コロナ禍の厳しい状況において紆余曲折を経ながらも、

1・4&5東京ドーム大会2連戦が無事に終わった。

 

大会場での収容制限が昨年末、さらに引き締められたことにより、

大盛況とはいかなかったものの、大成功といっていい内容だったと思う。

 

昨年度の通常のビッグマッチに倣って、

東京ドーム大会も試合数は例年になく絞られた。

 

1・4=全7戦(第0試合ふくむ)。

1・5=全9戦(第0試合を2戦ふくむ)。

 

おまけに1・4の結果も踏まえて、

1・5東京ドーム大会には、新日本マット3本柱ともいうべき

オカダ・カズチカ、棚橋弘至、内藤哲也が出場していない。

 

スリートップを欠いた東京ドーム大会。

異例中の異例といっていいだろう。

 

ところが、両日とも試合内容の充実度には、

目を見張るものがあった。

もしかしたら、ここ数年の東京ドーム大会と比較しても、

内容では上まわっていたかもしれない。

 

まさに、新日本プロレスの底力と選手層の分厚さを思い知らされた感もある。

 

                                          ●写真提供/新日本プロレス

 

初日の1・4で観客、マスコミの度肝を抜いたのは、

セミファイナルに組まれたオカダ・カズチカvsウィル・オスプレイ戦だった。

 

昨年の『G1』最終公式戦でオカダを裏切ってCHAOSを離脱し、

THE EMPIRE(現UNITED EMPIRE)を結成したオスプレイ。

 

かつての兄弟対決、兄弟喧嘩は自称・世界一を競うに相応しいタフマッチと化した。

昨年の1・5で内藤に破れIWGPヘビー級王座を失って以来、

丸腰状態で1年を過ごしたオカダがついに‟本気”を出して、

オスプレイを叩きつぶしにいったのだ。

 

半端ない身体能力に加えて、ヘビー級の重みと破壊力。

オスプレイが掟破りのレインメーカーを放ったことで、

オカダが10ヵ月半ぶりに‟宝刀”を抜いた。

 

本家レインメーカーの威力はやはり凄まじい。

一撃でオスプレイに引導を渡したオカダの強さ、

インパクトは凄まじいばかりだった。

 

この闘いをセミでやられてはたまらない。

正直、内藤と飯伏はやりずらかったはず。

いつものように激しくぶつかり合うライバル同士であるが、

どうしてもオカダvsオスプレイの残像が消えないままなのだ。

 

                                    ●写真提供/新日本プロレス

 

結果的に、2冠戦を制したのは飯伏だった。

初めてIWGPヘビーのベルトを飯伏が手にした。

いや、飯伏の手に2本のベルトをわたし、

その右手を高々と掲げてみせたのは内藤だった。

この内藤らしからぬパフォーマンスが最後の最後でセミの残像を消してみせた。

 

翌5日の東京ドーム大会。

オカダ、棚橋、内藤を欠く大会を最初に爆発させた一戦は伏兵対決。

第3試合で行なわれたNEVER無差別級選手権の

鷹木信悟vsジェフ・コブの真っ向勝負だった。

 

                                        ●写真提供/新日本プロレス

 

ハッキリ言って、期待度でいくとこの日の4番手の試合。

ところが、凄まじく白熱した肉体言語の名勝負となった。

 

やはり、鷹木の力量、オールマイティぶりには驚嘆するしかない。

ジェフ史上、最高の試合となったのは鷹木がその底力をすべて引き出したから。

鷹木はやはり石井智宏と並ぶ名勝負製造機である。

 

そして、ドーム2連戦を締めたのが飯伏vsジェイ・ホワイトの2冠戦。

戦前には不安も感じた。

ジェイは素晴らしい選手であるが、現代プロレスとは一線を画す男。

飛びぬけた派手な技を持っているわけではなく、インサイドワークで勝負するタイプ。

いまのファンには伝わりにくいタイプなのだ。

 

ところが、まったくタイプの違う両選手が噛み合った。

徹底して痛め技に終始して追い込んでいくジェイに対し、

閃きで対抗しつつ我慢の限界まで耐え抜く飯伏。

 

オールドスクールのレスリングに

ニュースクールレスリングが見事に融合している。

気が付くと、ドーム史上最長タイム(48分05秒)の大熱闘となっていた。

 

これだけの長期戦であるにも関わらず、

私はまったくだれることなく集中して闘いを見ることができた。

じつに中身の濃いレスリングに魅せられていたのだ。

 

カミゴェか、ブレードランナーか?

激闘を制したのはカミゴェ。

文句なしの名勝負である。

 

大会前に内藤が語っていた野望である

「東京ドームの花道をメインで2往復する」という

快挙を初めて達成したのは飯伏だった。

 

                                     ●写真提供/新日本プロレス

 

飯伏が本当の‟神”となったのかはまだわからない。

ただひとつハッキリしているのは、

ついに新日本プロレスに‟飯伏時代”が到来したということ。

 

何度も何度も頂点に王手を懸けながら

そのたびに奈落の底へと転落させられた早熟の天才が、

ついに新日本の頂点に立った。

 

今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて、

1・4&5東京ドーム大会の総括を寄稿している。

ちょっとした裏話も織り交ぜながら記しているので、

是非とも読んでみてね。

 

『号外!“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』!

今回は「ついに飯伏幸太の時代がやって来た!」

“激闘続出”の東京ドーム2連戦を大総括!!