新日本プロレスの今年度首都圏最後のビッグマッチ、

10・9両国国技館大会の総括(‟GK”金沢克彦の新日本プロレス通信)が

新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにアップされている。

 

いきなり注目を浴びたのは第1試合の6人タッグ戦。

遺恨渦巻くJust 5 GuysとHOUSE OF TOTUREの絡み。

 

ここで‟Ⅹ”と発表されていた人物に関しては、

さまざまな憶測の声があがっていた。

 

フリー宣言をした他団体の大物選手、ニューカマーの外国人選手、

そして海外修行中のあの男……などなど。

 

答えは、ストレートに出た。

 

館内スクリーンに、「HEAT STORM」の文字が映し出され、

Just 5 Guys入場の先頭を切って歩いてきた男。

 

上村優也だ!

 

観客もすぐに気が付いて大歓声で迎え入れる。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

リングインして白のガウンを脱ぎ去ると、

オレンジを基調としたド派手なコスチュームに、

ビルドアップされた見事な肉体が顕になった。

 

試合は当然のように荒れ模様で乱戦となる。

そんな中でも、上村らしさが最後に爆発した。

 

コーナーを背にした高橋裕二郎に打点の高い

矢のようなドロップキックを打ちこんでから、

ダイビングボディアタック。

 

トドメはヤングライオン時代からフィニッシャーとしていた

カンヌキスープレックスホールド。

 

約2年ぶりの新日マット凱旋、しかも第1試合でありながら、

顔見せとしてはインパクト充分の闘いぶりだった。

 

上村の入場時、試合中に感じたのは、

風貌が棚橋弘至に似ているなあということ。

 

これは海野翔太の凱旋試合でも思ったことなのだが、

海野の棚橋似ともまた違ってみえた。

 

棚橋プラス鈴木健三(→健想→KENSO)といった趣き。

つまり、タナケン(キング・オブ・ザ・ヒルズ)である。

 

タナの明るさと健想のワイルドさ。

その両方を兼ね備えているような風貌。

まさに、ひとりタナケンである。

 

 

これにて、令和闘魂三銃士(成田蓮、海野、辻陽太)につづく

第4の男が新日マットに凱旋し、役者がそろった感もある。

 

「ボクはIWGP世界ヘビー級のベルトを巻いて、

世界1のレスラーになります!」

 

バックヤードで堂々とそう宣言した。

 

成田=25歳、海野=26歳、辻=30歳、上村=28歳。

1990年代生まれ、いわゆるZ世代による天下取りレースが開戦する。

 

上村に関しては、ヤングライオン時代からその素質が高く評価されていた。

高校、大学とレスリングに没頭し、特にグレコローマンスタイルで実績を残した。

それもあって、スープレックス系の技にキレがある。

さらに抜群の跳躍力を生かしたドロップキックも素晴らしい。

 

そして、何よりも向こうっ気の強さが半端ない。

あの鈴木みのるに自ら張り手を叩き込んでいったこともある。

無論、倍返しでボコボコにされてしまうのだが、

その試合後の悔しがりかたも尋常ではなかった。

 

みのるが、「面白いやつだ」と認めていたほど。

 

令和闘魂三銃士に上村優也。

すでに時代は動き始めているのだ。

 

セミファイナルのIWGPジュニアヘビー級選手権3WAYマッチは、

挑戦者のひとりであるリオ・ラッシュが体調不良により欠場。

代わって、ラッシュのタッグパートナーであるYOHが出場し、

高橋ヒロムvsマイク・ベイリーvsYOHの3人が相まみえた。

 

結果は、ヒロムがYOHからピンフォールを奪いⅤ6に成功。

そこへ、あの男が姿を現した。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

1・4東京ドームのIWGPジュニア4WAYマッチでヒロムにベルトを奪われ、

5・1後楽園ホールで行なわれた『BOSJ』公式戦でヒロムにレフェリーストップ負け。

その試合で頸椎を負傷し長期欠場を余儀なくされていた石森太二である。

 

1・4でもヒロムに直接敗れたわけではない。

また、無念のレフェリーストップでの長期リタイア。

 

ヒロムには借りがありすぎる石森が挑戦表明。

また、王者のヒロムにしても望むところ。

石森に直接勝つまではベルトを腰に巻かない。

そう決めてヒロムはここまで防衛を重ねてきたからだ。

 

新日ジュニアの大一番。

時は来た!という感じだろう。

 

メインイベントでは、IWGP(世界)ヘビー級選手権史上初となる

ランバージャックデスマッチが王者の提案により採用された。

 

SANADAvsEVILの元タッグパートナー対決。

両選手入場を前にABEMAアンバサダーを務める

武藤敬司が放送席に就いて決戦ムードが高まる。

 

序盤こそ、不穏な動きを見せなかったH.O.Tセコンド陣だったが、

中盤からはEVILと連携してレフェリー誤爆などを誘発し、

乱入・介入・凶器攻撃とやりたい放題。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

十八番ともいうべき団体戦に持ち込んだ。

ただし、最後までSANADAは冷静だった。

掟破りの逆EVILで反撃に転じると、師匠の目前で

後ろから前からシャイニングウィザードを連発。

 

トドメは、デッドフォールで3カウント奪取。

4度目の防衛に成功し、1・4東京ドームのメイン出場も決めた。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

ゲスト解説の武藤からベルトを贈呈され感無量の面持ち。

やはり、SANADAにとって武藤の存在は特別なのだ。

 

そこへ、1・4の挑戦者である内藤哲也もリングイン。

4年前の東京ドームのメインでKENTAの乱入により未遂に終わった

「デ・ハポン!」の大合唱を実現させることをアピール。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

SANADAによる締めのマイクもよかった。

 

「今日集まってくれた皆さんの声援や拍手、

この景色、一生忘れません。

1月4日、東京ドームまで、SANADAはますます驀進します!」

 

18年前に実施された新日本プロレス公開入門テスト。

内藤だけが合格し、真田聖也は不合格に終わった。

その真田を武藤塾で見い出し全日本へ入門させたのが武藤。

 

かつて恩師が残した名言で締めくくったのだ。

 

1995年8月15日、両国国技館。

IWGP王者として『G1 CLIMAX』に挑んだ武藤は

優勝戦で橋本真也を破り、IWGP王者として初めてG1制覇を達成。

 

マイクアピール、喋りを苦手としていた男がこう咆哮した。

 

「自分は感激しています!

いま、このとき、この時間を皆様と共有できて嬉しいです。幸せです。

武藤敬司は、ますます驀進します!!」

 

同じ両国国技館のリング。

しかも、同年の新日本vsUインター全面戦争(東京ドーム)の

メインで武藤が高田延彦を破り、IWGPを死守した10・9という日付。

 

              ■写真提供/新日本プロレス

 

なにか歴史が掘り起こされて、過去と現在が被ってくる。

これがプロレスの魅力であり、プロレス独自の世界観なのだろう。

 

そんなことにまで思いを馳せつつ、

今回も総括を記してみた。

 

新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトの本編も、

ぜひ読んでみてくださいね!

 

「SANADA、内藤、そして武藤をめぐるドラマチックな世界観!

 上村の凱旋で“役者はそろった”!」10.9両国を大総括!!

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