。飲み込むのが困難になり、時には食べ物を誤嚥してしまうことも。そんな時、妻とヘルパーさんが僕の背中を叩き、食べ物が出るまで頭を下げてサポートしてくれました。真似しないでください。

食事の時間は、1時間以上もかかり、僕の首も自らの力で支えることができず、頭を下げるためにはヘルパーさんの助けが必要でした。当時、僕の体重は驚く31キロ。見るからに健康を損なっている状態でした。

しかし、僕はあえて胃ろう手術を選ばなかった。食事をすることの喜び、それを共にするヘルパーさんとの時間を放棄したくなかったのです。ヘルパーさん達は僕の意向を尊重し、僕と一緒にこの困難な時期を乗り越えてくれました。もし、この時期を家族だけで乗り切ることを試みていたら、僕はおそらく胃ろう手術を受けていたことでしょう。それほど、食事のサポートは過酷でした。

しかし、ヘルパーさんたちはただの介助者としてだけでなく、僕のコミュニケーションのパートナーとしても存在していました。僕が話すことが難しくなっても、彼らとの信頼関係とコミュニケーションが続いていたのです。

当時の僕は、胃ろう手術を受けずにどうやってもっと楽に食事を楽しめるかを日々考えていました。一般的に、ALSの症状が進行すると胃ろう手術が推奨される中、僕はその流れに逆らう選択をしました。これは、ALSの治療の常識に真っ向から挑戦することでした。