実際に雪が降ったかどうかは現地に行っていないので知らないけれど、

雪の札幌では何かが起こる」でお馴染みの新日本プロレス、

2月2~3日に開催された北海きたえーる2連戦。

 

『新日本プロレスワールド』でしっかりとチェックさせてもらった。

初日のメインでは棚橋弘至&オカダ・カズチカという

2人だけの純粋タッグチームがついに実現。

 

BULLET CLUB最強軍といっていい、

ジェイ・ホワイト&バッドラック・ファレと対戦。

もちろん、来たる2・11大阪大会の前哨戦である。

 

大阪では、IWGPヘビー級選手権(棚橋vsジェイ)、

スペシャルシングルマッチ(オカダvsファレ)という二大カードが目玉となる。

 

ただし、この4選手が並び立つと、

単に前哨タッグ戦という空気を超えたものさえ感じた。

 

なにか懐かしいというか、歴史をさかのぼった気分になるのだ。

かって、日本のプロレス界は1970年代半ばまで、

日本人トップ同士の対戦はタブーとされていた。

日本人同士が闘うのは前座の若手同士の試合にかぎられており、

メイン、セミクラスのカードはつねに日本人vs外国人という顔合わせ。

 

だから、必然的にタイトルマッチは、日本人vs外国人が当たり前であって、

それがタッグのタイトルマッチとなればトップ日本人チームvsトップ外国人チームとなる。

 

そういったノスタルジーまで感じさせような、

別格の格好よさが棚橋&オカダに垣間見える。

 

力道山、木村政彦vsシャープ兄弟、

BI砲(馬場、猪木)vsブルーザー&クラッシャー、

猪木、坂口vsハリウッド・ブロンドス、

馬場、鶴田vsザ・ファンクス、

武藤、蝶野vsザ・ロードウァリアーズ、

馳&健介vsスタイナー・ブラザーズ。

 

かつて日本人トップvs外国人トップの対決に胸を躍らせた時代、

そういった顔合わせが現代版として甦ったかのように見えた。

 

棚橋&オカダの連携も想像以上であったのだが、

それを粉砕したのがジェイのインサイドワークとファレのパワー。

タナのお株を奪うグランド式ドラゴンスクリュー連発から、

裏足4の字固め(TTO)でジェイが棚橋からタップを奪った。

その間、オカダはバッドラックフォールを食らって大の字。

 

ファレの圧巻の強さは相変わらずだが、

ジェイのコンディションが素晴らしい。

ウェスト周辺が絞られスリムになった印象でありながらも、

胸、肩、腕と筋肉のパーツはそれぞれ大きくなっている。

 

ジェイはそうとうにヤバイ存在になってきた。

もしかしたら7年ぶりに、タナにとっては因縁の地である大阪で、

レインメーカーショックならぬスイッチブレイドショックが起こるかも?

その可能性は、五分五分くらいであるかもしれない…。

 

2日目は、とにかくIWGPジュニアタッグ選手権が出色の内容だった。

BUSHI&鷹木信悟vs金丸義信&エル・デスペラードの顔合わせ。

ここにロッポンギ3Kを加えた3WAYマッチ地獄(?)が延々と続いてきたが、

前王者の鈴木軍を完璧なカタチで下したことによりロスインゴチームが

王者として一歩抜け出た格好となった。

 

4人の出す熱量が凄いよなあ

 

ゲスト解説についた真壁刀義の言葉がそのまま試合を象徴していた。

 

左足を負傷しながらヘビー級並みのパワーで暴れまわる鷹木。

デスペラードとのマスク剥ぎ合戦で火が点いたBUSHIが

目の覚めるような鋭いドロップキックを放って、

デスぺラードの動きをストップさせる。

 

かと思えば、キャリア23年目ながら衰えを知らない金丸が、

空中戦、立体殺法、スピードで王者組を翻弄する。

 

 

