2月23日&24日、札幌・北海きたえーる2連戦として開催された大会を

今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホ(web)にて総括している。

 

とにかくテンコ盛りの興行だったので、

総括する試合も多すぎて大変ではあったのだ(苦笑)。

 

             

             ■写真提供/新日本プロレス

 

初日の注目カードはまずIWGP女子選手権。

第3代王者の岩谷麻優に白川未奈が挑戦した一番。

 

新日本のリングでIWGP女子選手権が開催されるのは、

今回が4度目となる。

 

昨年の4・23スターダム横浜アリーナ大会でメルセデス・モネからベルト奪い

あらためてアイコンとしての力量を証明してみせた岩谷。

以来、新日本マットでの防衛戦を熱望してきた。

 

天才肌の岩谷に挑戦を表明したのは、白川未奈。

こちらはアイドル上がりながら努力ひと筋、根性のオンナ。

とくに、この1年での急成長には目を見張るものがあった。

 

昨年の4・23横浜アリーナではワンダー・オブ・スターダム選手権を初戴冠。

その後、ワールド王者・中野たむとのダブルタイトル戦には敗れて陥落。

 

それでも白川は決して折れない。

8月の『5☆STAR GP』公式戦では、

岩谷と並ぶ実力者であり現STRONG王者の

ジュリアからシングル初勝利を奪ってみせた。

 

              

              ■写真提供/新日本プロレス

 

IWGP女子王座が創設される際には

賛否両論が渦巻いた。

 

ところが、今となっては否定派の声など鳴りを潜めている。

スターダムには闘いがある。

体を張った身を削る闘いに男も女も関係ないのだ。

 

前半は白川得意の一点集中攻撃が冴えわたり、

徹底した足攻めに岩谷が苦悶するシーンが多かった。

 

              

              ■写真提供/新日本プロレス

 

ところが、終盤になって岩谷が大爆発。

ダイビングフットスタンプ、ムーンサルトプレスから

オリジナルの二段式ドラゴンスープレックスで快勝。

 

堂々たるⅤ4を達成している。

これがスターダム1期生、キャリア13年の重みなのだ。

 

IWGPジュニアヘビー級選手権では、

1・4東京ドームで王座返り咲きを果たしたばかりの

エル・デスペラードがSHOに敗れる大波乱の結末。

 

               

               ■写真提供/新日本プロレス

 

また、NEVER無差別級選手権でも

ライバル成田蓮を下して勢いに乗る海野翔太が

EVILに屈して大の字となる屈辱を味わった。

 

               

               ■写真提供/新日本プロレス

 

両試合とも当然のように(?)HOUSE OF TOTUREのメンバーが加担。

レフェリー不在の空間を作り上げ乱入・介入とやりたい放題。

 

それにしても、慣れというのは恐ろしい。

H.O.Tの戦法には非難、批判しかなかったのだが、

いまではH.O.Tを応援する会場の声も聞こえてくる。

 

とくにタイトルマッチでは許される行為ではないのだが、

ここまで‟悪”に振り切っていると上手いなあと感心してしまうこともある。

 

なかでも、あれだけ好青年だったSHOが

ここまで化けるとは驚きでもある。

まるで水を得た魚のようなのだ。

 

この勝利によって、3・6旗揚げ記念日では

IWGP世界ヘビー級王者との対戦権利までゲットしている。

 

セミファイナルのNJPW WORLD認定TV選手権では、

初来日のマット・リドルに棚橋が敗れベルトを失った。

 

総合格闘技UFC出身で近年WWEでも活躍したリドル。

プロレスキャリアが浅いためか若干、棚橋もやりづらそう。

 

多少ムーブはぎこちないものの、身体能力は半端ない。

ヒザ蹴りからブロストーン(ゴッチ式ツームストンパイルドライバー)

を決めたリドルが新王者となった。

 

新日本のリング、闘いに慣れてくれば怖い存在となるだろう。

 

