9・4&5埼玉・メットライフドーム(前・西武ドーム)2連戦で、

新日本プロレスが7年ぶりに同会場で大会を開催した。

 

7年前の大会とは、2014年8月10日に行なわれた『G1 CLIMAX24』最終戦。

メインイベントは、オカダ・カズチカvs中邑真輔というCHAOS同門対決で、

オカダがレインメーカーで兄貴分の中邑を破り、『G1』2度目の優勝を飾っている。

 

ちなみに、当時のIWGPヘビー級王者はAJスタイルズ。

それを思うと隔世の感もある。

 

あれから7年ぶりのメットライフドーム大会。

とにかく夏場の同球場は暑い!

熱中症にならないのが不思議なほど暑い。

 

7年前には、会場の各所にミストを噴き上げる機器が設置されていたし、

入場口で塩分補給のための塩飴も無料配布されていた。

 

ただし、今回は9月開催で天候も雨模様だったこともあり、

Tシャツ1枚では肌寒いくらいのちょうどよい気温。

記者席はスタンド席の前方に用意されていたが、

2日間とも快適に観戦(取材)することができた。

 

 

 

しかし、前回大会とは決定的な違いがあった。

コロナ禍による緊急事態宣言で観客数は制限され、

2日間の合計観客動員数は、4875人と寂しい数字。

 

また控室等の密状態を避けるため、

両日とも1日=6試合と絞られていた。

 

それでも、第0試合のスターダム提供試合から熱戦がスタートし、

両日とも新日本プロレスらしいドラマ性のある闘いが展開されたと思う。

 

なんでもアリのなかにも人間ドラマがある。

それはある意味、新日本の原点ではないだろうか?

現代プロレスの風潮とはすこし異質な空気に私などは懐かしさも感じた。

 

                                          ●写真提供/新日本プロレス

 

4日の第2試合では、SHOの裏切り行為から遺恨が始まった

YOHvsSHOのロッッポンギ3K対決が組まれた。

 

同期のライバルであり盟友として、

日本、メキシコ、アメリカで9年間、

同じ道を歩んできたYOHとSHO。

 

その関係に覚悟を持って別れを告げたのはSHOのほうだった。

無論、今回の一騎打ちはヤングライオン時代以来の対戦となる。

 

そこで、まだ若手だったころの2人のシングル戦の戦績を調べてみた。

小松洋平vs田中翔は、49戦して小松の17勝10敗22引分けとなる。

 

私自身のなかでも、やはり小松が圧倒していた記憶が残っている。

飄々としている小松に、悔しさ顕にする生真面目な田中。

もしかしたら、あの当時から田中のなかにはなにか感情が芽生えていたのかも。

 

そして、昨年6月から前十字靭帯断裂により9カ月の欠場を余儀なくされたYOH。

その間、シングル路線で鷹木、ヒロムから初勝利を奪うなど結果を出してきたSHO。

おそらく、YOHが必死にリハビリに取り組んでいる一方で、

SHOは心身ともに独り立ちしたのだろう。

 

遺恨試合の結果は、コスチューム、入場テーマ曲、

パフォーマンスとすべての面で変貌したSHOの完勝に終わった。

 

試合後、SHOはBULLET CLUB(ハウス・オブ・トーチャー)入りを表明。

YOH、さらにCHAOSとの完全訣別をアピールしている。

 

3Kは元3Kとなり、SHOとYOHのプロレス人生・第2章がこの日スタートしたのだ。

 

                                      ●写真提供/新日本プロレス

 

4日のメインイベントは、IWGP USヘビー級選手権。

新王者・棚橋弘至が挑戦者に飯伏幸太を指名した一戦。

誤嚥性肺炎により7・25東京ドームを欠場せざるを得なかった飯伏の復帰戦でもある。

 

7・25のメインでは鷹木信悟vs飯伏幸太のIWGP世界ヘビー級選手権が決まっていた。

ところが、飯伏欠場によって、挑戦者としてメインで代役を務めたのが棚橋。

この鷹木vs棚橋戦がまたも名勝負となり、ファンを納得させた。

 

そして、今回の飯伏復帰戦の相手を買って出たのも棚橋。

そんな親心(アニキ心?)に飯伏の感情は爆発した。

ゴング前、リング上で棚橋と対峙した瞬間に大粒の涙をこぼしていた。

棚橋も感無量の表情を見せる。

 

ただし、試合がスタートすればぶつかり合うだけ。

予想以上にコンディションを戻してきた飯伏と、

不屈のエースともいうべき棚橋による2人にしかできない闘いが展開される。

 

最後は、ハイフライフローで棚橋が初Ⅴに成功。

ダウンする飯伏に何ごとか語りかける棚橋。

その後、ベルトを掲げた棚橋も号泣するかのような表情を垣間見せた。

 

棚橋から送られるマイクアピールに、座礼で応える飯伏。

さらに花道の途中でも正座した飯伏は、棚橋のエールを受け止めた。

 

2人の試合はロックでありジャズであったはず。

ところが、この日ばかりは浪花節、演歌も聞こえてきた。

 

過去の師弟関係に、強固な魂が吹き込まれた闘い模様。

これから飯伏は恩返しの大逆襲を見せなくてはならない。

 

                                     ●写真提供/新日本プロレス

 

5日のメインは、IWGP世界ヘビー級選手権。

鷹木信悟vsEVILの因縁カード。

こちらも戦前から波瀾含みだった。

 

新型コロナウイルスに感染してしまった王者の鷹木が、

8・15静岡大会から欠場し、自宅療養を余儀なくされたのだ。

それでも鷹木は3週間弱でリングに帰ってきた。

しかも、しっかりと身体を作ってきたし、スピード、パワー、スタミナも健在。

 

一方、EVILサイドにはハウス・オブ・トーチャーの東郷、裕二郎、SHOが付き、

後半にはリングに乱入するいつものパターンでバッドエンドを匂わせる。

 

そこへ駆けつけたのが、BUSHI、内藤、SANADAのロス・インゴ勢。

彼らが東郷らを排除する間に、必殺のラスト・オブ・ザ・ドラゴン。

 

30分を超える大乱激戦をハツラツオジサンこと鷹木がみごとに締めくくった。

 

鷹木の復活を支えたもの。

様々な要因があるだろう。

 

なぜか、前王者のウィル・オスプレイが米国マットで、

もうひとつのIWGPヘビー級ベルトを誇示してみせたこと。

 

その後、オスプレイまで新型コロナに感染してしまったこと。

 

ネット上に「IWGP世界ヘビーのベルトは呪われている」と数多くの書き込みがあったこと。

 

EVILがBULLET CLUBにはしった本当の理由は、

自分へのジェラシーだろうと感じたこと。

 

そういう様々な要因を自分で消化しながら、

王者としてメインを務め上げたのである。

 

今回のメットライフドーム2連戦に関しても、

新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて総括している。

 

上記した3試合。

波瀾万丈のプロレスラー物語。

素の感情が爆発したからこそ響いてきた

3試合に関して掘り下げてみた。

 

まあ、読んでみてくださいね!

 

号外!“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』!

「素の感情、ジェラシー、宿命みたいなものまで伝わってきた」

SHOvsYOH、棚橋vs飯伏、鷹木vsEVIL、怒涛のメットライフ2連戦を大総括!