宝島本の「証言シリーズ」として、
27日に新刊が発売された。
証言 長州力「革命戦士」の虚と実
来たる6月26日、後楽園ホールでキャリア最終戦を迎える長州力。
そのファイナルマッチの試合は6人タッグマッチ=60分1本勝負、
長州力&越中誌郎&石井智宏vs藤波辰爾&武藤敬司&真壁刀義と決定。
これ以上はない、至極のマッチメイクとなった。
まあ、その絶妙なタイミングを考えての新刊である。
宝島社の恒例となった「証言」シリーズ。
今回は、長州と因縁のある19名がプロレスラー・長州力、
人間・吉田光雄を語っている。
まあ、私が思うに、ファイナルを目前に控えた長州にしてみれば、
「余計なお世話」となるだろう(笑)。
ただし、マスコミ側からすれば、
「この機を逃してなるものか!」となる。
このあたりが、永遠のテーマ。
マスコミ嫌いの長州が語るわけはないのだから、
長州に近い立場にいた者、因縁のある人間に語ってもらう。
それは自然の流れでもあるし、いかに長州がこの業界で重要な役割を果たしていたか、
その証明ともなるだろう。
この本のオビにある通り、長州力を語った人間は計19人。
それぞれの長州との関わり、長州へのメッセージを忌憚なく語っている。
最後に名前が出てくるワタクシ金沢もその一人。
言わば、マスコミ代表の立場から長州を語っている。
この一冊に関しては、読むも読まないも読者の自由である。
また、読んで長州力という稀代のスーパースターに対する認識が変わるとは思えない。
まあ、私自身がこの一冊を読んでみて感じたことを言うなら、
反・長州、あるいは長州の天敵と思われていたレスラーたちの証言が興味深いこと。
金本浩二、西村修、谷津嘉章、宮戸優光といった面々が、
歳月を経て、長州との関係、思い入れを純粋に語っているのがグッとくる。
一方で、これは取材したライターさんの知識不足、取材不足に手伝って、
エピソードの内容が20年以上も前の話題とあって、
記述された内容に明らかな事実誤認、記憶誤認の部分が数ヵ所あっとことが気になる。
こういった事実誤認が訂正されることなく一冊の本として世に送り出されることにより、
それが誤った事実ながらファンに認識されてしまうこと、
そこが私としては何とも残念すぎることなのである。
長州力が好きか嫌いか?
それはその人たちがそれぞれ抱く感覚であるが、
歴史的な事実関係だけは絶対に捻じ曲げてはいけない。
そういう意味でも、この本で語られたことを100%信用しないこと。
あくまでも、長州力を知る上での参考文献にしていただきたいと思う。
まあ、機会があれば正確な事実関係は、私が証言したいと思っている。
それが、どれだけ本人から批判されようとも長州力には感謝の気持ちしかない――
そう言いきれるワタクシ金沢克彦からの回答でもあるのだ。
内容紹介
6月26日に引退をするプロレスラー長州力の実像に迫る! 盟友、ライバル、フロントなど
「革命戦士」と濃密な関係にあった19人が語る、タブーなしの証言集。
アマレス時代に天下を獲った男が雌伏の時を経て、“噛ませ犬発言"でブレイク。
時代の寵児となり、その後もプロレス界の「ど真ん中」に立ち続けた不世出のレスラーが関係したエポックな事件の真実。
新日本プロレスクーデター事件、ジャパンプロ設立、前田日明との遺恨、現場監督で本黄金期、WJ旗揚げ、
そして猪木との愛憎――。黙して語らない“最強レスラー"の虚と実。
- 単行本: 311ページ
- 出版社: 宝島社 (2019/5/27)
- 定価:1700円(プラス税)