例年であれば、エディオンアリーナ大阪で開催される

2月の新日本プロレス大阪大会であるが、今年は大阪城ホールへ進出。

9日、大阪城ホールには1万1411人(札止め)の大観衆が詰めかけた。

 

                                      ●写真提供/新日本プロレス

 

しかも、大阪が鬼門と言われつづけてきた内藤哲也が

IWGPヘビー級&IWGPインターコンチネンタルの2冠王者として、

メインイベントで見事に大会を締めくくっている。

 

私は今回、現場ではなく『新日本プロレスワールド』での観戦取材。

やはり、後半3試合が圧巻の内容だったと思う。

 

まず、第6試合でIWGPジュニアヘビー級選手権、

高橋ヒロムvsリュウ・リーのライバル対決が582日ぶりに日の目を見た。

 

1年7カ月前…2018年7月7日、サンフランシスコ・カウパレスで起こった悲劇。

ドラゴン・リー(当時)の投げっぱなしドラゴンドライバーを食って、

受身をとりきれなかったヒロムが首を骨折した。

 

                                     ●写真提供/新日本プロレス

 

身体に傷を負った男と、心に傷を負った男ーー。

あれから紆余曲折を経て、6年越しのライバルが再会。

真っ向から打ち合って、互いの傷が全快したことを確認し合った。

 

打撃戦、空中戦、スープレックスの攻防。

テッパンの闘いを制したのは、ヒロムのTIME BOMB2連発。

この日、この試合を契機にヒロムvsリーの第2章がスタートした。

 

セミファイナルでは、IWGP USヘビー級王座を賭けて、

ジョン・モクスリーvs鈴木みのるの喧嘩マッチが実現。

 

昨年の6・5両国大会に電撃参戦した元WWEスーパースターの

ディーン・アンブローズことジョン・モクスリー。

その試合を観た直後に鈴木みのるは、こうツイートした。

 

「オレはジョン・モクスリー、クリス・ジェリコとケンカがしたい。

世界中がそれを観たがっている」

 

じつは、日本通のモクスリーはもともと鈴木みのるマニアだった。

というのも、2012年10月8日、両国国技館で行なわれた

棚橋弘至vs鈴木みのるのIWGPヘビー級選手権を

自分のテキストとして、「何100回も観ている」と言うのだ。

 

                                      ●写真提供/新日本プロレス

 

ゴングを待たずしてパイプイスを使っての

チャンバラ合戦から闘いはスタート。

殴る、殴る、ひたすら殴り合う。

 

殴っても、殴られても笑みを浮かべている鈴木。

場外テーブルに変型ボムで叩きつけられた

鈴木の背中には砕けたテーブルの破片が刺さったまま。

 

勝負を決めたのは、デスライダー。

大の字で3カウント聞いた鈴木はそれでも笑っていた。

 

戦前、「あいつは、まだ遠慮してる。俺がケンカを教えてやる」

と言っていた鈴木にすれば、敗れてもしてやったりの闘いだったということだろうか?

この喧嘩は、まだまだ続きがありそうだ。

 

メインイベントはIWGPヘビー級&IWGPインターコンチネンタルの2冠選手権。

史上初の偉業を達成した王者・内藤哲也に挑戦するのは、

1・5東京ドームのメイン終了後に乱入し、

ドーム史上最悪のバッドエンドを演出したKENTA。

 

このマッチアップにはスパイスが効いていた。

内藤を襲撃しドームを埋めた3万余の観衆から大ブーイングを浴びて、

一躍、新日本マット最悪のヒールに成り上がったKENTA。

 

その後、2冠王座挑戦が決まってから1カ月、

リング上の前哨戦はもとよりリング外でもSNSを駆使して、

内藤を挑発しつづけてきた。

 

いざ、試合が始まるとノラリクラリと間をとって、

開始5分で一度しか内藤とコンタクトしない。

内藤戦法を完全に逆手にとった格好だった。

 

ただし、KENTAはその間にも王座奪取への伏線を張り巡らせていた。

これぞ、サイコロジーのプロレス。

前のIWGPジュニア戦、USヘビー級戦とは

まったく毛色の違う試合となった。

 

この駆け引きの妙が、私には抜群におもしろかった。

ところが、なぜかファンの間(ブログ、ツイッターなど)では、

前の2試合より評価が低い。

 

実際、大阪城ホールの2階スタンド席で観戦してきた友人に訊ねてみると、

「会場全体の熱が、前に2試合に比べて足りなかったと思う」という感想。

 

なるほど、前の2試合は真っ向勝負だから会場全体までとどく。

ただしメインは駆け引きを駆使した間の多い試合だから、

大きな器では伝わりにくかったのかもしれない。

 

プロレスは難しい。

会場観戦と動画観戦では、

こういうギャップが生まれてしまうのだ。

 

もし、会場観戦組でメインの試合に乗りきれなかった人には、

ぜひもう一度、『ワールドプロレスリング』や『新日本プロレスワールド』で

2冠戦をチェックしてもらいたいと思う。

 

                                      ●写真提供/新日本プロレス

 

8割方、KENTAペースで進んだ試合が

激しく動きだしたのは30分を過ぎてから。

 

試合序盤で外していたコーナーマット付近へ

KENTAが内藤を叩きつけた。

剥き出しとなっていた金具部分に前頭部から突っ込んだ

内藤は額をザックリ切って大流血。

 

このアクシデントで覚醒したかのように、内藤が怒濤のラッシュ。

最後はデスティーノでKENTAを沈め、

1カ月越しに「デ・ハッポン!」の大合唱を決めた。

 

今大会に関して、新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトでは、

真っ向勝負とサイコロジーのプロレスの比較論なども含め総括している。

 

『号外!“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』!

今回は「1.5東京ドーム“史上最悪の乱入劇”の末に待っていたのは、鮮血のハッピーエンド!」

2.9大阪城ホールを大総括!https://www.njpw.co.jp/240031

 

【追記】

 

そうそう、いよいよ引退試合までカウントダウンに入った

中西学インタビューの第2回めもアップされています。

 

                                     ●写真提供/新日本プロレス

 

パート2は、すこしくだけた話が中心になっているので、

どうぞリラックスして笑いながら読んでくださいね。

 

 

いきなりノートンを水車落とし! 試練だらけのデビュー戦!

合宿所での“青春時代”にも迫る!

中西学に“GK”金沢克彦がラストインタビュー!!(第2回)

https://www.njpw.co.jp/240076