新日本プロレスの2・11エディオンアリーナ大阪大会は、

大袈裟ではなく新日本の歴史に刻まれる一夜となった。

 

             ■写真提供/新日本プロレス

 

新日本を復活させた男vs新日本を変えた男、

棚橋弘至とオカダ・カズチカによる最後の一騎打ち。

 

テクニカル№1決定戦と称され実現した

ザック・セイバーJr・vsブライアン・ダニエルソンの

息をのむような珠玉の名勝負。

 

8年にわたり新日本で腕を磨きトップ外国人となった

ウィル・オスプレイの新日本所属ラストマッチ。

 

この3試合がまったく色合いの違う

絶大なインパクトを放ったのである。

 

まず、第5試合に組まれた棚橋ーオカダ戦。

 

まる12年前の2・12エディオンアリーナ大阪大会で

IWGPヘビー級選手権を懸けて両者はシングル初対戦。

 

すでに同ベルトの最多防衛記録Ⅴ11を樹立していた絶対王者を、

海外修行から凱旋して1カ月余のオカダがレインメーカー1発で仕留めた。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

あのレインメーカーショックからスタートしたライバル関係。

過去のシングル戦績は16戦して、オカダの8勝5敗3分け。

 

1・4東京ドーム大会メインのIWGPヘビー級選手権にかぎるなら、

2013年、2015年と棚橋が王座防衛、2016年に初めてオカダが勝利を飾った。

 

「IWGPは、遠いぞ!」

 

両者による闘いの歴史においてキーワードとなったのは、

つねにこのひとことでもあった。

 

17度目の一騎打ち。

正直、コンディション面では比較にならない。

 

いまが絶頂期であるオカダに対し、

すでに社長業と二足のわらじでリングに立っている棚橋。

 

それでも12年分の思いを込めて、棚橋は現在のすべてをぶつけていく。

場外のオカダへ向けてハイフライアタック。

 

スリングブレイド、電光石火(高速スモールパッケージ)で、

オカダの仕掛けるレインメーカーも二度切り返してみせた。

 

だが、最後は兄貴分の中邑真輔を意識したランドスライドから、

完璧なレインメーカーを炸裂させてオカダが‟今”を見せつけた。

 

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ライバル闘争終焉……リング中央で抱擁する両雄。

棚橋が耳もとでかける言葉に何度も頷くオカダ。

 

その後、ライオンマークのに向かって座礼したオカダは号泣。

 

泣きすぎじゃないかって?

仕方がないだろう。

なぜなら、それがオカダという人間なのだから。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

闘い終われば、素直で心優しい好青年。

 

棚橋の思いも背負って、

オカダ・カズチカは世界へと旅立っていく。

 

セミファイナルで実現したスペシャルシングルマッチの

ザック・セイバーJr.vsブライアン・ダニエルソン。

 

この一戦は戦前の予想、想像をはるかに超えてみせた。

リング上、館内がただならぬ緊張感につつまれるなか、

リスト(手首)の取り合い、極め合い、切り返し合戦からスタート。

 

キャチ・アズ・キャッチ・キャン(ランカシャースタイル)をベースに、

ノアマットで腕を磨き、新日本の外国人トップに躍り出たザック。

 

アントニオ猪木が設立した旧ロス道場で闘いとレスリングを学び、

新日本、ノア、ROHを経て、世界最高の団体WWEに進出し

トップスーパースターに上り詰めたブライアン。

 

アキレス腱固めにはアキレス腱固め。

ヒールホールドに移行すれば、同じカタチで切り返していく。

テクニック面で一歩も退かない。

 

そればかりか、アキレス腱を極め合う攻防の途中、

互いに張り手を連発したり空いているほうの足で

相手の顔面を蹴り飛ばしていく。

 

蹴りには蹴り、エルボーには意地のエルボー返し。

ついに凄まじいヘッドバット合戦にまでエスカレート。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

ブライアンが吊り天井からのドラゴンスリーパー。

ザックはコブラツイストからのオクトパスホールド(卍固め)。

 

新日本プロレス流の攻防も織り交ぜていく。

 

闘いは30分を超えた。

あっという間の30分。

それほど中身が濃すぎる。

 

切り返し合戦の結末は、ザックが制した。

一瞬の変型十字固めで3カウント奪取。

 

決着がついた瞬間、それまで固唾を飲んで見守っていた

エディオンアリーナ大阪の観客が大爆発した。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

至極の闘い。

珠玉の名勝負。

 

これが、レスリング。

これぞ、ストロングスタイル。

 

そして、たしかに闘魂が宿っていた。

 

カール・ゴッチvsビル・ロビンソン戦。

アントニオ猪木vsビル・ロビンソン戦

 

昭和のストロングスタイルが

グレードアップして令和で甦った。

 

もし、天国の猪木さんがこの試合を観ていたなら大きく頷いたはず。

猪木さんのことだから、こんなセリフまで口にしたかもしれない。

 

「ガイジン同士にこんな試合をやられて、

お前たちは、悔しくないのか!?」

 

まさにシビレっぱなしの32分46秒だった。

 

メインでは一転して、とんでもない試合が行なわれた。

ウィル・オスプレイ壮行試合でありながら感傷は微塵もない。

 

UNITED EMPIREとBC WAR DOGSによる

5対5のドッグパウンドケージマッチ。

 

ケージの中に、パイプイス、テーブル、ラダー、アルミ缶、

有刺鉄線、フォーク、画鋲……と次々と凶器が持ち込まれる。

 

オスプレイから始まって、選手たちが血塗れになっていく。

挙句の果て、WAR DOGSはリング上を覆うキャンバスを剥がし、

セーフティマットも取り去り鉄骨の上に敷かれた板だけの状態に。

 

これではまるで、みちのくプロレスの『宇宙大戦争』だ。

 

さらに、ジェフ・コブとHENAREに手錠を掛けケージに繋ぐ暴挙。

60分を超えた死闘? 喧嘩? いや戦争を制したのはWAR DOGS。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

リング上に残ったのは、WAR DOGSの5人とオスプレイのみ。

フィンレーがオーバーキルでオスプレイを仕留めた。

 

新日本プロレスで、こんなのアリ?

一歩間違えれば、大惨事だろ!

 

いろいろな意見、賛否両論が飛び交うことだろう。

 

ただ、最後はUNITED EMPIREのメンバーがリングに勢ぞろい。

マイクを握ったオスプレイが万感の思いで訴えた。

 

「俺は約束する。かならずここにまた帰って来る!」

 

観客は盛大な「オスプレイ」コールで、

‟天才”最強外国人レスラーを送り出した。

 

というわけで、新日本プロレス・オフィシャルスマホ(WEB)サイトにて、

この3試合をテーマとして濃厚に総括しているので読んでみてね。

 

「“新日本を復活させた男vs新日本を変えた男”の最終章!

セミは至極の名勝負、メインは対極の全面戦争に!!」2.11大阪大会を総括!!

【“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信】 | 新日本プロレスリング (njpw.co.jp)

 

 

【追伸】

Ⅹなるものまったく見ないワタクシ金沢だけど、

先月だったかたまたま目に入ったのがこんな書き込みだった。

 

「金を出して読む価値なんてないな」

「どうってことないことしか言ってない」

 

ふーん、そうかい⁉

 

プロレスとは歴史のうえに成り立っているもの。

今回の総括をじっくり読んでごらん。

 

そんなことは絶対に思わせないからね!!