スポーツ選手における世界最高額で契約し、今シーズンから

ロサンゼルス・ドジャースの一員となった大谷翔平。

 

スプリング・トレーニングでも笑顔が絶えなかった。

オープン戦でも絶好調のバッティングを披露した。

 

さらに結婚発表。

 

夫人同伴で韓国での開幕2連戦を終えた。

 

その直後、大事件発生。

海を渡ってから6年間、公私ともにパートナーであった通訳の

水原一平氏の違法賭博疑惑が発覚し、ドジャースは水原氏を即刻解雇。

 

米メディアは手の平を返すように、

水原氏ではなく大谷をたたき始めた。

 

「大谷には自分自身の口から事情を話す義務がある」

 

3月25日、大谷が状況説明をする記者会見を開いた。

「なぜ質疑応答がないのか!」と、

それでも大谷たたきが止まらない。

 

29日から本拠地ドジャースタジアムで

アメリカ本土でのゲームがスタート。

 

ヒットは出るものの、ホームランが見られない。

じつに開幕から8試合、ホームランなし。

2018年にエンジェルスに入団して以来のワースト記録。

 

まして、2番=大谷とMVPトリオを結成する

1番=ベッツ、3番=フリーマンが打ちまくる。

 

日を追って大谷の表情から笑顔が消えていく。

正直、その様子を見ているだけで辛くなる。

 

4月2日からドジャースタジアムで、

ライバル球団ジャイアンツとの3連戦が始まった。

 

テレビ観戦していると、大川昇カメラマンから写真が次々と送られてきた。

おいおい、ロスの大谷壁画とドジャースタジアムの風景ではないか?

 

なんと『レッスルマニア』を観戦に行く前に、

ロサンゼルスを訪れ3連戦を見とどけるという。

 

西海岸(ロス)から東海岸(フィラデルフィア)へ

長距離移動なんて、アンタはメジャーリーガーかい!?

 

時差は16時間あるのだが、

観ているものは同じ。

 

試合中に、ラインでやりとりする。

 

「打球が上がらないねえ」

 

「速球に振り遅れてファールになってる」

 

「いまの打席、ホームランボールが2球あったじゃん」

 

「ベッツがあれだけ打つから力んでるよね」

 

「大谷から完全に笑顔が消えた…」

 

こんなネガティブなラインでの会話が3日間つづいた。

なんせ、「プロレスより野球が好き」というのが私たちの合言葉。

しかも、日本のプロ野球よりメジャーリーグが好きという共通点がある。

 

そして、9試合目の第4打席。

開幕から通算して41打席目。

 

ついに出た。

アウトコース高めのボールを捉えると、

打球は右中間の中段席に突き刺さった。

 

ベテランのロハス親分がベンチを飛び出して両拳を突き上げる。

大谷と仲良しのT・エルナンデスがひまわりの種を紙吹雪のように撒き散らす。

 

ドジャースタジアムのファンは総立ち。

もちろん、私も自宅リビングでバンザイ。

 

試合終了から3時間後、大川君から写真が送られてきた。

こちらは夕方の4時30分、ということはロスは深夜0時30分。

 

ホームランを打った瞬間を3塁側ベンチ上の客席から撮影したもの。

さすが、プロカメラマンだ。

もしかしたらプロレスの写真より上手いんじゃないかね(笑)。

 

つづいて、ヒーローインタビューを受けているシーン。

そして、3枚目の写真を見て、愕然とした。

 

もしかしたら世界でひとりだけが撮ったスクープ写真かもしれない。

そう思うと同時に、涙が溢れそうになった。

この還暦を過ぎたオッサンが泣きそうになったのである。

 

 

インタビューを終えた大谷がベンチに下がる前に、

大声援を送ってくれるファンに向かって軽く右手を上げたシーン。

 

右の手のひらが凄まじい状態になっている。

マメがつぶれ、手のひらの下の部分が腫れており、

内出血のせいか手首まで変色しているのだ。

 

4本指にカバーを装着しているが、

おそらくその下も大変なことになっているのではないか?

 

マメがつぶれ変色している部分は、バットスイングするときに

もっとも圧が掛かり衝撃を受ける場所である。

 

それが指の付け根となると、

もっともバットが擦れる箇所。

 

バッティンググローブをはめていてコレなのだ。

いやいや、昔のように素手でバットを振りこんだとしても

ここまではいかないだろう。

 

いったい、どれだけの素振りを繰り返してきたのか?

どれだけバッティング練習に没頭してきたのか?

 

 

試合後の囲み取材で大谷の口から、

いくつか興味深い言葉が出てきた。

 

じつはドジャースベンチに風邪が蔓延しており、

大谷もここ数日体調が悪かったこと。

 

「ホームランがなかなか出なかったのは、

メンタル面の問題ですか?

それとも技術的な部分でしょうか?」

 

このストレートな質問には、こう答えた。

 

「メンタル面を言い訳にはしたくないんで。

メンタル面もふくめて技術だと思っていますから」

 

大川君の写真を見て泣きそうになり、

大谷の言葉に震えをおぼえた。

 

水原氏の違法賭博疑惑の問題に関しては、

連邦政府の捜査とMLB機構による調査が進んでいる。

 

おそらく大谷にも聴き取り調査があるのだろう。

いくら鋼のメンタルをもつ男であっても

平静でいられるわけがない。

 

 

だけど、この右の手のひらを見ればわかること。

 

この右手こそが大谷翔平とは何者なのか、

それを証明しているのだ。

 

 

昨日のシカゴ・カブス戦。

気温6度のシカゴでの第1戦では、

右手1本で第2号ホームランを打った。

 

さあ、もう間もなく第2戦がはじまる。

本日は山本由伸が先発ピッチャー。

 

日本最高最強ピッチャーのピッチング、

大谷の援護弾に期待したい!