2024年の1・4東京ドーム大会は、
ひさびさのハッピーエンドで幕を閉じた。
ドームに詰めかけた観衆は、2万7422人。
ぱっと見て近年ではイチバンよく埋まっていたし、
これは3万人を超えているかな、と思っていた。
ただし、実数発表だとこうなるわけだ。
■写真提供/新日本プロレス
年明け早々にして、日本列島には衝撃がはしった。
1日に起こった能登半島地震による大被害、
3日に羽田空港で起こった日航機と海自機による衝突事故。
それに伴う空港の一部閉鎖など……。
聞くところによると、その影響を受けて地方から東京ドームへ
来場できなかった方たちも相当数いたらしい。
無論、被害を受けた人たちからすれば、
プロレス観戦どころの話ではない。
そんな状況でも、コロナ禍での4年間でもっとも集客したわけである。
今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて、
1・4東京ドームの大総括として6試合に絞って書かせてもらった。
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まず、直前で決定した辻陽太vs上村優也の同期対決。
IWGP世界ヘビー級王座挑戦、US(UK)ヘビー級王座挑戦と、
昨年の下半期に大躍進を遂げたロス・インゴの辻。
一方、10月の凱旋以降、シングルでの大舞台をまだ踏んでいない上村。
わずか半年とはいえ、実績ではすでに辻が大きくリードしていた。
辻が現時点での差を見せつけるのか?
上村が直接対決によって力量を証明してみせるのか?
凱旋以来初となる同期対決は辻が終始、
試合をリードしているように映った。
ところが最後の最後で上村が大反撃。
裏投げ、ドラゴンスープレックス、カンヌキスープッレクスホールドと、
得意のスープレックス3連発で辻からピンフォールを奪ってみせたのだ。
こと、この一戦にかぎっていうなら、
勝敗よりも両選手の気持ち、モチベーションが重要だったと思う。
試合後、2人は同じようなコメントを口にした。
「闘いは今日はじまったばかり。
俺たちは東京ドームのメインイベントで
IWGP世界ヘビーを懸けて闘わなきゃいけない」
ユニット、試合スタイルは違っても、
目指すところ、目標は同じなのだ。
この両選手がドームのメインを締める日は、
そう遠くないような気がする。
第4試合では海野翔太&清宮海斗の越境コンビが、
因縁のH.O.T(EVIL&成田蓮)と対戦。
2日前の1・2ノア有明アリーナ大会では、
ノア&新日本連合軍がH.O.Tのフルメンバーと
6対6のイリミネーションマッチを行ない、
清宮のひとり残りで連合軍が快勝。
ノアファン、新日本ファンともに留飲を下げている。
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ただし、タッグマッチとなると例によってH.O.Tはやりたい放題。
レフェリーのブラインドを衝いて介入・乱入、凶器攻撃を連発。
清宮&成田も初タッグとは思えないほど、
見事な連携プレイ、合体攻撃を披露したものの、
やはり多勢に無勢では限界があった。
最後は孤立した海野を狙い撃ちにして、
プッシュアップバーでの一撃からダブルクロスを決め、
成田が同期のライバルを沈めた。
この結果をうけて、1・24後楽園ホールのメインで
海野vs成田のシングルマッチが決定している。
ただ、もうひとつ注目したいのは成田と清宮のコンビ。
絵に描いたようなベビーフェイスの2人はまるでヒーローズ。
このコンビも一回かぎりで終わらせるのはもったいないと思うのだ。
IWGPジュニアヘビー級選手権は今回をふくめ3年連続で
同ベルトを懸け1・4で対峙する高橋ヒロムvsエル・デスペラード戦。
同期のライバル対決にして、
ジュニア名勝負数え唄。
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そう呼称されるに相応しい闘い模様となった。
途中、デスペラードが手術明けの目を気にすれば、
容赦なく顔面狙いのトラースキックを打ちこんでいくヒロム。
対するデスペラードは、凄まじいエルボーをボコボコに叩き込んでいく。
1年間ベルトを守りぬいてきたヒロムもこの猛攻にダウン。
最後は、対ヒロムの必殺パーターンへ。
リバースタイガードライバーからのピンチェロコ。
ジュニアの頂点を象徴するベルトはIWGPジュニア王座のみ。
熾烈なジュニア戦線の頂点を決めるに相応しい攻防だった。
新設されたIWGP GLOBALヘビー級初代王者決定3WAYマッチで相まみえたのは、
ウィル・オスプレイvsジョン・モクスリーvsデビッド・フィンレーの3選手。
序盤、オスプレイとモクスリーはUSベルトとUKベルトを破壊した
‟空気の読めない男”フィンレーを徹底して狙う。
ただし、3WAYマッチである以上は
直接勝利を奪った者だけが勝者であり新王者。
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リング内外で、3選手がハードコアマッチさながらに大乱戦。
終盤ピンチに陥ったフィンレーの助っ人としてBULLT CLUBの
アレックス・コブリン&ゲイブ・キッドが乱入しテーブル2台を設置。
ところが、反撃にでたモクスリーが2人をテーブルに寝かせる。
そこへ目がけてオスプレイがコーナーからスワントーンボム。
2人まとめてテーブルクラッシュという離れ技を披露した。
リング上はオスプレイvsモクスリー。
ストームブレイカーで勝負ありと思ったところで、
