新日本プロレスの『NEW JAPAN CUP2021』は、

3月20日、21日に開催された宮城・ゼビオアリーナ仙台大会で閉幕。

 

                                     ●写真提供/新日本プロレス

 

近年ではもっとも過酷にして、充実したトーナメントを制したのは、

決勝戦で鷹木信悟を下したUNITED EMPIREのウィル・オスプレイ。

 

『NJC』優勝の称号を手に、4・4両国国技館大会で

初代IWGP世界ヘビー級王者・飯伏幸太に挑むことが決定した。

 

初日(20日)は、準決勝が2試合。

まず、オスプレイに挑んだのが‟大穴”デビッド・フィンレー。

これが予想以上にギリギリの好勝負となった。

 

試合後半、左足首を負傷して動きの鈍ったフィンレーに対し、

足4の字固めをかけながら左足のシューズを脱がせて絞り上げるオスプレイ。

これに悶絶しながらも、フィンレーが大逆襲に転じた。

 

オスカッターをPrima Noctaで迎撃し、

ストームブレイカーをフランケンシュタイナーに切り返す妙技を披露。

敗れはしたものの、あのデーブ・フィンレーの息子が躍動した。

本人も語っている通り、これを見たら『G1』当確と言えるだろう。

 

決勝進出を決めたオスプレイも「紙一重だった」というポーズ。

血統書付きの3世レスラーがいよいよ頭角を現してきた。

 

今後は、オスプレイ、ジェイ・ホワイト、ザック・セイバーJr.、

さらにパートナーでもあるジュース・ロビンソンとシノギを削り合うことになるだろう。

 

メインに組まれたもうひとつの準決勝は、鷹木信悟vsEVILの初対決。

元・同門(ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン)の2人が初の遺恨対決に臨んだ。

 

初なのに、なぜ遺恨対決かといえば、

EVILがロス・インゴを離脱してBULLET CLUBへはしった一番の要因は

同タイプである鷹木のロス・インゴ入り、さらに大活躍にあると思うからだ。

 

ひとことで言うなら、ジェラシー。

 

例によって、ディック東郷の巧みな介入を借りながら

2対1で鷹木の腰を徹底的に攻め立てるEVIL。

 

ただし、「気合でダメージも何とかしちゃう」(by高橋ヒロム)鷹木は

1対2の局面を気合とパワーでなんとかしてしまった。

最後は、ラスト・オブ・ザ・ドラゴンをズバリ。

 

これによって、翌日の決勝戦をふくめてトーナメント5試合、

すべてメインイベントを務めることになった。

 

                                   ●写真提供/新日本プロレス

 

21日、決勝戦のカードはウィル・オスプレイvs鷹木信悟。

通算3度目の対決ながらすでに鉄板カードと化したマッチアップ。

 

入場時の空気をもっていったのは鷹木だった。

日本刀を携えて、その刃をオスプレイに突きつける。

 

おそらく、多くの観客がこのパフォーマンスの意味を

理解できなかったかもしれない。

 

じつは、2人の初対戦となった2019年の6・5両国国技館大会。

『BEST OF THE SUPERJr.26』優勝決定戦の舞台で、

オスプレイが行なったパフォーマンスのオマージュなのだ。

 

それにしても、この試合は凄まじかった。

前年10月、新日本マット初登場以来、

シングル、タッグともにフォール(ギブアップ)負けなしの記録を

更新してきた鷹木が、ついにオスプレイの軍門に振った。

 

新日本ジュニアの歴史に残るような2人による名勝負は、

東京スポーツ『プロレス大賞』以外の、あらゆる媒体で

2019年度のベストバウト賞を総なめにしている。

 

ワタクシ金沢が勝手に制定する『ときめきプロレス大賞2019』でも

国内部門でのベストバウトに選出した。

 

2度目の対戦は昨年度の『G1」公式戦において。

9・17神戸ワールド記念ホールのセミファイルで対戦し、

こんどは鷹木がリベンジに成功した。

 

この試合も凄まじかった。

ヘビー級に転向した両選手でありながら、

スピードが変わらないばかりか、そこにパワーが加わる。

さらに切り返し合戦でも初対戦のとき以上の動きを披露。

 

『G1』公式戦のなかの1試合ということもあってか、

どのプロレス大賞においてもノミネートさえされなかったものの、

私の『ときめきプロレス大賞2020』では文句なくベストバウトに選出。

それほど、前回より進化した2人の攻防には驚かされたのだ。

 

