今回が3度目の開催となる1・4&5東京ドーム大会2連戦。

これほど多くのテーマを内包し、語るべきトピックが散りばめられた

東京ドーム大会というのは過去に例がないと思う。

 

ただし終わってみれば、すべては一点の壮大なテーマに向けられていた。

2022年は、新日本プロレスにとって旗揚げ50周年イヤーであること。

 

その50周年とは、ひとつの区切りであるとともに、

新たなスタート地点としても位置付けされるものだ。

 

初日の1・4の観客動員数は、1万2047人。

2日目の1・5は、6379人。

1月5日、東京ドーム大会としては初めて

1万人の大台を割ってしまったことになる。

 

まあ、その要因を考えるならいろいろと挙がってくる。

まず、毎年のテーマとなるカレンダー(曜日)の問題。

今年は両日とも平日にあたっていた。

こればかりは、どう逆立ちしたって変えようがないこと。

 

さらに、約1年にわたって世界中に大きな影響を与えてきた

新型コロナウイルスの蔓延問題。

こちらもまだ収束したわけではないし、

未だイベントの入場者数に関する規制は緩和されていない。

 

興行の日程面でいうなら、1・8横浜アリーナ大会の影響も大となる。

1・8で行なわれるのは、新日本プロレスvsノアによる全面対抗戦。

 

この二大メジャーはひさしく交わっていないから、

突然の決定はサプライズであり刺激的でもある。

まして土曜日の開催。

案の定、横浜アリーナ大会のチケットは早々に完売となっている。

 

そして最後に付け加えておきたいのが……

いま現在の新日本の試合にファンが満足しているのかどうか? 

そこの部分だろう。

 

さかのぼれば、この1年半ほどで新日本のベクトルが

やや揺らいでいたような気がする。

 

つまり、ビッグマッチにおける乱入、介入などが頻繁に起こったことにより、

新日ファンから不満の声が多く聞かれるようになったのだ。

 

コロナ禍において、プロレスを観戦することによって

観客はストレスを発散しようとする。

 

ところが、実際のところはカタルシスを得られない

バッドエンドがすこし目立っていたように思う。

 

最近の新日本は迷走している――。

一部ではそう問題提起するマスコミ媒体もあった。

 

そういった様々な要素が重なった結果が、

今年のドーム2連戦の観客動員数に現れたのではないだろうか?

だからこそ、50周年イヤーの闘いはじめとなるドーム2連戦で

新日本はその真価を問われていたと思うのだ。

 

 

まず、1・4東京ドーム大会のオープニング。

あの人がビジョンに登場するという、

嬉しいサプライズからスタートした。

新日本プロレス創設者のアントニオ猪木だ。

 

「この前、オカダ選手とインタビュー(対談)をしたときに、

もう一回新日本のリングに上がってくれと。

いまなんとか一日一日前進して、回復に向けてがんばっています!」

 

猪木からのVTRメッセージ。

難病と闘いながらもカメラがまわると、

‟燃える闘魂”健在を感じさせてくれるのだからさすがだった。

 

新日本プロレスと完全に袂を分けたわけではないのだろうが、

ここ数年、新日本と猪木の間には接点が希薄だった。

 

このオープニングVTRは東京ドーム2連戦の

ベクトルを示唆するものでもあった。

 

つまり、50周年の歴史をさかのぼる原点回帰と、

50周年イヤーからの新たな歴史のスタート。

 

 

これは、ある意味で裏メインと言われた

柴田勝頼の本格復帰戦。

 

相手のⅩは、LA DOJOで修行中の成田蓮だった。

当初は打撃なしのキャッチレスリングルールと発表されていたものの、

試合開始前に柴田が通常のプロレスルールの試合を提案。

 

驚いた。

柴田は4年9カ月前と変わっていない。

あのときのままザ・レスラーだった。

 

第4試合のNEVER無差別級選手権、

石井智宏vsEVIL戦でまたも乱入、介入劇。

不完全燃焼の試合にドームは静まり返る。

 

「またかよ!」という感じ。

 

 

その重い空気を一変させたのが、IWGPタッグ選手権。

タイチ&ザック・セイバーJr.の王者コンビを

後藤洋央紀&YOSHI—HASHIが撃破。

 