大ダメージを被っていたフィンレーがカムバック。
オスプレイに新技オーバーキルを決めベルトを強奪してみせた。
明らかに一番ダメージを受けていながらの王座戴冠。
ブーイングも起こったが、文句のつけようもない結末。
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さらに、フィンレーはリングサイドのゲスト席で試合を観戦していた
元WWEスーパースターのドルフ・ジグラーことニック・ネメスを挑発して殴り合い。
空気の読めない男は、怖いもの知らずでもあった。
格上のオスプレイ、モクスリーをまんまと出し抜き、
さらにWWEの頂点にも立ったネメスに唾を吐きかける。
フィンレーは自らホンモノであることを立証してみせたのだ。
セミファイナルでは、AEWで実現したドリームカードが日本上陸。
オカダ・カズチカvsブライアン・ダニエルソンの2度目のシングル戦が組まれた。
6・25AEW『禁断の扉』では、変型YESロックでブライアンが勝利。
ただし、試合中に右腕を骨折したブライアンは長期欠場を余儀なくされた。
また、10・25AEWカナダ・トロント大会ではタッグで対戦。
ブライアン組が勝利を収めたものの、
オカダのレインメーカーにダウン。
この一撃でブライアンは左眼窩底骨折を負っている。
シングル、タッグと連勝しながらも大ダメージを被っている
ブライアンから要求するカタチで第2ラウンドが決まったのである。
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オカダの右腕を狙い、かなりエグイ攻めを披露するブライアン。
ただし、もとはといえば正統派のファイター。
スタンド、グラウンドとオカダ相手に一歩も退かない。
むしろ、サブミッションでは圧倒していたかもしれない。
心地いいレスリングが展開されていく。
そこにはオールドスクールも現代プロレスもない。
これがプロのレスリングといっていいだろう。
腕攻めに苦闘したオカダだったが、
最後はレインメーカーで勝利。
■写真提供/新日本プロレス
もう、遺恨も因縁もない。
オカダが座礼をすると、ブライアンも座礼で返す。
新日本プロレス旧ロス道場で腕を磨き、
新日本、ノアを経て世界的スーパースターとなったブライアン。
試合後には、新日本へのリスペクトの気持ちを話し、
なんと‟猪木イズム”にまで言及している。
年明け早々に、世界トップレベルの素晴らしいレスリングを見せてもらった。
最高の空気感につつまれるなか、メインイベントへ。
IWGP世界ヘビー級選手権、SANADAvs内藤哲也。
新日本プロレス公開入門テストで出会ってから18年。
同じロス・インゴの同志として7年間を過ごしてきた両選手。
過去のシングル戦績は、SANADAの2勝1敗となる。
スピード、レスリングのスキルなどパーフェクトだし、
スマートで華麗な試合をウリにする両選手。
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だが、過去の試合とは一転し、泥臭い闘いとなった。
昨年11月に三度目の目の手術を受けた内藤だが、
「手術前とあまり変わらない状態」と言っていた。
それもあってか、徹底した首狙いで接近戦に持ち込んでいく。
それに耐え抜いたSANADAは立体的な攻撃で返していく。
一進一退。
SANADAが掟破りのデスティーノを放てば、
内藤も掟破りのデッドフォールで切り返す。
このデッドフォールが強烈に決まった。
チャンスと見た内藤はバレンティアから
ついに正調デスティーノを決め3カウント奪取。
25分42秒の激闘に終止符を打った。
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ベルトを手にマイクを握った内藤。
そこへ乱入してきたのがEVILとディック東郷だった。
戦前からマスコミ間では、こんな会話が交わされてきた。
「もし今回もH.O.Tが乱入してきたら、逆に大したもんだよね」
もちろんジョーク交じりの会話なのだが、
本当にエンディングをぶち壊しに来たのだ。
ここでダウンしていたSANADAがEVILにシャイニングウィザード。
さらにSANADAのアシストを受けた内藤が東郷に低空ドロップキック。
2人で邪魔者を排除してみせた。
内藤が感謝の気持ちを伝えると、
退場していくSANADAは涙を流していた。
大舞台のメインで敗れた悔しさなのか?
2人にしかわからない18年越しの思いが駆けめぐったのか?
最後は、内藤が心おきなく「デ・ハポ~ン!」の大合唱で締めくくった。
ひさびさのハッピーエンド。
2024年の1・4東京ドーム大会。
詰めかけた観衆も動画を視聴していたファンも、
大満足、大納得の興行だったと思う。
2023年の総決算にして、
2024年のスタートでもあった東京ドーム大会。
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だからこそ、もう次の闘いはスタートしている。
SANADAの要求が通って、2・24北海きたえーるでリターンマッチが決定。
IWGP(世界)ヘビー級王座のリターンマッチはいつ以来となるのか?
極めて異例の事態ともいえるだろう。
■写真提供/新日本プロレス
というわけで、新日本プロレス・オフィシャルスマホ(web)サイトはこちらまで。
前記した6試合を振り返り、検証しているので、読んでみてくださいね。
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