新日本プロレス史上初の外国人社長として辣腕をふるう

ハロルド・ジョージ・メイ代表取締役社長兼CEOが、

じつに興味深い自叙伝でありビジネス書を出版した。

 

百戦錬磨 セルリアンブルーのプロ経営者

 

 

同書を読みきるまで10日間も要してしまった。

というのも、私はふだんプロレス関連の書籍はほとんど読まない。

読んだとしても、ほぼ斜め読みか、興味のある部分だけ。

 

ただし、メイ社長の本はまったくの別ものである。

オランダに生まれ8歳から13歳まで父の仕事の関係から横浜で暮らした著者は、

その後、インドネシアへ移り、大学からアメリカへ。

 

大学卒業後、大好きだった日本と深く関わりを持って、

ハイネケンジャパン、日本リーバ、サンスター、日本コカ・コーラ副社長、

タカラトミー社長を経て、新日本プロレスへ。

 

これらの一流企業で経験したマーケティング、組織論、

ビジネスにおける国民性の違い、トップに必要とされるマインドとスキル。

それをすべて自分の体験談をベースとして、専門用語で濁すことなく、

じつにわかりやすい言葉を使いながら説いていくのだ。

 

これは、ちょっと流し読みできないなあ。

それが率直な感想だった。

自叙伝にしてビジネス書。

 

少年時代、言葉がなかなか通じない日本での生活のなかで、

夢中になってテレビで観たプロレスの記憶…。

そして、プロ経営者として招かれた新日本プロレスで

自分のキャリアを全うしたいと思うプロレスへの愛情。

 

プロレス本、ちゃうねん!

 

だから、プロレスファンの人たちには、

メイ社長の覚悟のほどを知ってほしいし、

それ以上にプロレスに興味がない人にもおススメしたい。

 

とくに、これから人生の目標、目的に向かって歩んでいく若い人たち。

中学生、高校生、大学生、20歳代の若者。

いや、30歳代、40歳代でも組織のトップに立つ人、

または組織の改善を模索している人たちにも。

 

なにか目の前がパッと明るくなるというか、

人生、ビジネスにおいて大きなヒントを与えてくれるはず。

 

私が一番興味を持って感嘆した部分は、

米国ペンシルバニア州の大学で著者が過ごした4年間の生活。

土・日だろうが、クリスマスだろうか一度も飲酒したことがないという。

 

というのも、大学での4年間ボランティア活動に没頭していたから。

地元の消防署の消防・救急・レスキューと3つの資格を取り、

命を預かる現場に1000回以上も出動した経験があるという。

 

傍で見ていれば、いつも気軽にファンと交流して記念撮影を行ない、

ステッカーなどをプレゼントしたり、ハロウィンでは仮装して会場にいるのがメイ社長。

 

明るいノリの人だなあ、目立ちたがり屋なのかなあ?

そんな程度に思っていたことでさえ、印象が変わってくる。

 

人間力

 

この本を読んで感じたことは、このひとこと。

この人の百戦錬磨の辣腕は、人間力からくるのだ。

 

そんな凄腕のメイ社長が私より2歳年下?

おーい、勘弁してくださいよぉー(笑)。

こんな私だって、いまからでも人間力を磨かないとねえ。

 

ひさびさに、おススメの一冊です!

 

 

トップマーケターとしてのメイ社長の思考法とは

新日本プロレスリング株式会社社長兼CEO。
日本語と英語とオランダ語など6ヶ国語を自在にあやつり、海外でのビジネス経験も豊富なプロ経営者、ハロルド・ジョージ・メイ。外国人でありながら日本人の感覚も持ち合わせる国際人メイが、キャリアを築くベースになったマーケティングのこと、経営や組織のこと、英語学習のことやグローバル社会のこと、社長としての思いやプロレス愛などについて綴った初の著書。

【CONTENTS】
第1章 パーソナルなこと
❶ 8歳で日本にやってきた / ❷ 言葉の話 / ❸ 浜っ子だった / ❹両親の犬猫好き / ❺ 命が消えゆく瞬間 / ❻オランダ人は商売上手 / ❼面白いことが好き

第2章 マーケティングについて
❶ マーケティングは「売る科学」/ ❷ ブランディング / ❸ 新しい市場を創る / ❹ SNSのビジネスでの活用 / ❺ POP広告 / ❻ プロモーション / ❼ スポーツのマーケティング / ❽ ビジネスにはマメさが必要

第3章 経営について
❶ プロ経営者 / ❷ 外資系企業と日本企業 / ❸ 投資家には好かれている / ❹ グローバリゼーション / ❺ 広報のポテンシャル / ❻ 情報収集 / ❼ 契約書には落とし穴が① / ❽ 契約書には落とし穴が② / ❾お客様相談室/ ❿ 社長の役割 / ⓫ 企業の社会貢献活動

第4章 新日本プロレスについて
❶ 父と観たプロレス / ❷ プロレスの夢 / ❸ 新日本プロレスの内情 / ❹ 観戦スタイルの変化 /❺ IPビジネス / ❻ 顔が見える経営 / ❼ インバウンドとプロレス

第5章 組織と人について ❶ 適材適所 / ❷ 学生さんへのアドバイス / ❸ 褒められて伸びる人 / ❹ グローバル人材 / ❺ 組織改革 / ❻ プレゼンテーション

内容

社長はムードメーカー、会社を引っ張るのが仕事。競争激化&グローバルの時代に必要なマインドとスキルとは。青い目のプロ経営者が、究極の経営論を語る。マーケティング、組織論、仕事術のすべて業績をV字回復させる秘訣を語り尽くす!

著者について

新日本プロレスリング株式会社社長兼CEO。1963年オランダ生まれ、8歳から13歳まで父親の仕事の関係で日本で生活する。その後、インドネシアへ移り、大学からはアメリカへ。ニューヨーク大学(NYU)修士課程修了。ハイネケン、ユニリーバ、サンスター、日本コカ・コーラ副社長、タカラトミー社長を経て現職。タカラトミーでは業績をV字回復させ、在任中同社の株価を4倍近く上げた。現在は新日本プロレスリングでその手腕を発揮中。テレビ東京「ガイアの夜明け」やNHK「おはよう日本」などで紹介され、マスコミ、経済界からも引っ張りだこの異色の経営者。日本語が堪能で明るくユーモアのある人柄でも知られている。

 

  • 単行本: 242ページ
  • 出版社: 時事通信社
  • 発売日: 2019/12/17
  • 定価:1500円+税