7月15&16日、札幌・北海きたえーる2連戦からスタートした
新日本プロレス真夏の祭典『G1 CLIMAX 33』。
すでに開幕2連戦の模様を速報レポートして、
新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトで総括している。
予想通り、開幕初日から最注目のAブロックが爆発した。
まず、第4試合の公式戦で同期のライバルである
海野翔太と成田蓮が通算7度目の一騎打ち。
ヤングライオン時代の戦績は海野の4勝2引分け。
海外修行を経て昨年凱旋してからは初対決となる。
この2人が対峙すると、あの同期のライバル関係が被って見える。
‟元祖”闘魂三銃士ではなく、新闘魂三銃士の2人である。
もともと、闘魂三銃士にしても新闘魂三銃士にしても、
今回の海野、成田、辻陽太の令和闘魂三銃士にしても、
会社サイドが若武者3人衆を売り出すために命名したもの。
そのなかで、このユニット名に猛然と反発したのが柴田勝頼だった。
「俺を新三銃士でくくるな!」
同期で年長の棚橋はともかくとして、
同い年ながらデビューでは3年後輩にあたり、飛び級出世した
中邑真輔に対する敵がい心には凄まじいものがあった。
その柴田に弟子入りして米国LA道場で腕を磨き、
凱旋してから鈴木みのる率いる『ストロングスタイル』入りした成田。
一方、コスチューム、風貌が棚橋に酷似しており、
試合でのパフォーマンスは棚橋に内藤哲也の
エッセンスも感じさせる成田。
■写真提供/新日本プロレス
この2人が対峙すると、
自ずと良きライバル関係がオーバーラップする。
棚橋vs柴田の同期対決である。
20分間、引くことなくぶつかり合った両選手。
成田はベースとなるアマチュアレスリングを駆使して、
スープレックス、ローリングアンクルホールドから
変型テキサスクロバーホールドといったムーブを披露。
■写真提供/新日本プロレス
一方、リング全体を使う立体攻撃を中心に組み立てながらも、
蝶野正洋直伝のSTFを公開する海野。
いやいや、フェースロックではなく、
これはチョーク気味のスリーパーホールド。
STFならぬSTSだった。
結局、両者こだわりのフィニッシャーでもある
変型デスライダーでもコブラツイストでも決まらず。
■写真提供/新日本プロレス
20分があっという間に過ぎてドロー。
ただ、仮に30分でも60分の勝負タイムでも
決着がつかなかったかもしれない。
試合後の両選手のコメントを聞いて、そう思った。
「成田、かならず決勝上がって来いよ。
決勝で、また1対1で決着つけようぜ!」
「20分、いや30分、いや60分、(時間)無制限……
どんなカタチでも俺は絶対負けたくない。
引き分けたくもない。
あいつに勝ちたいんだ!」
勝ちたい、負けたくないは当たり前。
そこで成田が口にした「引き分けたくもない」は、
新たなライバル用語として響いてくる。
第6試合では、今回もっとも因縁が盛り上がった対決。
辻陽太vs清宮海斗が組まれた。
前日会見でも、両者は舌戦を展開した。
「夏の湿気でシケシケのマッチ棒」と清宮を挑発すれば、
「ポッと出のグリーンボーイ」と辻を格下扱いした。
■写真提供/新日本プロレス
先にリングインした辻が、
観客にアピールしながら入場してきた清宮に奇襲。
ゴング代わりのトぺスイシーダを放った。
一気呵成にラフ&パワーで攻め込んでいく辻。
かと思えば、ルチャ殺法や打撃も飛び出す。
やはり、この男はモンスター化してきた。
あのニタニタ笑いと長髪の風貌は、
どこか全盛期の高山善廣を彷彿させる。
■写真提供/新日本プロレス
ただし、清宮は落ち着いている。
ドラゴンスクリューを皮切りに左膝への一点集中攻撃。
派手な足殺しは武藤敬司から伝授されたものであり、
地味な膝攻撃は‟職人”小川良成から学んだもの。
清宮のベースには、旧・全日本プロレス、新日本、
さらにノアとさまざまなファクターがあるのだ。
■写真提供/新日本プロレス
勝負を制したのは清宮。
タイガースープレックスはキックアウトされたものの、
変型のタイガードライバーから変型シャイニングウィザードをズバリ。
予想以上に噛み合った好勝負に決着がついた。
勝敗を分けたのは、やはり引き出しの差だったように思う。
■写真提供/新日本プロレス
「ずっと『眼中にない』って言ってきたよ。
あいつでも、スゲェ―よ。
いまこの新日本のリング感じてるよ。
辻と闘って感じたよ。
もうイチ選手として、日本のプロレス界の未来になってんじゃないの。
でもね、俺はいま主役にならなきゃ絶対にいけないから」
清宮の表情は充実感に満ちていた。
時おり、笑みさえ浮かんでいた。
自ら乗り込んだ新日本プロレスを体感できた喜び。
辻から感じ取った大きな手応え。
単なるリーグ戦の1試合にあらず。
清宮も辻も株を上げる内容だった。
新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトの
『G1』開幕2連戦の速報レポートはこちらへ。
「海野vs成田、辻vs清宮の“新世代2番勝負”をどう観たか?
早くも大荒れ模様!『G1 CLIMAX 33』開幕2連戦を総括!」
【“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信】 | 新日本プロレスリング (njpw.co.jp)
【追記】
その後も、やはりAブロックは白熱している。
7・18山形では、成田vs辻が20分ドロー。
IWGP世界王者SANADAは海野に貫禄勝利。
7・21長岡大会では、海野vs清宮が大熱闘の20分ドロー。
SANADAは苦戦しながらも辻を退けている。
今後も瞬き厳禁といっていいAブロック。
SANADA、清宮、令和闘魂三銃士が
どのような闘いの物語を紡いでいくのか、注目だ!