最後は、合体のリベリオン(合体コードブレイカー)が完璧に決まった。

いやはや、ここ最近のジュニアタッグの試合ではベストと言っていいだろう。

とくに、エキサイトしたBUSHIのマスクに、怒りの表情が浮き出て見えたのが印象的。

2日間を通してのベストマッチ、またMVPはBUSHIと言っていいだろう。

 

2連戦のトリを飾ったのは、IWGPインターコンチネンタル選手権。

タイチが予言した通り、本当に雪の札幌で事件が勃発。

入場してくる王者・内藤哲也を背後から飯塚高史が急襲したのだ。

 

脚立、パイプイスで内藤をメッタ打ちにして、

さらにタイチもブラックメフィストで追い打ち。

これで戦闘不能となった内藤が控室へ運びこまれた。

 

タイチ(石狩市出身)、飯塚(室蘭市出身)が地元でやってしまった。

地元ファンを逆撫でするかのように完全なヒールっぷりを傍若無人に見せつけた。

なんとか、試合はスタートしたものの、乱入のインパクトが大きすぎた感は否めない。

 

それが、観ていていまひとつ試合に集中できなかった理由だろう。

いくら舌戦を繰り広げようと内藤、タイチはお互いを認め合っている。

それは昨年二度行なわれたシングルマッチが予想以上の好勝負となったことが証明しているし、

ヘビー級転向を目指すタイチに、1年前、「一歩踏み出す勇気」を唱えたのも内藤だった。

 

 

ぜひとも、スッキリしたカタチでの再戦を望みたい。

タイチの口からお得意の「リマッチ地獄」のアピールが出ることを期待している。

 

さて、今大会の札幌2連戦に関しても、

新日本プロレスオフィシャルスマホサイトの不定期連載にて、

総括レポートを書いています。

 

『号外!“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』!

今回は「棚橋&オカダ組に見た“プロレスの原点”! そしてジェイ、恐るべし!」

“雪の札幌2連戦”を大総括!https://www.njpw.co.jp/184946

 

ぜひ、読んでみてくださいね。

 

【おまけ】

 

ここ最近、またもプロレス本ラッシュという感じで、

さまざまな本が発売されているのご紹介。

 

 

まず、1月17日に、イースト・プレスより発売された

「世界の荒鷲」初の公認バイオグラフィーこと

最強のナンバー2 坂口征二』(佐々木英俊)。

 

著者の佐々木氏は、1983年に坂口征二ファンクラブ『荒鷲』を立ち上げたFC会長。

お、北海道出身、青山学院大学卒とワタクシ金沢の後輩にあたるではないかい?

 

過去に坂口征二の自伝がでなかったことじたいが不思議なのだが、

今回、坂口さんを40年間追いかけた佐々木氏によって評伝というカタチで出版された。

 

個人的に、私も坂口さんには本当にお世話になったし、

これは興味津々である。

 

●定価(本体2200円+税)

絶賛発売中!

 

 

つづいて、1月28日、彩図社から発売されたロッシー小川自伝

『【実録】昭和・平成 女子プロレス秘史』(ロッシー小川)

 

現スターダム代表のロッシー小川が、業界歴42年にわたる

自分の関わった女子プロ界の歴史、秘話を記している。

もちろん、小川さんはライターでもあるからゴーストではなく自分自身で書き連ねているのだ。

 

クラッシュギャルズ(長与千種&ライオネス飛鳥)から紫雷イオまで、

数々のスター選手をマネージメントして育ててきたロッシーが、

この業界で果たしてきた役割は本当に大きいなと改めて実感させられる。

 

(内容紹介)