初日のメインはIWGP GLOBALヘビー級選手権。

1・4東京ドームで大乱闘を展開した因縁の両選手が対決。

王者のデビッド・フィンレーに挑むのはニック・ネメス。

 

ニック・ネメスという名前にピンとこないファンであっても、

元WWEのドルフ・ジグラーならだれでも知っているだろう。

 

WWEでのキャリアは20年近くを数え、

その間、すべてのベルトを獲得するグランドスラムを達成。

2017年5月にはNXTからスマックダウンに昇格した

中邑真輔のWWEデビュー戦の相手も務めている。

 

率直なところ、ネメスとフィンレーでは実績も格も違う。

それでも、臆するどころか正面から喧嘩を売るのがフィンレーの凄み。

さすが三世レスラーにして、「空気を読まない男」なのだ。

 

1発1発、的確な技を叩き込んでいくネメスに対し、

ラフも交えながら左ヒザを狙い撃ちにするフィンレー。

 

大技の攻防となっても一歩も退かない。

意地のエルボー、パンチ合戦、ヘッドバットの応酬もエンドレスの様相。

 

だが、勝負所でネメスが上まわった。

101(スーパーキック)から必殺のデンジャーゾーン炸裂。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

1発で勝負を決め、ベルトを奪取してのけた。

ネメスには文字通りグローバル(地球規模)のベルトがよく似合う。

 

自分のレスラー人生の第二章を新日本のリングと定めたネメスは、

新日本プロレスと棚橋へのリスペクトを口にした。

 

無論、BCのリーダーであるフィンレーも黙ってはいないだろう。

 

札幌2日目の目玉は、IWGP世界ヘビー級選手権をメインに据えた

ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン対Just5Guysによる5対5対抗戦。

 

対抗戦2試合目の高橋ヒロムvsDUOKIは凄まじくヒートした。

この両選手、じつは2010年デビューの同期(ダジャレではない!)なのだ。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

ただし、実績にはハッキリと差がついている。

過去のシングル戦ではヒロムの4連勝。

 

ところが、DOUKIの意地と執念が上まわった。

ヒロムの仕掛けるTIME BOMBⅡをすべて切り抜け

最後はスープレックス・デ・ラ・ルナを決めて3カウント。

 

メキシコ生まれの逆輸入日本人ルチャドールが、

ついに新日ジュニアのトップ戦線に躍り出たといっていいだろう。

 

つづく、因縁カード鷹木信悟vsタイチも大白熱戦。

ラリアットを打ち合っても絶対に倒れない。

パンピングボンバーvsアックスボンバーの応酬になっても、

よろめきながら意地でもバンプをとろうとしない。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

ひたすら打ち合う。

勝負を決めたのはタイチの連続攻撃。

カウンターのドロップキックからバックドロップホールドをズバリ。

 

この試合から放送席のゲスト解説に就いていたのがオカダ・カズチカ。

 

「いろいろなプロレスがあると思うけど、

打撃だけのプロレスを見せてもらった」

 

オカダも感嘆の声をあげていた。

 

セミファイナルは、凱旋以来1勝1敗で迎えた同期対決。

辻陽太vs上村優也の敗者髪切りマッチが実現した。

 

「メインのIWGP世界ヘビー級選手権を食ってやる」

 

2人の思いは一致していた。

2人がリングインしたときに、オカダはこう言った。

 

「いま入場を観てましたけど、2人ともカッコいいですね。

ヤングライオンのときからみているけど、

この2人にはなにも言うことがなかった。

それぐらいセンスがあったから」

 

やはり、オカダもこの2人に新日本の未来を照らしてみているのだ。

 

上村の徹底した左腕攻撃。

対する辻は逆エビ固めを再三仕掛ける。

 

オールドスクールの攻防がつづくなかでも、

得意とする立体攻撃も織り交ぜていく。

 

辻がスパニシュフライを見せると、

上村はカンヌキスープレックス。

 

