4日、宝島社の宝島SUGOI文庫より波瀾万丈のレスラー人生を

歩んだ橋本真也の完全本ともいうべき文庫本が発売されている。

 

証言 橋本真也

破壊王とアントニオ猪木「相克」の真相

 

 

表題のとおり、1999年1月4日の東京ドーム大会で勃発した

橋本真也vs小川直也による不穏試合……いわゆる1・4事変。

 

それを境に激しく動きはじめた橋本のレスラー人生、

猪木との確執、引退を懸けて挑んだ最後の小川戦、

ZEROーONE設立、40歳での早すぎる死……。

 

当時の破壊王を知る29人の証言者たちが、

事件の裏と表、橋本の生きざまを語っている。

 

今回の文庫本は過去に宝島社から出版された単行本4冊のなかから、

橋本真也に関する部分だけを再編集したもの。

 

したがって文庫本でありながら、

異例の573ページという超ボリュームとなっている。

定価=1430円。

 

ワタクシ金沢も、第三章・橋本vs小川「至近距離」の目撃者たち、

第五章・破壊王「解雇」の真実の証言者として二度登場。

 

さらに、特別コラム 橋本真也「忘れられない」名勝負として、

橋本真也vs栗栖正伸(1990年8月4日、後楽園ホール)という

伝説の喧嘩マッチに関するコラムを寄稿している。

 

以下、本の内容に関して――。

 

なぜ猪木は橋本を「標的」にしたのか?

 

“凄惨ガチ”試合「1・4」の全舞台裏と

破壊王の壮絶すぎるプロレス人生――。

 

1999年1月4日、東京ドーム――。橋本真也と小川直也の3度目の対戦は、

「1・4事変」として後世に語り継がれる大事件となった。

「U.F.O.」を設立し古巣に喧嘩を売るアントニオ猪木、現場を仕切る長州力、

そして小川のデビュー戦で噛ませ犬とされた橋本。三者三様の思いが交錯した末の凄惨な試合。

満身創痍の橋本はその後、「引退特番」という地獄へ――。

29人の目撃者が語る破壊王と燃える闘魂、「相克」の真相。

 

■証言者 長州力、前田日明、山崎一夫、藤田和之、安田忠夫、大仁田厚、

佐山聡、ジェラルド・ゴルドー、村上和成、加地倫三、金沢克彦、辻よしなり、

田中ケロ、上井文彦、中村詳之、永島勝司、橋本かずみ、藤波辰爾、大谷晋二郎、

勝俣州和、橋本大地、金村キンタロー他。

 

※本書は小社より2018年8月に刊行した『長州力 最後の告白 誰にも語れなかったプロレス重大事件 その真相と顛末』、2018年12月に刊行した『証言1・4 橋本vs.小川 20年目の真実』、2019年4月に刊行した『証言「橋本真也34歳 小川直也に負けたら即引退!」の真実』、2020年12月に刊行した『俺たちのプロレス名勝負読本』を再編集したものです。

 

2005年7月11日、40歳の若さで急逝した橋本真也。

それ以降、橋本に関する単行本、ムックなどは、

「これでもか!」とばかりに多数刊行されてきた。

 

いい意味でも悪い意味でも話題に事欠かなかった男らしい。

表現方法はよくないのだが、死人に口なし。

みんなが、破壊王との思い出を好き勝手に語る。

私だって、そのひとりとなってしまうのだろう。

 

天の上から橋本はそれをどんな思いで見ているのだろうか?

 

「それは言うなよ!」

「話が3倍になっとるやないか!」

「やってない、やってないって(笑)」

 

ときにはムッとして、ときには爆笑。

そんな感じで他人事のように見ているのかもしれない。

 

1986年にこの業界で仕事をはじめたとき、

私がイチバン最初に仲良くなった選手は、

橋本真也と船木優治(現・誠勝)だった。

 

フレンドリーな2人とはすぐに打ち解けることができた。

とくに橋本は最初からトンパチ全開で面白い男だった。

 

例の1・4事変前後からナーバスになっていた彼とは

何度か衝突することもあったが、

根本的な部分では分かり合えていたと思っている。

 

 

と思っていたら、懐かしい写真が出てきた。

IWGPヘビー級ベルトを肩にした橋本と、

橋本のでかいサングラスを借りて掛けている私。

 

1994年の夏頃、東京都庁をバックに撮影したもの。

2人ともシャツをジーパンの中に入れているし、

橋本のベルトのバックルがやたらデッカイ。

 

なんとも時代を感じさせるなあ(笑)。

 

で、このときに思い出深い出来事がひとつあった。

せっかく都庁まで来て撮影したのだから、

45階の展望台まで行ってみようとエレベーターに乗り込んだ。

 

そのとき、女子高生らしき3人組と乗り合わせた。

女の子たちがこちらをチラチラ見ながら声を潜めて会話していた。

 

「あの人、見たことあるよね?」

「うん、あるある。誰だっけ?」

「プロレスの人だよ」

「え~と、なんて名前だっけ?」

「わかった! 藤波さんと試合してた人だ!」

 

もう、私は笑いを堪えるのに必死だった。

エレベーターを降りて、すかさず言った。

 

「うーん、惜しかった。ねえ?藤波さんと試合してた人(笑)」

 

「オレもまだまだだなあ…(笑)。いいところまでいったのに」

 

そう言って、橋本はコケるようなポーズをして笑っていた。

明るく天真爛漫だった破壊王とのちょっとしたいい思い出。

 

破壊王・橋本真也よ、永遠に!