またしても、YOSHI—HASHIが男を上げてみせた。

試合後、そのYOSHI—HASHIの健闘を称えるタイチ。

思いもよらぬシーンにホロリとさせられた。

 

 

セミのIWGPジュニア戦は、2人だけの世界観。

同期(※厳密にはデスぺが先輩)の高橋ヒロムに遅れをとっていた

王者のエル・デスペラードがヒロムを下してⅤ1を達成。

 

永遠のライバルが、ついに横一線に並んだ試合といえる。

 

そして、初日のメインイベント。

IWGP世界ヘビー級選手権で

鷹木信悟とオカダ・カズチカが相まみえる。

 

 

まったく互角の攻防が延々とつづく。

ラスト・オブ・ザ・ドラゴンか、レインメーカーか?

 

勝負を決めたのはレインメーカーだった。

 

この日、昭和テイストの和風ロングガウンを纏い、

黒を基調にしたショートタイツ&シューズで挑んだオカダ。

明らかにアントニオ猪木を意識したいで立ちでの勝利。

 

試合後、オカダは4代目IWGPヘビー級ベルトをリング中央に置き、

深々と頭を下げIWGPヘビー級ベルトにファンとともに別れを告げた。

 

その後、IWGP世界ヘビー級のベルトを腰に巻いた。

猪木で始まり、オカダが締めた1・4を象徴するシーンだった。

 

翌5日の東京ドーム。

第2試合に組まれたスターダム提供試合、

さらにノア勢のリング登場で盛り上がる。

 

こと、試合に関していうなら、セミととメインに尽きるだろう。

 

セミファイナルは、ノーDQマッチ(反則、リングアウト裁定なし)による

IWGP USヘビー級選手権のリターンマッチ。

 

 

竹刀、パイプ椅子、ガベージカン(スチール製ゴミ箱)、

テーブル、ラダーなど次々とアイテムがリングに投げ込まれる。

 

実際のところ、KENTAvs棚橋弘至ならば、

余計なアイテムやギミックは不要だろう。

 

ところが、おもしろかった!

本来は正統派レスラーである両選手が

ハチャメチャな試合を真剣にやるミスマッチ感がハマった。

 

最後も衝撃の幕切れ。

巨大ラダーから転落させたKENTAをテーブルに寝かせた棚橋が

4mの高さからハイフライフロー・オン・ザ・テーブルを敢行。

 

ベルト奪還に成功したダークサイド棚橋は

じつに魅力的でもあった。

 

この試合によって、よりメインが光った事実も見逃せない。

 

 

2連戦のトリを飾ったのが、第4代IWGP世界ヘビー級王者となったオカダと

IWGPリアル世界ヘビー級王者を名乗り本物ソックリのベルトを持参した

ウィル・オスプレイによるIWGP世界ヘビー級選手権。

 

凄まじい攻防だった。

目が追い付かないし、メモをとっている暇もない。

あり得ない、信じられない切り返し技の応酬。

 

「スゲェー! 人間じゃねぇー!!」とライガーのように叫びたくなる。

 

現代プロレスの極みと言っていい大激闘を制したのはオカダ。

約2年、タイトル戦線から離れていたオカダがついに帰ってきた。

新日本プロレスの主役の座に返り咲いた。

 

 

最後のマイクパフォーマンスで猪木へのラブコール、

さらに感極まって素の涙も見せたオカダ。

 

オカダの大復活、主役返り咲きは、

新日本50周年イヤー闘い始めの象徴。

 

新日本プロレスそのものも、

本来の姿を取り戻すことに期待したい。

 

というわけで、今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて、

3年目の開催となった1・4&5東京ドーム2連戦を総括。

 

中身が濃すぎて、かなり長文になったのだが、

まあ、読んでみてくださいね。

 

早く読まないと、1・8横浜アリーナの

新日本vsノア対抗戦が始まってしまうゼア!

 

【※写真提供/新日本プロレス】

 

『号外!“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』!

「50周年イヤーの幕開け、“主役になるべき男”が主役として帰ってきた」

東京ドーム2連戦を大総括!!