開催前から賛否両論が飛び交った11・20有明アリーナ大会。

初の試みとなった新日本プロレス・スターダムの合同興行

『Historic Ⅹ‐over』は、結果的に大成功に終わった。

 

7102人の大観衆で埋まった有明アリーナだが、

観客層は新日本ファンとスターダムファンに二分割されていたと思う。

それにも関わらず、アリーナの盛り上がりが熱として伝わってきた。

 

             

             ●写真提供/新日本プロレス

 

ということは、新日本ファンにはスターダムの魅力が伝わり、

スターダムファンには新日本の凄みが伝わる理想空間になったということ。

私自身も「おもしろい!」と感じたのだから、この見方は当たっていると思う。

 

まず、もっとも不安視されていたのが、

男女混合のミクスドタッグマッチ3試合。

インディーマットであれば日常的な光景かもしれないが、

それが新日本&スターダムとなれば見かた自体が違ってくる。

 

              

              ●写真提供/新日本プロレス

 

ところが、初戦を観て大会前の不安は一掃された。

トム・ローラー&朱里のUFC経験者コンビと、

ザック・セイバーJr.&ジュリアのイギリス出身タッグの対戦。

 

来たる12・29両国国技館でスターダム最高峰の赤いベルト、

ワールド・オブ・スターダム王座を懸けて闘う朱里とジュリア。

 

しっかりと試合の流れに乗ってみせたのは流石だったし、

途中意地を張り合う両選手を制止に入ったローラーに対し、

突然にして名コンビ〝アリカバ”連携が復活するサプライズ。

 

また、ザック&ジュリアの時間差卍固めの競演も見せ場となった。

この試合を観れば、ミクスドマッチ成功に確信が持てた。

 

つづく、タイチ&金丸義信&中野たむ&なつぽいvs

エル・デスペラード&DOUKI&スターライト・キッド&渡辺桃の

8人タッグはさらに目まぐるしくてハラハラさせられた。

 

戦前から合同練習を敢行したり、

コミュニケーションを取っていた両チーム。

それがしっかりと試合に生かされていたから、

あれだけ客席を沸かすことができたのだろう。

 

              

              ●写真提供/新日本プロレス

 

ミクスドマッチ3戦目は、棚橋弘至&林下詩美vs後藤洋央紀&舞華。

林下と舞華は柔道の下地があって体格にも恵まれているから、

2人の攻防は、棚橋vs後藤に見劣りしない重さがあった。

 

そればかりか、舞華が棚橋をバックドロップで投げ、

林下が後藤にスリングブレイドを決めるシーンまで。

 

試合後、棚橋も「新しい可能性が広がりましたね」と

笑顔で手応えありを口にしていた。

 

              

              ●写真提供/新日本プロレス

 

第7試合には、6人タッグでグレート・ムタが登場。

ムタの新日本プロレスラストマッチという舞台で、

初めて同じコーナーに立ったのがオカダ・カズチカ。

 

ラストムタは躍動した。

ドラゴンスクリュー、シャイニングウィザードを連発。

最後はヘナーレをレインメーカーで沈めたオカダと握手すると見せかけて、

宙に向かって毒霧を噴射した。

 

新日本マットに別れを告げると同時に、

オカダに対し、「あとは任せたぞ!」という

メッセージのようにも映った。

 

ここまで、エンターテインメントとして最高に面白かった。

ここから先のセミ、メインは真の勝負となる。

 

セミのIWGP USヘビー級選手権は未知数のカード。

ウィル・オスプレイに凱旋マッチで海野翔太が挑んだ。

 

              

              ●写真提供/新日本プロレス

 

風貌はまるで10年前の棚橋で、

技には内藤哲也に似たムーブを感じさせる海野。

なにより驚嘆させられたのは、あのオスプレイのスピードに

しっかりついていくばかりか、切り返しまでキッチリと決めたこと。

 

終盤には海野オリジナルの大技も飛び出して、

「もしかしたら…」と思わせるシーンまで作ってみせた。

 

結果的には、オスプレイの完勝となるのだが、

たしかに新日本の未来を照らすような一戦となった。

 

メインは、IWGP女子初代王座決定トーナメント決勝戦。

合同興行とはいえ、設置されたのは新日本のリング。

新日本のリングで女子プロレスがメインを張るのは、

もちろん初めての試みとなる。

 

              

              ●写真提供/新日本プロレス

 

発表された直後から賛否両論を呼んだIWGP女子ベルトの創設。

ただし、決勝カードの岩谷麻優vsKAIRIは必然の顔合わせだった。

 

スターダム1期生の岩谷と3期生のKAIRI。

かつて、紫雷イオ(現イヨ・スカイ)との

スターダム3人娘として団体をリードしてきた2人。

 

昨年12月にWWEとの契約を終えスターダムに帰ってきたKAIRIと、

スターダム一筋で団体を牽引してきた岩谷。

 

2人にしかわからない感情があるし、

絶対に引くことのできないオンナの意地もある。

 

その思いを込めて激しくぶつかり合った。

2人の10年ストーリーが浮き彫りになるような闘い。

25分28秒のタイマン勝負は、確実にファンの心にとどき、

新日本、スターダム両団体のファンを満足させたと思う。

 

今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトで、

11・20有明アリーナ大会を総括しているので読んでみてね。

 

新日本ファンが知らないであろう、

岩谷とKAIRIの10年ストーリーに、

紫雷イオとの関係も交えて書かせてもらったので、

是非ともスターダムのことも勉強してもらいたい!

 

“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』!

今回は「想像をはるかに超える大成功! 11.20有明アリーナは、

“奇跡の大会”として今後も語り継がれる」

スターダムとの合同興行『Historic -Ⅹ-over』をコラムで大総括!! 

| 新日本プロレスリング (njpw.co.jp)