新日本プロレスの6・16北海きたえーる大会にて、

今年度の『G1 CLIMAX34』エントリーメンバーが発表された。

 

『G1』の最速展望と、6・16北海きたえーる大会の総括を、

今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトに寄稿している。

 

第6試合終了後、7・20エディオンアリーナ大阪から開幕する

今年の『G1』エントリーメンバーが発表された。

 

今年はAブロック、Bブロックに各10選手が出場、

計20名で覇を競うことになる。

 

また、両ブロックの3位までが決勝トーナメント進出権を

ゲットできるという新たな方式も採用されている。

 

たとえば昨年は4ブロック制による計32選手が参加。

それに比べると出場権を得るだけでじつに狭き門であることがわかる。

 

             ■写真提供/新日本プロレス

 

Aブロック=内藤哲也、海野翔太、鷹木信悟、SANADA、グレート‐O‐カーン、

ザック・セイバーJr.、ゲイブ・キッド、EVIL、ジェイク・リー、出場決定トーナメント勝者。

Bブロック=後藤洋央紀、エル・ファンタズモ、辻陽太、ジェフ・コブ、HENARE、

デビッド・フィンレー、成田蓮、上村優也、KONOSUKE TAKESHITA、出場決定トーナメント勝者。

 

一目瞭然といった感じ。

 

ここ数年の『G1』において、常連メンバーであった

石井智宏、YOSHI‐HASHI、KENTA(Aブロック出場決定トーナメント参加)、

棚橋弘至、矢野通、タイチ(Bブロック出場決定トーナメント参加)の

6選手がエントリー漏れして出場決定トーナメントにまわっている。
 

過去の実績よりも、現在進行形で活躍する選手たち。

未来を担う期待の若手勢を優先した格好なのだろう。

 

上記したエントリーメンバーは場内ビジョンでアナウンスされた順番通りだが、

やはり会場がどっと沸いたのはAブロックの最後にジェイク・リー、

Bブロックの最後にKONOSUKE TAKESHITA(竹下幸之介)の名前が発表されたとき。

 

ファンは正直だ。

 

             ■写真提供/新日本プロレス

 

たとえば、AEW&DDT所属のTAKESHITAで思い出すのは、

5・6日本武道館(ALL TOGETHER)のメインイベント。

 

6人タッグマッチ(海野翔太&清宮海斗&上野勇希vs

上村優也&TAKESHITA&シュン・スカイウォーカー)

という日本マット界の明日を照らすようなマッチアップ。

 

直接の勝敗には絡んでいないものの、

ひとりだけスーパーヘビーの肉体を有しているTAKESHITAは、

規格外のパワーを発揮して絶大なインパクトを残している。

 

同じくスーパーヘビー級クラスのノアのジェイクは、

前日(6・15)の『ALL TOGETHER』メインで内藤哲也と一騎打ち。

敗れはしたものの、完全に本気モードと化した内藤を初めて体感している。

 

このジェイクという選手の魅力はリング上のパフォーマンスだけではない。

リング外でもクレバーさを発揮して、インテリジェンスを感じさせてくれる。

 

試合後のコメントを発する際に多くのマスコミが

彼を囲むのには、そういう理由もあるのだ。

 

つねにプロレス界を俯瞰的に捉えており、

一方通行のコメントは絶対に出さない。

 

報道陣の質問に対しても、

理路整然とした的確な言葉を返してくる。

 

だから私はジェイクのことを「プロレス界の哲学者」とか、

「闘う教祖様」などと、勝手に呼称しているのだ。

 

 

すこし遡って、ノアの5・22後楽園ホール大会。

この日、内藤とタッグマッチで対戦したときのこと。

試合前に顔を合わせたジェイクに聞いてみた。

 

「新日本の選手と絡むのは楽しいですか?

とくに内藤は、いまの日本プロレス界で一番人気だけど」

 

「楽しいというより、実際に肌で感じることで収穫が多いんですね。

なぜかといえば、昔の内藤選手は大ブーイングを浴びていたじゃないですか?

ファンにまったく受け入れてもらえなかった。

それなのに自力でいまの立場を作り上げた。

そういうのって、アメリカじゃあり得ない現象だと思うんです。

自力で成り上がってみせた男を感じることで、

私もなにかを得られると思うんですよ。

新日本プロレスに関しては、棚橋さん、中邑さんもそうだったでしょ?

最初は、ファンから拒絶反応を示された。

それを自力で覆してスーパースターになっていった。

なぜ、彼らにはそれができたのか?

