ヤバイくらい面白い映画を観た。

2018年に公開された『ガチ★星』という日本映画。

舞台は、北九州市小倉。

 

出演者は知らない人ばかり。

著名人(少なくとも私の知っているかぎり)は、

モロ師岡さん、博多華丸さんだけ。

 

簡単に言うなら、元プロ野球選手(福岡ソフトバンク・ホークス)の

投手(セットアッパー)として一世を風靡した男が戦力外通告を受ける。

これが、またダメ男で現役時代から酒浸りでヘビースモーカー。

 

野球を辞めてから、そのダメ男ぶりに拍車がかかり、

酒、タバコ、パチンコ中毒どころか親友の奥さんまで寝とってしまう。

もちろん、家族からは三行半をつきつけられ別居している。

 

一念発起して、プロ競輪選手養成所に入学するものの、

39歳の練習生はやっぱり落ちこぼれだし中途半端な性格は変わらない。

 

なんとかプロテストに合格するものの、

勝てないし自堕落生活もまったく変わらない。

 

唯一の支えは、こんなダメ親父をリスペクトする

野球好きのひとり息子だけ。

 

紆余曲折を経て最後に訪れた檜舞台。

かといって、とくにハッピーエンドではない。

快哉を叫ぶような結末でもない。

 

ただただ、過去の自堕落人生が走馬灯のように駆けめぐるなか、

挑戦を決めた中年男は最後までトップ争いに食らいつき、走り抜くのだ。

 

あとで調べてみると、江口カン監督は大ヒット映画『ロッキー』

に大いに感化された人物だとわかった。

 

ロッキーはアメリカンドリームを絵に描いたような、

わかりやすいヒーロー誕生物語だった。

 

ただ、『ガチ★星』はもっとリアルでリアリティに溢れている。

ま、プロ野球は大好きだけど、競輪の世界はまったく知らないのだが……。

だけど、これは野球映画ではないし、競輪映画でもない。

 

とことんダメな中年男が、最後の最後で自分の自堕落さに気づき、

ゴールへ向けて風のように走り抜けるだけ。

 

この作品の魅力は、ある程度年齢を重ねた人にしか伝わらないかもしれない。

涙が出るわけでもないし、拍手を送りたくなるわけでもないし、ただただ染み入る。

 

この年齢(58歳)の私だからこそ染み入るのかな?

 

とにかく洋画、邦画を問わず小学生のころから映画鑑賞が大好きな私。

海外ドラマや日本のドラマもかなり観ている。

 

好きな映画は……ディアハンター、カッコ―の巣の上で、ショーシャンクの空に、がベスト3。

いま話題の『半沢直樹』は、完全にコメディ(?)ドラマと割り切って観る分にはじつに面白い。

 

まさか、ここにきてノーマークだった邦画を観て、

これほどグッとくるとは思わなかった。

 

まあ、おもしろい、つまらないの感性は人それぞれ。

年齢、男女によって価値観が違うし、

私の思うところとは大いにギャップがあるかもしれない。

 

だから、あえて言うとしたら、

40歳代半ば以上の男性におススメしたい。

 

このアメブロで映画の話を書くのは、

9年以上つづけてきて初めてのこと。

 

それほど、響いてきたのである。

隠れた秀作って、あるものなんだね!