6月9日、新日本プロレス、全日本プロレス、ノアの3団体が
共催するカタチで両国国技館にて行なわれたオールスター戦、
『ALL TOGETHER AGAIN 元気があれば何でもできる!』。
■写真提供/新日本プロレス
この大会に関しての総括が新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトの
『号外!‟GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』にアップされている。
第0試合も含めたら全11戦。
約4時間のロングランとなったALL TOGETHER(以下、AT)だが、
過去には東日本大震災復興支援チャリティープロレスとして開催されている。
第1回大会は、2011年8月27日、東京・日本武道館にて。
第2回大会は、2012年2月19日、仙台サンプラザホールで。
あれから11年、コロナ禍からなんとか復活して
プロレス会場にも観客の声が戻ってきたことから、
「元気があれば何でもできる!」と猪木さんの決め台詞を
借りての両国国技館大会での開催の運びとなったわけだ。
そういえば、第1回のメインカードは
棚橋弘至&諏訪魔&潮崎豪vs杉浦貴&KENSO&中邑真輔。
セミファイナルが、武藤敬司&小橋建太vs矢野通&飯塚高史。
第2回のメインは、棚橋&諏訪魔&森嶋猛vs内藤哲也&真田聖也&潮崎。
セミが、武藤&小橋vs秋山準&大森隆男だった。
■写真提供/新日本プロレス
オープニングでは、両大会でメインに出場した
棚橋、諏訪魔、潮崎の3選手が揃いリング上から挨拶。
11年前の主役がいまも現役の最前線に立っているのは嬉しいこと。
一方で、武藤、小橋、飯塚、森嶋はすでに引退しており、
中邑は米国WWEに活動の拠点を移し、
KENSOはテレビ制作会社の仕事がメインでセミリタイア状態。
また、2大会ともに出場した獣神サンダー・ライガー、佐々木健介も引退。
高山善廣は怪我を負って、長期リハビリ中にある。
あの両大会をテレビ朝日の放送席で解説していた私としては
11年という時の流れを感じつつ、感慨深いものがあった。
今回、それぞれに見どころ満載の試合が多かったが、
すべて触れていては一冊の本ができるほどの文章量になるから、
後半3試合に絞ってレポートしてみた。
まず、第8試合の6人タッグマッチは新日本vsノアの対抗戦となる
SANADA&金丸義信&TAKAみちのくvsジェイク・リー&YOーHEY&タダスケ。
注目は、現IWGP世界ヘビー級王者のSANADAと
現GHCヘビー級王者であるジェイクのマッチアップ。
時代はほんの少ししか被っていないものの、
両選手ともに全日本出身であり武藤に見いだされた男。
そんな共通点も頭に入れながら観ていると余計におもしろい。
いきなりジェイクがSANADAにパラダイスロックを仕掛けていけば、
SANADAは高角度プランチャ、スワンダイブ式ミサイルキックで返す。
■写真提供/新日本プロレス
互いに、意識ありあり。
試合後、ともにシングルでの再戦を望んでいた。
長身で動けるジェイクはオカダに劣らない資質を持っているし、
新日本マットでは未知の存在でもある。
できれば、新日本に上がるジェイクを見てみたい。
SANADAだけではなく、オカダとの絡みも見てみたい。
そういう思いが強く沸いてきた。
セミファイナルのジュニア6人タッグ戦は3団体による混成チームの対戦。
高橋ヒロム&青柳亮生&AMAKUSAvsマスター・ワト&ライジングHAYATO&HAYATA。
ヒロムは現IWGPジュニア王者、青柳は現世界ジュニア王者、
そしてHAYATAが現GHCジュニア王者と3大ジュニア王者が揃った。
これが意外というか、新日本ファンには馴染みの薄い
青柳vsHAYATOの全日本対決が主役を奪った格好だった。
もちろん、ヒロムとAMAKUSAの旧友合体、