私はそういうものを感じてみたいんです」

 

ちょっとヤバいぐらいに突き刺さる言葉だった。

こういう受け答えをできる選手はなかなかいない。

 

KONUSUKE TAKESHITATとジェイク・リー。

この2選手による公式戦は全カードに注目したい。

 

第7試合のNEVER無差別級選手権、

鷹木信悟vsHENAREは6・9大阪城ホールの再戦。

 

両者KOに終わった死闘が1週間後に、

ふたたびタイトルマッチとして組まれた。

 

過去のシングル戦績は、2勝2敗1引き分け。

本当の意味での決着戦となる。

 

今回も真っ向肉体勝負ながら、

勝利に向けて切り返し技も見られる。

1週間でさらに進化した闘いを制したのは、HENAREだった。

 

             ■写真提供/新日本プロレス

 

鷹木の左右のラリアットをカンヌキ状態に捕らえると、

両手首を握ったままジャンピングヘッドバット。

‟新技”UENUKUで、ついにシングル王座初戴冠。

 

思えば、4年近いキャリアを持つヘナーレが

新日本に入門してきたのは2016年のこと。

 

当時、ヘナーレはNEVER無差別級選手権の闘いに釘付けとなった。

石井智宏、真壁刀義、柴田勝頼、永田裕志、鈴木みのる……

武骨な男たちが真っ向からストロングスタイルを貫いていた。

 

だからこそ、彼が目指したものはNEVER無差別級ベルトだった。

いまのHENAREであれば、あの時代にベルトを輝かせた男たちにも

決して引けをとることはないだろう。

 

セミのIWGP GLOBALヘビー級選手権は、

王者であるデビッド・フィンレーの指名試合。

 

昨年の『NJC』決勝戦で敗れたSANADAを挑戦者に指名した。

そのSANADAは体調不良から2ヵ月弱、戦列を離れており、

このタイトルマッチが復帰2戦目となる。

 

不安要素はあるものの、さすがに元IWGP世界ヘビー級王者だった。

フィンレーの仕掛ける巧妙な頭脳戦に、戦略でも一歩も退かない。

 

互いに首狙い、スピード、切り返しと互角のまま終盤へ。

そこで、SANADAをうわまわるパワーで押し切ったのが王者だった。

 

             ■写真提供/新日本プロレス

 

SANADAが仕掛けたシャイニングウィザードを受け止めると、

半ば強引にパワーボムで叩きつけ、一気に必殺オーバーキルへ。

 

いまやジョン・モクスリーと並ぶ

外国人2強としての底力を存分に見せつけ初防衛に成功した。

 

メインは、IWGPジュニアヘビー級選手権。

王者SHOに挑むのは、2月に同じ北海きたえーるで

SHOにベルトを強奪された『BOSJ』覇者のエル・デスペラード。

 

あのときは、いつの間にかリング下に潜んでいたH.O.Tの成田蓮に

場外でスリーパーホールドを決められリングアウト負けを喫している。

 

今回は、デスペラードの提案により

IWGPジュニア戦史上初の金網マッチが採用された。

 

リング内外であくまでヒールファイトに徹するSHOだが、

もともとデスペラードと同じくアマチュアレスリング出身。

さらに米国修行中にはブラジリアン柔術道場に通い詰め、

MMAの試合にも出場経験のある実力派なのだ。

 

その片鱗も垣間見せた。

いわゆるフットチョークである

スネークバイトでしつように絞め上げて、

一度はデスペラードを大の字にしてみせた。

 

そこからデスペラードが復活すると、

レフェリー不在の空間を作り上げたSHO。

そこへ、H.O.Tがパイプイスを手にリングサイドへ。

それを阻止するのが、棚橋、小島、ボルチンの新日本勢。

 

揉み合いの最中、成田らが無数のイスを

金網越しにリング内へと投げ込んだ。

 

             ■写真提供/新日本プロレス

 

ただし、葛西純、ジョン・モクスリーらと壮絶なハードコアの

闘いを経験しているデスペラードは引かない。

 

反対に、そのイスを利用してSHOにダメージを与えると、

垂直落下式リバースタイガードライバーからピンチェ・ロコへ。

必勝パターンで決め、約4ヵ月ぶりにジュニア最高峰のベルトを奪還。

 

名実ともに、新日ジュニアの頂点に返り咲いたデスペラードは、

次期挑戦者としてかつての同志でもあるDOUKIを指名した。

 

もちろん、DOUKIは望むところでベルト奪取を宣言。

戻るべきところに、ベルトが戻ってきた。

 

デスペラードvsDOUKIのマッチアップなら、

これぞ新日ジュニアという闘いを見せてくれることだろう。

 

             ■写真提供/新日本プロレス

 

というわけで、今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて、

6・16北海きたえーる総括と『G1』展望に関して記しているので、

是非とも読んでみてね!

 

「IWGPジュニアに本来の輝きと凄みを取り戻す――。

そのためにデスペラードは“同志”を指名した」6.16北海きたえーるを大総括!

『G1』も最速展望!!【“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信】