質問:ALSになると、呼吸器をつけたら本当に食べられなくなるのですか?
「ALS患者は食べられない」のではなく、「食べ続けるための選択肢を知らされていない人が多い」のではないか。質問:ALSになると、呼吸器をつけたら本当に食べられなくなるのですか?僕の答えは、はっきりしています。僕の場合は、21年前に「胃ろう」をはっきり断りました。胃ろうを否定しているわけではありません。胃ろうで命を守っている方もたくさんおられますし、それも大切な選択です。ただ、僕は「ベッドから離れて、テーブルで食べること」を自分の暮らしの中心に残したかったのです。その数か月後、医師から「安全に、確実に食べられる手術がある」と教えてもらいました。僕はその手術を選択しました。誤嚥の心配をなくし、口から食べ続けるための選択です。今から20年以上前です。だから今の僕は、体はほとんど動かなくても、人工呼吸器をつけていても、テーブルで食事をしています。そこが、社会が一般的にイメージするALS患者像と大きく違うところだと思います。多くの人がイメージするALS患者は、「食べられない」「胃ろうで栄養を取る」「ベッド上で過ごす」という姿かもしれません。でも実際には、20年以上前から、食べ続ける選択肢はありました。食べなくても命を守る胃ろうを選ぶのか。誤嚥をなくして、安全に食べられる方法を選ぶのか。これは、患者本人が選べることなのです。僕は、20年以上前から「ALSは、医療と支援体制があれば、食べられる病気になった」と思っています。ところが、あれから20年以上たった今でも、まだ多くの人が言います。「ALS患者は食べられない」「呼吸器をつけたら絶対に食べられない」いやいや、違います。僕は、食べ続けるための手術を受けたあと、正直びっくりしました。「あんなに頑張って食べていたのは何だったのだろう」そう思うくらい、食べることが楽になりました。もちろん、手術を受ければそれで終わりではありません。大事なのは、その後の暮らしをどう作るかです。僕は、これまで通りテーブルで食べ続けるために、介護の支援体制を維持してきました。食事介助、調理、コミュニケーション。そこまで含めて「食べ続ける暮らし」なのです。そして人工呼吸器をつけて21年目に入った今でも、僕はテーブルで食べ続けています。ALS患者の暮らしは、病気だけで決まるものではありません。どんな医療を選ぶか。どんな支援体制を作るか。本人が何を大切にして生きたいか。そこまで含めて、未来は変わります。だから僕は伝えたいのです。ALSになったら食べられない。呼吸器をつけたら終わり。そんなイメージだけで、本人の未来を決めないでほしい。食べ続けるALS患者の暮らしは、社会が思い込んでいるALS患者像とは、明らかに違うのです。追伸:人工呼吸器は、人生を止める機械ではなかったYouTube→https://youtu.be/z1qR_XROzXM