新日本プロレスの6・7大阪城ホール大会。

第3代IWGP世界ヘビー級王座決定戦。

 

鷹木信悟がオカダ・カズチカに完勝して最高峰のベルトを巻いた。

新日本プロレス49年の歴史において、

これは歴史的快挙と言っていいかもしれない。

 

                                       ●写真提供/新日本プロレス

 

もともと、大阪城ホール大会は6月6日、日曜日に予定されていた。

ところが緊急事態宣言の延長に伴い、土曜・日曜のイベントはNGとなり、

新日本サイドは急遽、翌7日の月曜日に大会を移行して開催した。

 

全5戦ながら、内容はじつに濃かった。

第3試合のIWGPジュニアヘビー級選手権は、

王者であるエル・デスペラードの初防衛戦。

挑戦者は同王座初挑戦となるYOH。

 

左ヒザ前十字靭帯断裂による大怪我から

4・4両国大会で復帰したばかりのYOH。

 

5月に新型コロナウイルスに感染し、

地獄の苦しみを味わったことをSNSで告白したデスペラード。

 

言ってみれば、病み上がりの両選手であるが、

試合は激しく、スピーディな足の壊し合いに終始した。

正直、予想を覆す好勝負だったと思う。

 

ひと皮剥けたYOHの逞しさも感じたが、

なんといっても、デスぺが素晴らしい。

堂々たる王者の貫禄を見せつけた。

 

次期挑戦者には石森太二が浮上しているが、

やはりデスぺの狙いは永遠のライバルである、あの男。

怪我で同ベルトを返上した高橋ヒロムへのリベンジである。

 

セミファイナルは遺恨対決。

4・4両国のIWGP世界ヘビー級王座初防衛戦で、

ウィル・オスプレイに敗れ去った飯伏幸太。

 

その試合後、大の字の飯伏を引きずり起こし

ツアー・オブ・ジ・アイランドを見舞って完全KOしたのが、

元・五輪レスラーのジェフ・コブだった。

 

スピード、打撃で勝負する飯伏に対して、

超人的なパワー、スープレックスを繰り出すコブ。

 

カミゴェvsコブゴェの応酬も見られるなか、

最後は飯伏の閃きが勝利を呼び込んだ。

空中で体重移動しながらダブルニーの体勢のままコブを圧し潰す。

すかさず、渾身のカミゴェを炸裂。

 

結果的に、この勝利によって飯伏にふたたびチャンスが舞い込む。

次期、IWGP世界ヘビー挑戦者として新王者から指名を受けたのだ。

 

メインは、5・4福岡のIWGP世界ヘビー初防衛戦で

鷹木を破りながら首を負傷したオスプレイがベルトを返上し、

それによって生まれた新王者決定戦のカード。

 

オカダ・カズチカvs鷹木信悟の3度目の一騎打ち。

過去の戦績は、1勝1敗の五分。

ただし、ことIWGPヘビーを中心とした実績に関していうなら、

両者には雲泥の差がある。

 

ただ、オカダはこの1年5ヵ月の間、

IWGP戦線から遠ざかっている。

最後のIWGPヘビー級選手権は、2020年の1・5東京ドーム大会。

IWGPインターコンチネンタル王者の内藤哲也と2冠戦を行ない敗れた。

 

オカダがベルトを失ってからの2冠王者は、

内藤→EVIL→内藤→飯伏→オスプレイと変遷してきた。

その間、乱入・介入によって物議を醸した試合もあった。

 

また、飯伏が提唱し、会社サイドが決定した2冠統一……

IWGP世界ヘビー級王座新設に関しても賛否両論を呼んだ。

 

いま現在の社会の動き同様に新日マットも混沌としていたのだ。

だからこそ、ここにきて‟オカダ待望論”がますます強くなってきた。

絶対王者の復活を期待するファン、関係者の声で溢れてきたのだ。

 

当然のように、だれもがオカダ勝利を予想していたことだろう。

ところが、鷹木信悟はやってのけた。

 

                                     ●写真提供/新日本プロレス

 

36分ジャストという長期戦となった大熱闘。

強いオカダを相手に一歩も退かない鷹木。

いや、明らかに鷹木ペースの試合と映った。

 

オカダがタイトル戦線から離れ雌伏期間にあった1年5カ月、

新日本マットの最前線で名勝負を連発していた鷹木。

 

その差が出たのだ。

 

パワー、スピード、切り返し、さらに気合でオカダを圧倒した鷹木。

レインメーカーをレインメーカー式パンピングボンバーで打ち返す離れ業も披露。

 

最後は、超スピードのスライディングD(エルボー)から、

必殺のラスト・オブ・ザ・ドラゴンを完璧に決めてフィニッシュ!

 

大方の予想を覆し、第3代IWGP世界ヘビー級王者に輝いた。

結果はもちろんのこと、内容でもオカダを圧倒していたことが特筆される。

 

なぜ、このような内容と結果がもたらされたのか?

それは試合後の両者のコメントから浮き彫りにされる。

 

                                     ●写真提供/新日本プロレス

 

いずれにしろ、これは歴史的快挙だろう。

新日本マットに登場してから2年8カ月。

当初、ジュニアヘビーからスタートした男が、

堂々と最高峰のベルトを奪取し頂点に立ったのだ。

 

過去、どれだけ名勝負を残そうが、

トップ選手から勝ち星を奪おうが、

頂点に立てなかった男たちは数多くいる。

 

たとえば、1990年代の越中詩郎。

反選手会同盟、平成維震軍の大将として、

ファンから圧倒的な支持を受けていたばかりか、

同時代のトップスターである闘魂三銃士に何度も土をつけている。

 

それにも関わらず、越中はIWGPの頂点に立っていないし、

『G1』制覇もついぞ達成することができなかった。

 

最近では、2000年代半ばからの石井智宏がそうだろう。

名勝負製造機と称され、トップ選手を何人も倒してきた。

ただし、IWGPと『G1』の頂点にはまだ手が届いていない。

 

そこには、やはり格付けという世界観が存在していると思う。

準トップ、バイプレイヤーという格付けである。

 

その格付けという世界観を今回、鷹木は力で突破してみせたのだ。

鷹木信悟がやってのけた大仕事は、まさに歴史的な快挙だと思う。

 

今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて、

6・7大阪城ホールを総括している。

 

特に、鷹木信悟のベルト奪取の意義に関して、

コメントを引用しつつ詳細に分析しているので、

ぜひ読んでみてくださいね!

 

『号外!“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』!

「いま現在、事実として“時代の主役”に鷹木信悟が躍り出た」

6.7大阪城ホール決戦を大総括!!