大谷翔平づくしで盛り上がってしまったのだが、

大切な友人でもある大谷晋二郎のことを書いておきたい。

 

4・10両国大会のメインイベント(杉浦貴戦)で

頸髄損傷という大怪我を負って入院・治療中の大谷。

 

各団体から支援の声が集まるなか、

6月4日、大田区総合体育館で支援大会が開催された。

 

『押忍PREMIUM ONE TEAM ZERO1 

大谷晋二郎エイド 何度でも立ち上がれ』

 

全10戦、開会挨拶を行なったのは佐々木健介。

大谷応援募金の応援団長を務めるのが藤波辰爾。

最後に〝晋兄ちゃん”からのメッセージを読み上げたのが、

実の妹である大谷葉月さん。

 

4時間半におよぶ大会は、大谷晋二郎へのそれぞれの思いに溢れ、

試合内容をふくめて素晴らしい大会になったと思う。

 

また、休憩時間、試合後には多くの出場選手たちが

応援募金箱を持って会場の出入口に立って募金を呼び掛けていた。

 

 

こういった非常事態が起こったとき、

プロレス界は団体の垣根を超え、

男女プロレスの枠も超えてひとつになれる。

 

そこが、プロレス界の強さであり魅力でもあるのだろう。

表現はよくないかもしれないが、「明日は我が身」と

レスラーなら誰しも心のなかで自分の職業を再確認してしまう。

 

「プロレスの技で危険じゃない技なんてないんですよ」

 

大谷の事故を受けて小島聡がツイートしたセリフに

すべての思いと、事実があると思うのだ。

 

当日の模様はABEMAで全国配信された。

実況は村田晴郎アナで、私も全試合の解説についた。

 

そういえば、4・10両国大会は異例の5時間半興行、

今回も4時間半のロングランとなったものの、

全試合の解説についてみて不思議と疲労感は残らなかった。

 

バラエティに富んだ好試合を間近で見せられ、

リング上に集中しているとそうなるものなのだ。

 

ただし、両国では最後の大谷の事故によってやり場のない

痛恨の想いを抱いたまま放送席を立たざるをえなかった。

それに比べると、今回は先につながる…いや、きっとつながる!

と信じたくなるような光をみたような思いで放送を終えることができた。

 

今回の大谷エイドに関わってくれた人たち、

すべてのメンバーに感謝である。

 

ちなみに、放送席のゲスト解説者の面々が

私にとっては新鮮でそこでも興味深く絡ませてもらった。

 

 

第1~2試合には、アントキノ猪木さん。

アントキノさんは、両国のデビュー戦で

ジュニア2冠王者となったアストロマンの応援団長を務めている。

 

第3~5試合のゲスト解説は宮本裕向(666)。

デスマッチから正統派ファイトまでのオールラウンダー。

もちろん放送席でからむのは初めてだが、

なんとなく私と視点が似ているのかなと共感をおぼえた。

 

第6~8試合のゲストはガンバレ☆プロレスの今成夢人。

大谷とはホットジャパンという枠で師弟関係にある。

 

なんでも彼はプロレスファン時代、

週刊ゴングの熱烈愛読者だったとのこと。

そういう意味でも最近親近感を抱いているのだが、

ケンドー・カシンの襲撃を何度も受けボコボコにされていた。

あ、そういえばなぜか〝アニキ”金本浩二にまで蹴られていたな(笑)。

 

ガンバレ!今成。

 

 

セミファイナルとメインイベントのゲスト解説は、

藤波辰爾とアジャコングという超異色の顔合わせ。

 

藤波さんと放送席で一緒になるのは、なんと17年ぶり。

忘れもしない、あの大一番のとき以来である。

2005年の新日本プロレス2・20両国国技館大会。

 

IWGPヘビー級王者・天山広吉と三冠ヘビー級王者・小島聡の一騎打ち。

新日本最高峰と全日本最高峰を懸けた初のダブルタイトルマッチ。

結果は59分45秒、小島のKO勝ちという衝撃の結末。

 

あの歴史的な試合の解説を務めていたのが、

山崎一夫さんとワタクシ金沢。

さらに全日本サイドとして天龍源一郎、

新日本サイドとして藤波辰爾がゲスト解説に加わった。

 

本当に、あの試合のことは忘れられないゼア。

 

もうひとりのアジャコングとご一緒するのは初めて。

まあ、聞きしに勝る論客ぶりですこし驚いた。

やっぱりアジャは頭の回転が速いなあと感心させられた次第。

 

大谷所縁の選手たちがそれぞれに全力ファイトを展開する。

そんななかでも、やはり最注目はメインの世界ヘビー級選手権。

 

杉浦貴vs田中将斗。

 

元・弾丸ヤンキースの盟友にして、

いまは最高のライバル同士。

 

直近では杉浦の2連勝。

とにかく内容が濃すぎる。

 

私などは2人の闘いを評して、よくこう解説してきた。

 

「プロレスというジャンルのなかに、

杉浦vs田中というもうひとつのジャンルが生まれた」

 

