好カード目白押しとなったプロレスリングNOAH(以下、ノア)の

12・7後楽園ホール大会の取材に行ってきた。

 

コロナ禍に見舞われて以来、各団体ともマスコミ取材に関しては、

キチンと事前申請のシステムを活用するようになっている。

 

新日本プロレスの場合は、後楽園ホール以外の興行は事前申請が必要。

ノアに関しては、全大会で事前取材申請をするカタチとなっている。

 

また、両団体とも後楽園ホールにおけるマスコミ席は、

東西のバルコニー席に設けられているのだ。

 

ただし、この日は東側ステージにマスコミ席が用意されていた。

机も完備されていてPCを打ったり、メモを取るにはじつに便利。

 

当日は雨模様とあってかなり道路も渋滞しており、

マイカーで私がホールに到着したのは午後6時30分。

ちょうど第1試合開始の時刻だった。

 

2列分あったステージ席でどこに座ろうかと思っていたところ、

最前列の机にこんな貼り紙が置いてあるのを発見。

 

 

うわー、スゲェー!

ありがたいのだけれど、

なんかすこし気恥ずかしい。

 

2列目の席に座っていた三田佐代子さんに見せて、

「オレ、なんか菊池さんや門馬さんみたいだね」と言うと、

「そうそう、私もそれを思い出しましたよ」と笑う。

 

1980年代~90年代にかけて、取材するマスコミ媒体が多かったこともあって、

新日本や全日本では、各社の名前を貼った記者席をリングサイドに用意してくれていた。

 

東京スポーツ様、日刊スポーツ様、デイリースポーツ様、スポーツニッポン様、

週刊プロレス様、週刊ゴング様、週刊ファイト様……という感じで。

 

そのなかで、別格の人たちがいた。

フリーの大御所である菊池孝さん(故人)と門馬忠雄さんだ。

あとは、ゴングながら竹内宏介さん(故人)の名前もあった。

 

おもに、全日本の後楽園ホール大会で西側ステージに記者席が用意されているとき、

このお三方の名前が最前列にあって、「さすがだなあ」と思った記憶がある。

私が若造だったころの思いで話である。

 

今回、こういった気配りをノアのほうでしてくれたのにはビックリ。

同時に、オイラも長老の仲間入りなのかな?

若干の気恥ずかしさも憶えたしだい。

 

思い返してみると、こうやって記者席に名前指定をしてもらったのは二度目かも。

初めて名前入りでリングサイドに席を用意していただいたのは、

なんと全日本キックボクシングの後楽園ホール大会だった。

 

たしか、2006年ころのことだった。

2005年12月からフリーになった私は、

プロレス会場だけではなく格闘技の大会にもよく足を運んだ。

昔から顔馴染みだったシーザー武志さんが主宰する

シュートボクシングの大会にはよく出向いていたこともあって、

知人の記者であるSさんが、「全日本キックもおもしろいですよ!」と

私を誘ってくれたのだ。

 

で、全日本キックの後楽園ホール大会に出向いてみてビックリ。

リングサイド最前列に『GK金沢様』と紙が貼られた席が用意されていたのだ。

ちなみに、隣席には『ターザン山本様』と貼られた席があったものの、

ターザン氏はなぜか最後まで姿を見せなかった(笑)。

 

……というのがこぼれ話、思いで話。

ここからが本題なのであーる。

 

今大会ではメインイベントに組まれてもおかしくない

好カードが3試合もあり、それぞれ内容でも見せてくれた。

 

まず、第5試合の武藤敬司vs望月成晃のエムズアライアンス対決。

以前であれば、格が違うと言われかねないかもしれないが、

前ナショナル王者にして衰えを知らない望月は真っ向勝負で引かない。

 

 

モッチーの鋭い蹴りと、武藤のシャイニングウィザードが何度も交錯する。

最後は、武藤渾身のシャイニングウィザードで決着。

試合後、武藤自身が「紙一重の試合だった」と認めたように、

望月の底力が存分に発揮された一戦。

 

1・1日本武道館でGHCタッグ王座(武藤&丸藤)に挑戦する望月は、

握手を求める武藤の手を払いのけ悔しさを顕に退場していった。

そのシーンも印象に残った。

 

つづく第6試合もタッグの武道館前哨戦。

GHCヘビー級戦で対峙する中嶋勝彦vs潮崎豪、

ナショナル戦で対戦する拳王vs清宮海斗がバチバチにぶつかり合った。

 

宿命のライバル関係といっていい拳王vs清宮のマッチアップにはハズレなし。

互いのパフォーマンスを熟知しているから、すべてが噛み合う。

 

 

一方、中嶋と‟復活”潮崎は意地の張り合い。

中嶋のミドルキックと潮崎の逆水平チョップの応酬がこれでもか!とつづく。

ふつう足の力は腕の力の数倍と言われているものの、

潮崎のチョップの破壊力は桁外れ。

 

胸を打ち抜くバチーンという破裂音(!?)を聞くたびに、

中嶋もレガースを外したほうがいいのでは?と思ってしまうほど。

 

前哨戦を制したのは潮崎だった。

凄まじい剛腕ラリアットで中嶋をほぼ1回転させてピンフォール。

仁王立ちの元王者はとても病み上がりとは思えない強さを見せつけた。

 

 

俺がノアだ!

Ⅰam NOAH!

 

最高峰を懸けて激突する両雄。

元パートナーという因縁もある。

 

1・1日本武道館のメインイベントを飾るに相応しい闘い。

また、拳王vs清宮もメインを食う気概の闘いを挑んでいくことだろう。

 

そして、第8試合のメインで対戦したのが丸藤正道vs田中将斗。

こちらもエムズアライアンス対決にして、GHCタッグ前哨戦となる。

 

言ってみれば、プロレスの達人同士の競い合い。

丸藤が腕攻めから入ると、田中は膝殺しで対抗。

虚々実々の駆け引きからスパートをかける。

 

丸藤があらゆるバージョンの虎王を仕掛けていくと、

田中もまた変則的なスライディングDを打ちこんでいく。

 

 

打ち勝ったのは田中だった。

後ろから前からのスライディングDでピンフォール。

6年ぶりの一騎打ちでも丸藤を破り、対丸藤2連勝を飾った。

 

こちらは、ノーサイドで握手。

最後はノアのリングでありながら、

田中がマイクを持って大会を締めた。

 

1・1日本武道館の前に開催されるのが、

ZERO1の1・1後楽園ホール大会。

 

ここにZERO1の至宝(世界ヘビー級選手権)を保持する

杉浦貴が参戦し、田中の挑戦を受けることが決定。

 

田中、杉浦は元日にダブルヘッダーの大勝負に打って出る。

元・弾丸ヤンキースの名コンビであるが、いまは敵同士。

 

田中は「世界ヘビーを取り返して、GHCタッグも獲る」と宣言。

杉浦は「ホールでケチョンケチョンにしてやる」と自信満々。

 

1・1の元日決戦では、後楽園ホールと日本武道館も連動してきた。

こりゃあ、正月早々レスラーどころかプロレスファンも大変だなあ。

そう他人事のように思わされたノア後楽園ホールであった。

 

いやはや、みんな熱かった。

おしまい!