6月24日、午後7時スタートとなる

新日本プロレスの無観客試合・第6戦の

NEW JAPAN CUP2020』公式戦2回戦で

新日本プロレスワールド』の放送席についた。

 

現場、会場で放送席について解説を行なうのは、

2・22後楽園ホール(中西学 引退記念大会)

以来だから、なんと4ヵ月ぶり。

 

 

2002年8月、テレ朝『ワールドプロレスリング』の解説担当となって以来、

これほどまで長く現場の放送席から離れたのは初めてのこと。

 

そういう意味でも、また無観客の会場で解説するという意味でも、

テレ朝アナウンサー陣、解説のワタクシ金沢、ミラノ先生、

ゲスト解説の小島聡と4人が2メートル近く間隔を開けて座り、

しかもその間にしっかりアクリル板が3枚設置されているということも、

なにもかもが新鮮で不思議な感覚に包まれた。

 

ただし、いざ試合がスタートすると、そんな不思議な感覚も何処へやら!

野上アナ、大西アナ、草薙アナの聞きなれた声が響き、

隣からミラノ先生の的確な解説が聞こえ、

やや噛みながらも(笑)、小島聡が一生懸命に話してくれる。

 

自分も負けじといつものペースで…いや、すこしばかりアゲアゲで

しっかりと話すことができたと思っている。

 

観客の声援は聞こえなくても、全5試合…やはり新日本プロレスは面白かった。

いつもと何ら変わらず熱くて、クォリティが高くて、

選手層の分厚い、新日本プロレスの闘いを見せつけてくれた。

 

過去、ノア時代からシングルで10戦以上して勝利なしの石森太二が、

極上のテクニック合戦の末、金丸義信からシングル初勝利を奪い3回戦へ。

 

石井智宏vs真壁刀義の同期対決には戦慄した。

肉弾相討つ壊し合いの中、両者は意地でも倒れない。

終盤、アタマが飛んでしまったのか真壁の目線が宙を泳ぐ場面もあった。

それでも自分に気合を入れて、ライバルに打ちこんでいく。

結果は、石井が対真壁にシングル4連勝。

 

新日本隊vs鈴木軍の6人タッグマッチを経て、

矢野通vs高橋広夢の因縁対決。

なんと矢野は、自身のコスチュームどころか、

会場の至る所にハサミ、バリカンを仕込んでいた。

そして、ついにヒロムの髪を切ることに成功し勝ち誇る。

 

とはいえ、髪切りマッチではないのだよ。

結局、ヒロムが矢野をテーピングでグルグル巻きにして、

会場のある5階からエレベーターに乗せて下降させ、

その間に互いの足をテーピングで固定された辻陽太と

二人三脚でリングに駆け戻りリングアウト勝ち。

 

いったい、これはなんの競技だったのだろう?

ハッキリ言って、笑いを堪えるのに必死だった。

ただし、そういう試合であってもジュニアヘビーであるヒロムの

スピードに負けずに動く矢野のコンディションのよさには驚かされた。

 

これにて、NJC3回戦では石井vsヒロムが実現。

ある意味、ゴールデンカードといっていいだろう。

 

そして、メインイベントはオカダ・カズチカvs永田裕志戦。

オカダが海外遠征から凱旋しレインメーカーに変身してから、

両選手は過去に一度しかシングルマッチで交えていない。

 

2015年8月12日、後楽園ホールでの『G1』公式戦。

その試合はオカダがレインメーカーで制したものの、

会場は‟永田コール”一色に包まれ、試合も永田が押していた。

 

「永田さんが凄いんじゃない。オレが情けねえ!」

 

集中攻撃を受けた右腕を押さえながらオカダは厳しい顔で言った。

 

「オカダ、強かったよ。ただ一個だけ言わせてくれ。

『レベルが違う』って言うから、どんだけとてつもないくらい強いのかと思ったら、

まだそこまではいってないな。オレともっと闘えば、さらに強くなるよ、あいつは!」

 

敗れはしても、手応えを掴んだ永田は充実の表情だった。

 

あれから約5年ぶり、2度目の一騎打ち。

当然レインメーカーはさらに強くなっているし、

永田は年輪を重ね新日本マット最年長の52歳になった。

 

ただし、両者は引かない。

真っ向勝負へ。

 

雪崩式エクスプロイダー、バックドロップが爆発したときには、

永田の勝利が見えてきた感もあった。

エルボーの応酬でも退くことをしらない永田に対し、

あのオカダが一瞬ウンザリしたような表情も浮かべている。

 

だが、最後は執ような変型コブラクラッチで

粘る永田からタップを奪った。

 

試合後、マイクを持ったオカダがアドリブをかました。

 

「ここで喋っても、裏で喋っても一緒なんだからさ、

野上アナ、ひさしぶりにやりましょうよ。

勝利者インタビュー、そこから聞こえるんで」

 

なんと、リングサイドの放送席から野上アナが肉声で質問し、

オカダが視聴者に向けマイクで答えていくという新形式の勝利者インタビュー。

こんなアドリブが飛び出すところにも、オカダのスマートさがよく見て取れる。

 

 

全5試合、2時間の新日本プロレス絵巻。

堪能させてもらった。

やはり、プロレスは会場観戦がイチバン。

 

みなさん、もうしばらくの我慢ですよ。

溜めて溜めて、爆発しましょう!