2015年7月、21年ぶりに同会場での興行を復活させて以来、

5年連続の開催となった今年の6・9大阪城ホール大会。

 

今年も前売りチケットは早々に完売となり、

1万1901人(札止め)の大観衆を動員した。

 

『G1 CLIMAX』は別格として、いまや大阪城ホール大会は

1・4東京ドームに次ぐ関西地区の超ビッグイベントと位置づけされてきた。

 

なんといっても今回は、掴みとなるオープニング2試合が豪華版。

 

                                             ●写真提供/新日本プロレス

 

まず、第1試合に元WWEスーパースターの”狂犬”ディーン・アンブローズこと

ジョン・モクスリーが登場し、ヤングライオン海野翔太と対戦。

 

その強さを遺憾なく見せつけて、やはり別格の超大物であることを証明した。

しかも、モクスリーは『G1 CLIMAX』参戦をアピール。

 

ここ数年で、AJスタイルズが去って、ケニー・オメガも去った。

ところが、いまの新日本マットには次々とトップ外国人がやってくる。

 

モクスリーの『G1』エントリーが決定すれば、

ジェイ・ホワイトとともに外国人2強となり、

当然のようにⅤ候補の一角となることだろう。

 

                                            ●写真提供/新日本プロレス

 

第2試合には、先の『SUPERJr.26』準優勝の鷹木信悟が登場。

本人の希望通り、ヘビー級戦士とのシングル戦がマッチメイクされた。

相手は、アニマル浜口ジムの大先輩にして、元IWGPヘビー級&三冠ヘビー級王者。

さらに、2010年『G1』覇者と実績において申し分のない小島聡

 

ただし、鷹木には臆するところはまったくない。

ラリアットvsパンピングボンバーの豪腕対決で一歩も退かず、

最後はラスト・オブ・ザ・ドラゴンで小島をピンフォール。

 

試合後、ついに信悟の口からも『G1』出撃宣言。

鷹木の『G1』参戦が実現すれば、ドリームカードがこれでもか!と待ち受けている。

石井戦、後藤戦、飯伏戦、そして同門の内藤戦……。

好勝負、名勝負必至、必ずや旋風を巻き起こすことだろう。

 

第6試合のIWGPタッグ選手権(GODが3度目の防衛に成功)終了後、

超サプライズに大阪城ホールは大爆発、騒然とした。

 

突然、入場テーマ曲が鳴り響いて柴田勝頼が登場。

柴田が花道の途中で足を止め入場ゲートを指さすと、

なんとKENTAが入ってきた。

 

                                            ●写真提供/新日本プロレス

 

新日本マットでシバケンコンビ、ソウルメイトが復活。

ひと回り分厚くなった身体に『Takeover』Tシャッツを身に纏ったKENTA。

こちらもマイクを通して堂々と、『G1』出場宣言。

 

今年1月、4年余り在籍したWWE(NXT)を自主退団したKENTA。

正直、二度の怪我に泣かされた。

私個人が思うに、あの不運な怪我さえなければ、

KENTAはメインロースターで活躍していたはず。

 

ただし、人生に「たられば」はないし、

KENTAも言い訳など一切しない。

 

『G1』で、彼の真の実力を披露してくれることだろう。

 

後半3試合の3大シングルマッチはそれぞれに見ごたえがあった。

 

IWGPジュニアヘビー級選手権。

ドラゴン・リーvsウィル・オスプレイ

20分を超えるノンストップの攻防。

 

もはや人間業とは思えない。

4日前の6・5両国大会の『SUPERJr.26』優勝戦、

オスプレイvs鷹木信悟は名勝負であったが、

それとはまたカラーの違う凄まじいハイフライ決戦。

 

結果的に、オスプレイがまる1年ぶりに王者へと返り咲いたが、

2カ月天下ながらリーの存在も完全に新日ファンから認知された。

試合後のノーサイドの光景もあまりに清々しく感動的ですらあった。

 

ちなみに、オスプレイもジュニア代表として『G1』出場をアピール。

 

                                            ●写真提供/新日本プロレス

 

セミフィナルのIWGPインターコンチネンタル選手権。

飯伏幸太vs内藤哲也の同学年対決はもはや腐れ縁と言うしかない(笑)。

戦前、互いに何を言い合おうとも運命の糸で結ばれているのだ。

 