かと思えば、いきなりロックアップしてボディスラムや

ショルダースルーの応酬など、まるでYL時代のような攻防も。

 

ただし、辻は一撃に懸けていた。

上村の動きが止まった瞬間を逃さず

強烈なジーンブラスターで決めた。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

上村の長髪をハサミでバッサリと切り取り辻。

さらにバリカンで刈りはじめると、

そのバリカンを奪い取った上村は自分で頭髪を刈った。

 

オールドスクールのレスリングを現代プロレスに復活させた両雄。

今後、どういうスタイルで自分を確立し天下獲りを狙うのか?

ライバル闘争は、まだ始まったばかりだろう。

 

メインは、IWGP世界ヘビー級選手権。

1・4のダイレクトリマッチとなる内藤哲也vsSANADA。

 

内藤の仕掛けが早い。

首狙いの集中攻撃には狂気じみた感情が垣間見える。

明らかに叩きつぶしにいっていた。

 

対するSANADAは当初、内藤の弱点であるヒザを狙ったが、

途中からスカルエンドをはじめとして同じ首狙いへ。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

デスティーノ対デッドフォール。

最終的に、どちらがそれを決めるのかの闘い。

 

ところが、内藤のアドリブ(閃き)で試合が決した。

スイング式DDTにいくと見せかけての

スイング式首固めで24分を超える熱闘にピリオド。

 

SANADAに2連勝、王座Ⅴ1に成功した内藤が、

「デ・ハポ~ン!」の大合唱で締めた。

 

……と思いきや、放送席のオカダをリングに招き入れる。

内藤が拳を突き上げると、躊躇いながらも応えようとするオカダ。

そこへガットショットを叩きんだ内藤はロープワーク。

 

呼応したオカダがドロップキック、レインメーカーを狙うが、

いずれも交わした内藤はリングに寝転んで拳を突き上げた。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

すっかりお馴染みとなったこの光景もこれが最後か?

予期せぬボーナストラックに北海きたえーるが爆発した。

 

苦笑いを浮かべたオカダは放送席に戻ることなく、

真っ直ぐに花道を引き揚げていった。

そのときのオカダの表情はすでに険しいもの。

 

そう、すでにオカダの視線はこれから向かう世界へ、

新たな戦場へと向けられていたのだ。

 

オカダが闘龍門から新日本へと入団したとき、

2人は合宿所で相部屋だった。

オカダの新日本プレデビュー戦の相手を務めたのは内藤だった。

 

時を経て2012年、オカダの凱旋によって内藤はどん底に叩き落された。

それまで棚橋の後継者と目され出世街道を歩んできた男が地獄を味わった。

 

最後の賭けと決めてメキシコにわたり、

ロス・インゴベルナブレスに合流。

 

新たなキャラを構築した内藤はビッグカムバック。

オカダがいたから内藤は生まれ変わることができた。

内藤が復活してきたからオカダはさらに強さを求めた。

 

日本プロレス界人気№1の男と

日本プロレス界最強の男。

 

2・11エディオンアリーナ大阪でオカダvs棚橋の

ライバルストーリーにピリオドが打たれた。

 

そして、2・24札幌でオカダvs内藤の

ライバル闘争にも一応の終止符が打たれた。

 

果たして、何年か後にまた両雄が

交わることはあるのだろうか?

 

というわけで、新日本プロレス・オフィシャルスマホ(web)サイトにて、

全文を読みたい人は、こちらまでアクセスしてね。

 

有料会員になっていない方はご存知ないかもしれないが、

ワタクシ金沢が独断で選出する大会ベストバウト、

大会MVPが必ず最後に記されているので、そちらもお楽しみに!

 

「オカダがいたから内藤は生まれ変われた。

内藤がいたからオカダはさらに強さを求めた」

北海きたえーる2連戦をコラムで大総括!【“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信】 

| 新日本プロレスリング (njpw.co.jp)