ワトと青柳の意地の張り合いも白熱している。
そんななか、強烈に意識し合いながらも
絡みが少なかったのがヒロムvsHAYATA。
ともに、新日ジュニアとノアジュニアで
絶対王者といえる立場を築いている両雄である。
HAYATAは、「高橋ヒロムにしか興味はない」と言いきった。
太陽のように明るいヒロムと月のように青白い炎を燃やすHAYATA。
この2人がシングルで相まみえれば名勝負必至だろう。
メインイベントの6人タッグ戦には3団体のヘビー級の顔が登場。
棚橋&宮原健斗&清宮海斗vsオカダ&青柳優馬&拳王のマッチアップ。
オカダは、AT初参戦。
宮原は第1回のバトルロイヤルに健介オフィスの若手として出場。
拳王は、第2回大会の第1試合にみちのくプロレス代表として出場している。
清宮にいたっては、当時まだ中学生であり、
青柳も当時は高校生であった。
やはり、棚橋以外の選手は11年前のAT以降に頭角を現した新世代といえる。
そこで、戦前の記者会見から問題発言を連発したのが拳王だった。
「棚橋、オマエが今回もまたのこのことメインにいられたら
プロレス界の時計の針は止まったままなんだよ。
世代交代をさせられないから?
それは新日本のレスラーがダメなだけだ!」
さらに自軍のパートナーとなるオカダに対しても、
「チームワークもくそもねえだろ!」と突っ掛かる。
ある意味、拳王ほどノア愛に溢れている男もいない。
同時に、彼が誰よりも大会の盛り上げに一役買っているのだ。
その一方で、清宮とオカダも互いを意識していた。
「もう2度負けていて、向かい合う3度目のチャンス。
ここを逃したもうチャンスはないだろうって気持ちもある」
過去3戦してオカダに2度のフォール負けを喫している清宮。
やはり、その視線はオカダへと向けられている。
「清宮君、そんな怒らないでよ。
今回はコロナもあけたっていうカタチで
仲良くやっていきたいと思いますし」
オカダはオカダらしく、大人の発言で煙に巻いた。
■写真提供/新日本プロレス
フタを開けてみれば序盤こそ清宮を無視する態度に出たオカダ。
だが一旦交われば、両者ともに火が点いて激しくぶつかり合う。
以前は、明らかに位負け、力負けしていた清宮だったが、
2月のシングル敗戦を経験したことにより逞しくなった。
オカダと対峙しても遜色のない攻防を展開してみせたのだ。
■写真提供/新日本プロレス
また、これも初遭遇となるオカダと宮原が向かい合うと、
両国国技館の大歓声がピークに達した。
そして、タッチワークも連携もやはりギクシャクムードのオカダと拳王。
その2人に割って入り、なんとかチームを成立させようとする青柳。
この全日本プロレス代表である青柳のアクションが大ウケ。
■写真提供/新日本プロレス
6選手のなかで唯一、団体最高峰のベルトを巻いていない青柳だが、
その仲裁ぶりが献身的で大いに目立ち株を上げている。
ときには館内が笑いに包まれるシーンもみられたのだが、
やはり決着は壮絶で、しかも予想を裏切る結末でもあった。
現在、NEVER無差別6人タッグ王座のパートナー同士である
新日本のオカダと棚橋が真っ向勝負へ。
■写真提供/新日本プロレス
最後は、強烈なレインメーカーが完璧に決まった。
この一撃で棚橋がマット沈み3カウントを聞いている。
予想外の新日本内決着、
しかもパートナー同士による完全決着。
お祭りであって、お祭りにあらず。
あらためてプロレス界のリーダーであることを証明したオカダにも、
真っ向玉砕した棚橋にも、「アッパレ!」を送りたくなった。
■写真提供/新日本プロレス
プロレスとは、そういうものだろう。
そして、もう翌日から選手たちは、
次なる闘いへと突き進んでいくのだ。
というわけで、新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトの
不定期連載『新日本プロレス通信』をぜひ読んでみてね!