結果的に、昨年の『G1』、今年の『NJC』、4・6米国MSG決戦と

3連敗を喫していた内藤が一矢報いて王座を奪還した。

 

今回も一部で問題視されたのは危険技の応酬が見られたこと。

内藤がエプロンから放った断崖式ジャーマンスープレックスによって

飯伏は頭部をエプロンの角に強打して首がグニャリと曲がった。

 

また、飯伏の人でなしドライバーによって

内藤は脳天からマットに突き刺さった。

 

ただし、危険技に一言も二言も持っている棚橋はこうコメントしている。

 

2人の関係は特殊な気がする。『ここまでやっても大丈夫』っていう

信頼関係みたいなものがあるのかもしれない

 

内藤vs飯伏。

この闘いは果てしなく続くのかもしれない。

 

メインイベントはIWGPヘビー級選手権。

オカダ・カズチカvsクリス・ジェリコ

レインメーカーvsペインメーカーの初シングル戦。

 

過去のケニー戦、内藤戦、EVIL戦と比較しても、

ジェリコの動きが格段にいい。

スピードがあるし、キレもあるし、

まるでジュニア時代のように飛び技も決まる。

 

それをしっかりと受けて立つ絶対王者。

結局、レインメーカーでもウォールズ・オブ・ジェリコでも決まらず。

フィニッシュはジェリコの前方回転エビ固めを圧し潰してのエビ固めだった。

 

派手な必殺技が決まらず決着となったIWGPヘビー級戦は珍しい。

ただし、内容的にはおもしろかったし、こういう決着もアリかなと思う。

 

                                            ●写真提供/新日本プロレス

 

ところが、試合後にジェリコが大暴走。

イスでオカダをメッタ打ちにしてダウンさせてしまった。

収拾のつかない状況にたまらず放送席の棚橋が飛び出す。

期せずして、棚橋vsジェリコの乱闘にまで発展。

 

恒例であるキャノン砲からのテープ発射もなく、

王者のマイクパフォーマンスもないエンディング。

 

騒然とした空気に包まれるなか、

観客は席を立たざるを得なかった。

 

1980年代後半の新日本プロレスをすこし思い出させる光景。

昭和ファンはともかく、ビギナーファンはそれをどう受け止めたのか?

 

私が思うに、ジェリコは計算づくで、

この空気感を作り上げたような気もする。

 

好勝負あり、サプライズあり、危険技あり、

さらに予想外のエンディング……。

 

そんな波瀾万丈の6・9大阪城ホール決戦を

今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて大総括。

 

『号外!“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』!

今回は「衝撃のバッドエンドの裏に、“知能犯”ジェリコの思惑が見え隠れ!?」

6.9大阪城決戦を大総括!!https://www.njpw.co.jp/203202

 

では、ぜひ当コラム(総括レポート)を読んでいただいて、

みんなで6・9大阪城に関していろいろと考えてみましょう!

 

【追伸】

 

空手家で「熊殺し」と称されたウィリー・ウィリアムスさんが亡くなった。

享年67。

 

極真会館出身ながら、アントニオ猪木に挑戦を表明。

「他流試合禁止」の極真から破門されるカタチで、

「最強」を賭けてプロレスvs空手の異種格闘技戦に挑んだ。

 

1980年2月27日、東京・蔵前国技館。

アントニオ猪木vsウィリー・ウィリアムス

あまりに殺伐としたリング内外の空気が忘れられない。

 

 

なぜなら、この試合を私は砂かぶり(特別リングサイド)2列目から目撃したのだ。

1980年2月といえば、私の大学受験ともろかぶりだった。

 

「絶対に合格するからイチバンいい席のチケットを買って!」

 

そう親に頼み込んで、北海道の田舎町(帯広市)から上京。

受験日程はすべて、この猪木vsウィリー戦に合わせ組んでいた(笑)。

たしか、この前日の26日が私が入学した青山学院大学の受験日だったよなあ。

 

正直いって、こういうパンフだとかチケット半券だとか、

そういうものに固執しないし収集癖もない私なのだが、

あれから40年近く経った今も持っているということは、

やはり特別な”世紀の一戦”だったということになる。

 

ウィリー・ウィリアムス。

でかくて強くて怖かった。

 

紛れもなく、もっとも有名な外国人空手家だった。

当時18歳の私に戦慄を与えてくれたウィリーさん。

いつまでも…永遠に記憶に残ることでしょう。

 

合掌。