7月25日、当初の日程から2カ月遅れで開催された

新日本プロレスの東京ドーム大会。

 

東京都にまたも緊急事態宣言が発令される最中、

『東京2020オリンピック』が開幕し、

しかもほとんどの競技が無観客で行なわれることも決まっている。

 

ひとことで言えば、世の中というか日本は異常事態に置かれている。

当然のようにドームのチケット販売も早めに打ち切られた。

 

さらに、新日本プロレスと新日ファン、マスコミにも衝撃のニュース。

第0試合を含めて、全6戦とコンパクトな今回の東京ドーム大会。

メインイベントのIWGP世界ヘビー級選手権のカードは、

鷹木信悟vs飯伏幸太と1カ月以上も前から決定していた。

 

ところが、前哨戦シリーズを体調不良で飯伏が欠場。

当初、「(新型コロナウイルスの)ワクチン接種による副反応のため」とされていたものの、

精密検査の結果、「誤嚥性肺炎」による欠場と新日本サイドから発表があった。

 

どうやら気道から細菌が肺に入って高熱が引かないらしい。

そんな飯伏の症状が漏れ伝わってきた。

それでもギリギリまで治療に務めてから出場の可否を決めるということで、

飯伏の正式な東京ドーム大会欠場が発表されたのは25日、大会当日の午前だった。

 

そんな危機的な状況下、前日(24日)に開催された愛知県体育館大会の

メインイベント(※KENTAに勝利)を務めた棚橋弘至が、

「飯伏の意思を尊重するけど、俺はいつでもやってやりますから」と

ドーム大会メインの代役、IWGP世界ヘビー王座挑戦をアピールした。

 

最終的に、新日本から発表されたメインカードは

鷹木信悟vs棚橋弘至のIWGP世界ヘビー級選手権。

 

棚橋がドーム大会への出場枠から漏れていたことが幸いした。

そういえば、鷹木vs棚橋の初シングル戦は今年の1・30愛知大会で実現している。

鷹木が保持するNEVER無差別級王座に棚橋が初挑戦し、

35分を超える大熱闘の末、棚橋がNEVER王座初戴冠。

 

なにより、試合内容が素晴らしく、

今年上半期のベストバウトという声も多く聞かれた。

 

棚橋に言わせれば、「タナぼた」となるのだが、実際のところは必然のマッチアップ。

災い転じて福となす――。

こちらの表現のほうが相応しいのではないか?

 

鷹木vs棚橋戦ならば、ファンから見ても充分に納得のいく代替カードである。

私自身もそう感じていたのだが、観客の反応も正直なものだった。

 

 

今回の東京ドーム大会を私は1階スタンドの記者席から取材(観戦)していた。

メインを迎えるにあたって観客の反応は上々であり、

盛大な拍手、手拍子から大変な熱量を感じることができた。

 

覚悟を決めたような入場時の棚橋の表情が緊張感を煽る。

6・7大阪城ホールでオカダ・カズチカに完勝した鷹木への信頼感が伝わってくる。

 

                                    ●写真提供/新日本プロレス

 

最高潮のムードに包まれる東京ドームで、

令和の名勝負製造機と平成の名勝負製造機は真っ向勝負を繰り広げた。

 

そういえば、棚橋が東京ドームのメインに立つのは

2019年の1・4東京ドーム大会(vsケニー・オメガ)以来2年半ぶりのこと。

 

鷹木にいたっては、新日マット参戦前の2018年の1・4東京ドームを

チケットを買って客席から見守っていたという。

 

ドームのメインに帰ってきた男と、

初めてドームのメインを締める男。

 

平成プロレスで最高峰のテクニックを持つ男と、

令和プロレスでもっとも気合の入った男。

 

                                 ●写真提供/新日本プロレス

 

終着点の見えない闘いが延々とつづくなか、

棚橋がなんと飯伏の痛恨の想いを背負ったカミゴェを初披露。

もともと飯伏が神と崇めていた棚橋を超えるために開発した大技。

それを棚橋は自ら使い、ハイフライフローへ。

 

それでも鷹木は意地のキックアウト。

ファンの奏でる手拍子は、歓声にも悲鳴にも聞こえてきた。

 

両者が本能の張り手合戦。

ラリアットをぶち込んだ鷹木は、

この日2発目のラスト・オブ・ザ・ドラゴン。

 

1・30NEVER戦を超える37分26秒の大激闘に終止符を打った。

 

試合後、敗れた棚橋は涙を流した。

「ピンチをチャンスに変えられなかった」とも言った。

本当にそうなのだろうか?

 

オカダにつづき棚橋超えを成し遂げた

第3代IWGP世界ヘビー級王者の鷹木は、

ホンモノ中のホンモノであり現・新日本マット最強であることを証明した。

 

                                     ●写真提供/新日本プロレス

 

そこへ、闇討ち同然に乱入し力づくで挑戦権を強奪した

EVILとディック東郷の存在。

またもバッドエンドを演出した2人に対し、ファンの怒りの抗議が殺到する。

 

リング上、リング外…さまざまなドラマに彩られた真夏のドーム決戦。

その1日をメインの鷹木vs棚橋戦に絞って、

今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて総括レポート。

 

まあ、読んでみてね!

 

『号外!“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』!

「急転直下のメインイベント・鷹木vs棚橋戦をどう観たか?

 7.25東京ドームを大総括!!」