ビューティー・ペア、クラッシュギャルズ、団体対抗戦時代……。

多くのスターを生み出した日本の女子プロレス。その影には一人の仕掛け人がいた。

ロッシー小川、現在は女子プロレス団体「スターダム」の代表取締役を務める男である。

その人生はまさしく女子プロレスそのもの。

巨大帝国・全日本女子プロレスの企画広報部長として、長与千種や北斗晶といったスーパースターをプロデュースし、

前人未踏の東京ドーム大会まで到達。

その後、自らの理想を実現するために全女から独立し、新団体「アルシオン」を創設。

満員の後楽園ホール旗揚げ戦という華々しいスタートを切ったが、経営難による団体崩壊と天国と地獄を味わった。

そしてまさかの車上生活から、不死鳥のごとく復活……。

生き馬の目を抜くプロレス興行の世界で、ロッシー小川は何を見てきたのか。

女子プロレスの名伯楽が初めて明らかにする、知られざる昭和・平成の女子プロレス史!

 

なんか、内容紹介は大袈裟だけど、

本当に小川さんの人生は波瀾万丈。

私もずいぶんとお世話になってきているが、どん底時代も知っているだけに

いま現在の生き生きしたロッシー小川さんを見ると嬉しくなってくるのだ。

 

ぜひとも、ご一読くださいね。

 

●定価(本体1600円+税)

絶賛発売中!

 

 

こちらは、双葉社より2月6日に発売されたばかりの新刊。

 

夜の虹を架ける四天王プロレス「リングに捧げた過激な純真」(市瀬英俊)

 

著者は、元週刊プロレス記者の市瀬英俊氏。

ワタクシ金沢とは、1980年代後半、

私が「週刊ファイト」記者時代からの顔見知りである。

 

のちに、私が「週刊ゴング」新日本担当になったころ、

市瀬氏は週プロの全日本担当記者として活躍し、

全日本と週プロを支えていた。

 

じつは、週プロが新日本から取材拒否を受けていたころ、

市瀬氏と私は誌面を通じてガチンコでやり合ったこともある。

いまでは、懐かしい青春の思い出でもある。

 

そういった経緯もあって、この本の主役は全日四天王なのだが、

市瀬氏の取材を受けて、当時の闘魂三銃士(武藤、蝶野、橋本)は

四天王プロレスをどう見ていたか?など私の証言も掲載されている。

 

(内容紹介)

家族が寝静まった日曜日の深夜。
眠い目をこすりながら、チャンネルを合わせるとテレビ画面に映し出されるあの男たち。
キック、逆水平、エルボー…痛みがダイレクトに伝わる打撃。
パワーボム、ノド輪落とし、ジャーマン…見ている自分の息が詰まる投げ技。
倒れても倒れても、何度も立ち上がる男たち。
繰り返される2・9の攻防。
頑張る、あきらめない、手を抜かない。
そんな言葉は口にせずとも、そのすべてをリング上で体現する闘い。
最後の力を振り絞って放たれた急角度のスープレックス。
3回叩かれるマット。乱打されるゴング。鳴り止まない拍手。
妙に冴えた目のまま、布団にもぐり込む。
明日、僕も頑張ろう。今日よりちょっとだけ。前を向いて――。

 

90年代、リングに熱狂を呼び込んだ「四天王プロレス」。
そこにいた4人の男――三沢光晴、川田利明、田上明、小橋健太。

投げっ放しジャーマンやエプロンでの攻防に象徴される激しい闘いは、
多くのファンを魅了し、海外を含めたのちのプロレスシーンにも大きな影響を与えた。
その一方で、2009年6月の三沢の死を境に、「やり過ぎ」だったとする
四天王プロレス批判があがったのは事実だ。
あの時代、闘いの当事者たちはどのような思いを胸にリングに上がり、
そして今、どのように考えているのか。元週刊プロレス全日本番として日々、
王道マットの取材を続け、またジャイアント馬場からの信頼も厚かった「一休」こと市瀬英俊記者が記す、
「明るく、楽しく、激しいプロレス」の真実――。

 

いやはや、分厚い。

ソフトカバーで832ページ

これを読んだら四天王プロレスを満喫し、

四天王プロレスで満腹感にひたること間違いなしである。

 

●定価(本体2000円+税)

絶賛発売中!