12月11日、新日本プロレスの日本武道館大会は、
2020年度、新日本の最後のビッグマッチ。
コロナ禍の影響により、異例の天王山決戦となった。
シリーズ中に同時開催されたのが、二大トーナメント(リーグ戦)。
『WORLD TAG LEAGUE2020』と
『BEST OF THE SUPERJr.27』。
その優勝決定戦が、武道館でダブルメインイベントとして行なわれたのだ。
ダブルメインイベント第2試合、つまりトリを飾ったのが、
『スーパーJr.』優勝決定戦のほうだった。
さかのぼれば、日本武道館のファイナルで
『スーパーJr.』の優勝戦が開催されるのは、なんと21年半ぶりのこと。
1999年6月8日、ケンドー・カシンvs金本浩二が相まみえ、
カシンが初優勝を達成して以来のこと。
ちなみに、その大会のセミファイルに組まれたのが
天龍源一郎vs橋本真也のシングルマッチ。
同年の1・4東京ドームで小川直也に事実上KOされてから
欠場を続けていた橋本の復帰戦の舞台であった。
そこまで振り返ると如何に遠い昔の出来事であったのかわかろうというもの。
いずれにしろ、12・11日本武道館のトリを飾った優勝戦、
エル・デスペラード(リーグ戦1位)と高橋ヒロム(リーグ戦2位)の闘いは、
今年度のベストバウト候補にあげられるほど凄まじい激闘と化した。
●写真提供/新日本プロレス
デビューから10年来のライバルとも称される両選手。
ただし、デスペラードvsヒロムとしてのシングル戦績にかぎると、
デスペラードの2勝1敗で迎えた4度目の一騎打ちとなる。
正直いって、この戦績はともかくとして、
両選手の間には大きな差がついていたと思う。
2年前の『スーパーJr.』を制し、IWGPジュニアの頂点にも立っているヒロム。
ロス・インゴの高橋ヒロムの人気と支持率には絶大なものがある。
一方、デスペラードはIWGPジュニアタッグこそ巻いているものの、
新日本マットにおけるシングルでの戴冠歴はない。
ただし、互いに特別な感情を抱いている2人の試合には、
つねに2人だけの世界が存在していたから、
そういった実績だけでは計れない何かが生まれるのだ。
インサイドワークに長けたデスペラードのエグい、執拗なまで左足攻撃。
それに対して、破天荒な大技、予想外の切り返しで対抗するヒロム。
そして、ついに弾けた。
デスぺラードの急所打ちに激高したヒロムがマスクを引き裂いた。
その行為に対してデスペラードは思わぬリアクション。
下半分残っているマスクを自ら剥いで素顔を晒したのだ。
素顔のまま、ヒロムに怒りのナックルパンチを見舞う。
そして、両者は仁王立ちのまま殴り合った。
互いの感情が爆発。
2人だけの世界、2人だけの歴史、絶対に退くことのできない同期の関係。
それが確実に観客に伝わったとき、ヒロムvsデスぺは名勝負となった。
結局、一歩も退かない30分を超える死闘を制したのは、
ヒロムのTIME BOMBⅡだった。
●写真提供/新日本プロレス
「マスクを破いたら、あいつの素顔が見えたよ。
あいつのすべてがわかった。
あいつが何者なのか、ここで言ってやるよ。
あいつは、エル・デスペラードだ!」
「俺の同期、最強だろう?
でもな、リング上には高橋ヒロムとエル・デスペラードしかいなかったよ、今日は」
広夢でもない、●●でもない。
ヒロムとデスペラードが互いに抱いた感情は同じだった。
また、バックステージでの優勝インタビューでも、
試合後のマイクパフォ―マンスにおいても、
溢れ出るジュニア愛、新日本の誇り、
ファンへ向けてのメッセージを叫んだヒロム。
そんなヒロムを見るにつけ、
新日ジュニアの2人のレジェンドがオーバーラップしてくる。
1990年代の新日ジュニア黄金期を作り上げた男たち、
若き日の獣神サンダー・ライガーと若き日の大谷晋二郎だ。
2人の共通点は、どうしようもないほどの熱い気持ち。
試合で完全燃焼したうえで、なお言葉で感情を伝えずにはいられない姿勢。
怒り、喜び、感謝……抑えきれない感情を彼らはいつも爆発させていた。
いま、時を経て、高橋ヒロムという新日ジュニアの象徴が生まれた。
そう思わずにはいられない闘いを、この日この目で観させてもらった。
というわけで、12・11日本武道館決戦の総括を
今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトに寄稿している。
『号外!“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』!
今回は「確実にファンに届いた“2人だけの世界”!
ヒロムvsデスペラード戦は、“感情”と“歴史”のぶつかり合い!!」
12.11日本武道館決戦を大総括!
今年度、最後のビッグマッチ総括レポート。
是非、読んでみてね❣