新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトの不定期連載、
『‟GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』の1・4東京ドーム大会の総括は
諸事情により掲載が遅れていたのだが、一昨日(14日)アップされました。
■写真提供/新日本プロレス
今大会でクローズアップしたのは、3試合。
まず、『武藤敬司新日本ラストマッチ』と銘打たれた
6人タッグ戦(武藤&棚橋&海野vs内藤&SANADA&BUSHI)。
ノアの2・21東京ドーム大会が正式なファイナルマッチとなる武藤。
1990年代、新日本のドームプロレス全盛期の主役であった男だけに、
もう入場時から観客の拍手、歓声のボリュームは凄まじいばかり。
また、武藤にとってじつに意義深いメンバーが集まった。
新日本在籍時、武藤の最後の付人を務めていた棚橋。
その棚橋を継承するような風貌で頭角を現してきた海野。
対戦チームには、ファン時代は武藤フリークであり
2012年の1・4東京ドーム大会で一騎打ちを行なっている内藤。
さらに2006年、『武藤塾』の新人オーデイションに合格し、
全日本プロレスでデビューしたSANADAとBUSHI。
武藤を中心として、どの顔合わせもワクワクもの。
かつて武藤が自分の後継者と考えていたSANADAは、
いきなり師匠にラウンディング・ボディプレスを見舞っている。
本気か否か?
武藤も‟本家”ムーンサルトプレスの体勢に入ったが、
そこは棚橋が制止している。
最後は、ジュニアのBUSHIに照準を絞って、
スリングブレイド、シャイニングウィザード、デスライダーと
3連発で畳みかけ、武藤組が有終の美を飾っている。
ただ、試合が終わってから気付いたことがある。
武藤と内藤がまったく絡んでいないこと。
試合時間は10分弱。
たまたまなのか、それとも互いに意図的だったのか?
武藤敬司としての試合はラストワンマッチ。
もしかしたら……と、ついつい想像してしまう。
私の勝手な想像(妄想?)に過ぎないのかもしれないが、
ラストがノアの選手と限らないのであれば、
内藤、棚橋、オカダなども候補に入ってくるのではないか?
■写真提供/新日本プロレス
いずれにしろ、試合後の共同インタビューがじつに面白かった。
さながら棚橋がMCを務めるかのように話題を振っていく。
武藤は自分がまったく知らない世代である海野のことも絶賛。
その一方で、ひさしぶりにうん蓄のある言葉も飛び出した。
「いっぱい失敗もしてほしい。失敗のほうこそカサになるから」
そう、武藤だって棚橋だった失敗を重ねてスターになったのだ。
ところで、インタビュー終了後に武藤とすこしだけ話してみた。
「1日の(ムタとしての)中邑真輔戦は、
早くも今年のベストバウトと言われてますけどねえ」
「そう? でもさ、俺にはまだ2月の引退試合があるじゃん!」
恐れ入った!
武藤敬司、60歳。
なんと、引退試合でベストバウトを狙っているのだ。
そして、ダブルメインイベントとなった
IWGP USヘビー級選手権とIWGP世界ヘビー級選手権を迎える。
USヘビーは、ウィル・オスプレイvsケニー・オメガ。
ケニーが棚橋にIWGP王座を奪われて新日本マットを去ったのが4年前のこと。
その4年の空白の間にのし上がってきたのが、オスプレイとジェイ・ホワイト。
試合がはじまると、やはりケニーはケニーだった。
4年前と変わることのないキレとスタミナ。
さらに、棚橋に「品がない」と言われた
テーブルを持ち出してのハードコア戦法も繰り出す。
超身体能力を見せつけて一歩も退かない両選手だったが、
ケニーの破天荒な攻撃によってオスプレイが前頭部から流血。
34分38秒という激闘の末に、ケニーがUSベルトを奪取した。
■写真提供/新日本プロレス
フィニッシュは、盟友・飯伏幸太を意識したカミゴェから片翼の天使。
カミゴェの体勢に捕えられたとき、ケニーに唾を吐きかけたオスプレイ。
そのシーンも印象的だった。
まさに、究極のフィジカルプロレス。
試合後のリング上は、焼け野原となった感もある。
その状態で迎えたIWGP世界ヘビー級選手権。
王者ジェイに、G1覇者のオカダ・カズチカが挑んだ。
6・12大阪城ホール大会の同選手権では、
オカダが完敗を喫してジェイにベルトを奪われている。
終始ジェイのペースだったことが衝撃的でもあった。
■写真提供/新日本プロレス
今回も序盤はジェイがペースを握った。
ところが、オカダは高角度ドロップキック1発で流れを戻す。
読み合い、切り返し合戦。
ペースの奪い合い。
ブレードランナーが出ても決まらない。
レインメーカーもキックアウトされる。
まったく先が読めないなか、なんとオカダが逆ブレードランナー。
さらに旋回式パイルドライバーから渾身のレインメーカーで勝負を決めた。
USヘビー級戦が究極のフィジカルプロレスなら、
IWGP戦は究極のサイコロジープロレスといった趣きがあった。
■写真提供/新日本プロレス
両極端に映ったダブルメインイベント。
黒タイツ、黒シューズの猪木仕様で闘ったオカダ。
アントニオ猪木追悼大会でもあった1・4東京ドーム大会。
もし、猪木さんがこのタイトルマッチ2試合を観たとしたら、
いったいどんな感想を口にするのだろうか?
というわけで、新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトでの
1・4東京ドーム大総括はこちらなので、ぜひ読んでみてくださいね。
今回は「究極のフィジカルプロレスと、究極のサイコロジープロレス。