つまり、この両雄にしかできない試合は凄まじすぎるのだ。

まず、田中が大谷のテーマ曲との合体作である

炎武連夢のテーマ曲で入場してきたことに震えた。

 

個人的にもいろいろと思い入れの深い、

大好きな炎武連夢の入場テーマ曲だ。

 

 

そして、3度目はまたも進化し激化し大死闘となった。

放送席の目前で田中がテーブルクラッシュを放ったとき、

藤波さんが思わず、「もうこれは!」と絶句していた。

 

エンドレスの闘いを制したのは田中。

エルボーでタフな杉浦を殴り倒すと、

後ろから前から渾身のスライディングDの2連発でトドメ。

 

あまりに凄絶な田中vs杉浦というジャンルを見せつけたうえで、

ZERO1の至宝をようやく奪回してみせた。

 

 

田中も杉浦も立派だった。

闘いを通して、大谷にメッセージを贈った。

 

田中の決意表明と、杉浦の大谷への謝罪。

杉浦にとっては、ケジメの謝罪の言葉となるが、

彼に非があると思っているプロレス関係者は1人もいない。

 

 

ラストは主だった出場選手たちがリングインして、

田中の音頭で恒例の「3、2、1、ゼロワ~ン!」で締めくくった。

そのとき、あの武骨な真壁刀義が客席に向かって、

深々と頭を下げていたシーンが印象に残っている。

 

 

真壁にとって、大谷は恩人。

新弟子時代、真壁の教育係として、

プロレスラーとしての心構えを叩き込んでくれたのが大谷なのである。

 

真壁、同期の永田とそれぞれの大谷への思いが垣間見えた。

放送の最後では、私しか知らない大谷晋二郎に関しても、

一部ではあるが語らせてもらった。

 

 

ただ、なんと言ってもある意味、もうひとつのメインだったのが、

妹の葉月さんが紹介した大谷自身からの手紙、メッセージだろう。

 

じつは、事前ミーティングで、もし葉月さんが言葉に詰まったり、

泣いてしまいメッセージを読み上げられなくなった場合、

急きょ代わりに村田アナがそれを代読するという手筈になっていた。

 

ただし、私の思ったとうりで葉月さんは、

自分が成すべき役割をキチンと果たしてくれた。

 

「プロレスの力を信じてくださる熱いプロレスファンの皆様。

大谷晋二郎エイド大会の関係者の皆様。

 本日は素晴らしい時間を作っていただきありがとうございます。

本当であれば僕が会場に行き、

皆さんにご挨拶をしなければならないところなんですが、

来場できず本当に申し訳ありません。

プロレスとは見ている人に元気を与えるものである。

いつもそう叫ぶ僕ですがその思いは今日出場してくれださるプロレスラーが

心に秘めた思いだと信じています。

 4月10日両国国技館大会からもうすぐ2カ月。

今も僕は自分の意思で体を動かすことも思い通りに言葉を発することもできません。

しかしながら僕は今たくさんのことを学ばせていただいています。

毎日支えてくださる病院の先生や看護師の皆様、家族や多くの関係者の皆様のおかげで

今僕の心の中は人の温かさと優しさにあふれて感謝の気持ちでいっぱいです。

そしてまた強くなった大谷晋二郎は必ず皆様の前に帰ります。

 ずっと近くで支えてくれている僕の家族は“もう頑張らなくていいよ。

もう十分に頑張ってきたし、今も頑張ってるから今のままで大丈夫だよ”と言ってくれます。

でも大谷晋二郎に限ってはもっともっと頑張るという気持ちで居たいんです。

僕が頑張ることでプロレスを応援してくださる皆さんに

勇気や元気が伝わるはずだと信じているからです。

みんな毎日どこかで一生懸命頑張っているんです。

だからこそ何度でも叫びます。

頑張れ!

頑張ろう!

頑張るんだ!

負けてたまるか!

みんなみんな一緒に頑張ろう!

大谷晋二郎」

 

以上が、大谷からのメッセージ。

葉月さんはしっかりと挨拶をしたうえで、

この手紙を読んでくれた。

 

葉月さんのことは、大谷がまだヤングライオンと

呼ばれていたころから知っている。

 

だから、私にとっては葉月さんというより葉月ちゃん。

そういう印象ばかりが強く残っていた。

 

当たり前のことだけど、大人になったのだな。

しかも、立派な大人に成長してくれたのだな。

こういう場に出てきても臆することなく、

自分の役目をしっかり果たしてくれたことに感動も憶えた。

 

やっぱり、さすがは大谷晋二郎の妹だ!

晋ちゃんのお父さんの裕明さん、観てくれましたか?

葉月ちゃんは、立派で恰好よかったですよ。

 

そこに大谷晋二郎がいるからこそ。

大谷が超一流の精神と肉体を備えている男だからこそ。

みんなが、大谷晋二郎のことを大好きだからこそ。

 

あれから、わずか2カ月で実現した大谷エイド。

みなさん、ありがとう。

これからも、私の友人である晋ちゃんのことを

よろしく応援願います!

 

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