「オスプレイの成長のスピードには追いつけない。

だから、早いうちに叩いておかないと。

パワーもそうだし、たしかにモンスター級だな」

 

リベンジに成功し、戦績を1勝1敗の五分にしながらも、

ヘビー級としてさらにグレードアップしたオスプレイの進化に鷹木は舌を巻いた。

 

3度目の一騎打ちは『NJC』決勝戦という舞台。

両者とも準優勝にはなんの意味もないことをわかりぬいている。

 

                                    ●写真提供/新日本プロレス

 

だから3度目は、容赦なく相手の弱点を狙っていった。

 

鷹木は鼻を中心にオスプレイの顔面を攻め立てていった。

というのも、今大会屈指の名勝負と言われたザック戦で、

オスプレイは鼻から大量出血し、そのキズがまだ癒えていないから。

 

一方のオスプレイは鷹木の腰を狙い打ちにした。

これはEVIL戦でダメージを負いテーピングしてきた箇所。

 

また、過去2戦との違いはUNITED EMPIREを結成したオスプレイが、

場外でテーブルを持ち出したりラフな戦法にも躊躇がないこと。

 

そのテーブルに鷹木を寝かせコーナー最上段からファイヤーバードスプラッシュ。

とんでもないハードコア殺法まで披露している。

 

さらに、今回も両者の切り返し合戦は凄まじいばかり。

 

パンピングボンバーを食らいながらそのままバク宙で着地し、

すぐさまオスカッターで返すオスプレイの離れ技。

 

デスバレーボムの体勢から空中で身を翻して前方に着地したオスプレイに、

なんとリバースフランケンシュタイナーを見舞った鷹木。

 

見たことのない引き出しが次々と開けられていく。

本能というか、閃きというか、この2人だからこその切り返し合戦。

 

だが、最後はオスプレイが試合を制した。

後頭部へのヒドゥンブレイドからストームブレイカー。

必殺パターンを決めて30分を超える激闘にピリオドを打った。

 

『NJC』優勝を決めたオスプレイは放送席のゲスト解説についていた飯伏幸太を挑発。

4・4両国でオスプレイの挑戦を受ける初代IWGPヘビー級王者の飯伏もリングイン。

マイクを持ってがなりたてるオスプレイとの睨み合いがしばし続いた。

 

その後、とんでもない事態へ。

なんとオスプレイが理解不能なアクション。

公私ともにパートナーである恋人のビー・プレストリ―に

オスカッターを見舞いKOしてしまったのだ。

 

館内はシーンと静まり返った。

飯伏も呆然として立ち尽くすのみ。

オスプレイによるまったく理解不能な行動により

「?」を残したまま大会はエンディングを迎えた。

 

                                  ●写真提供/新日本プロレス

 

バックヤードインタビューで、オスプレイはその真意を語った。

 

「オレは世界でイチバン愛する女性にもあんなことができるんだ。

今のオレにはIWGP世界ヘビー級王座以外のものは意味がない」

 

いやはや、ここまでくるとサイコパスな匂いまで感じる。

あらゆる意味で、オスプレイはモンスターと化してきた。

 

4・4両国大会で開催されるIWGP世界ヘビー級選手権の初防衛戦。

飯伏幸太vsウィル・オスプレイはかなりヤバい闘いとなりそうだ。

 

というわけで、『NJC』準決勝2試合&決勝が行われた仙台2連戦の模様を

今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて濃厚に総括レポート。

 

まあ、読んでみてくださいね!

 

『号外!“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』!

今回は「オスプレイは本当の“モンスター”になろうとしている」

激闘続出の『NEW JAPAN CUP』仙台2連戦を大総括!

 

 

〔追伸〕

プロ野球のペナントレースが昨日(26日)開幕!

東京ドームの巨人vsDeNA戦、いきなり凄い展開となった。

あの菅野が打たれるワ、梶谷トレードの人的補償でDeNAに移籍した

田中俊太が6打点の大活躍をみせるワ…ゲームは二転三転の大騒ぎ。

 

そして、トドメは代打・亀井のサヨナラホームラン。

こんなゲームばかり見せられたら10年もつ巨人ファン生命が

この1年で終わってしまうかもしれない(笑)。

 

そう思ってしまうほどエキサイティングでした。

球春到来、嬉しいねえ!