平成最後のドーム決戦と銘打たれた新日本プロレス、

1・4東京ドーム大会(WRESTLE KINGDOM 13)が終わった。

 

観衆は、昨年より3167人増の3万8162人と発表された。

目標の4万人突破、外野席開放とまではいかなかったものの、

スタンド席は右翼、左翼のポール付近までギッシリと埋まり、

その熱気と大歓声は第0試合スタートから絶えることのない盛り上がりっぷり。

 

 

本当に、ドームプロレス全盛期と言われた

1990年代を彷彿させる空気がドームに充満していた。

 

そして、全9戦のうち8戦がタイトルマッチ。

その8戦のベルトがすべて移動するという結果も前代未聞といっていいだろう。

 

第7試合に組まれた唯一のノンタイトル戦が

因縁のオカダ・カズチカvsジェイ・ホワイト

 

入場テーマ曲を旧レインメイカーに戻し、

コスチュームも以前のショートタイツ・ヴァージョンで登場したオカダ。

当然のように、館内はオカダ・コール一色に包まれる。

 

そんな状況もどこ吹く風とばかり、オカダの正調レインメーカーを交わし

ブレードランナーでオカダからピンフォールを奪取してのけたジェイ。

 

 

26歳、キァリア5年10ヵ月

いま現在の新日本マットにおいて唯一無二のヒール。

本当にとんでもない男に大化けしたものだ。

 

 

大会終了後には、オカダから2連勝という実績をたてに、

新IWGPヘビー級王者・棚橋へ堂々たる挑戦表明。

2・11大阪大会でのIWGPヘビー初挑戦権をゲットしている。

 

それにしても、昨年下半期のジェイの活躍は特筆すべきもの。

『G1』公式戦でオカダ、棚橋を連破してからというものの、

そのサイコパスな言動で新日マットをカオス状態に陥れ、

ジェイをストップさせるために、棚橋&オカダのあり得ないドリームタッグまで日の目を見ている。

 

ジェイが暴走すれば暴走するほど、

オカダ人気が再燃する――。

そんな一石二鳥の現象も見られた。

 

AJスタイルズ→ケニー・オメガ→ジェイ・ホワイト

ここ数年の外国人エース変遷の歴史にジェイの名前が

刻まれるのもそう遠い日ではないだろう。

 

 

セミファイナルは、昨年6・9大阪城ホールのリターンマッチ。

IWGPインターコンチネンタル選手権、クリス・ジェリコvs内藤哲也

急きょ、ルールはノーDQマッチ(※反則裁定なし)が採用された。

 

明らかに、ジェリコの土俵での勝負となり、

リング上には竹刀が持ち込まれ、また多くのイスが乱れ飛ぶ。

前回、正直いって不完全燃焼気味の試合に終わった同一戦であったが、

さすがにWWEスーパースターとロス・インゴのカリスマである内藤。

 

二度目の一騎打ちはガッチリと噛み合った。

そのうえで驚異の48歳、ジェリコをデスティーノで打ち破った内藤。

相変わらず、ベルトに対しては拒絶反応を示していたが、

やはり内藤がベルトを保持すればそこに対戦相手が殺到してくる。

 

つまり、今年は内藤メイン登場のビッグマッチがより多く見られるということ。

これは内藤ファン、アンチ内藤のファンにとっても歓迎すべきことだろう。

 

一方、これで新日本侵略にひと区切りと思われたジェリコも、

次はIWGPヘビーのベルトだ!」と継続参戦をぶち上げた。

 

あらゆる意味で危険分子、時限爆弾のような存在であるジェリコ。

ネクストはあるのか?

IWGPヘビー挑戦は実現するのか?

 

個人的に、対棚橋、対オカダ、対鈴木みのるといった一戦は、

予想不可能な闘いだけにぜひ見てみたい。

 

メインイベントはIWGPヘビー級選手権。

ケニー・オメガvs棚橋弘至。

この10年のドーム大会メインカードを振り返ってみると、

その試合のテーマは、新日本vs外敵、世代闘争、ライバル闘争が多かった。

 

今回は、イデオロギー闘争

ある意味、1990年代に東京ドームを熱狂させた

新日本vs全日本新日本vsUインターの団体対抗戦を思い起こさせる。

 

現代プロレスの象徴、世界最先端のプロレスラーを自負するケニー。

プロレス人気復活の立役者にして、新日本のアイコンである棚橋。

 

 

じつに、興味深く、おもしろい39分13秒の大激闘だった。

 

あえて、「品のない」攻撃を仕掛けていくケニーに対し、

それを拒絶してみせた棚橋。

 

かと思えば、ケニーの持ち出したテーブルを利用して

テーブルクラッシュを自爆したのは棚橋。

禁を破ってケニーの土俵に踏み込んでいったのだ。

 

最後の最後まで一進一退。

ただし、手数足数で上まわるケニーが

Ⅴトリガーから片翼の天使でフィニッシュを狙う。

 

万事休すか?

 

しかし、エースの閃きが勝った。

肩車された状態で身体を反転させた棚橋は、

スリングブレイドでケニーを浴びせ倒すと、

正調スリングブレイドからハイフライフロー。

 

3年ぶりに最高峰のベルトを腰に巻いた。

 

 

正直いうと、もうこの舞台へは帰ってこれないかと思ってました。

けど、柴田選手! 本間選手! 多くの仲間がエネルギーをくれました。

そして何より、ボクをここまで押し上げてくれたファンのみなさん、

ありがとうございました

 

感無量の面持ちで素の言葉を連ねた棚橋。

恒例のエアギターは一回だけ。

それほど精根尽き果てる闘いであった。

 

 

棚橋はケニーとのイデオロギー闘争に勝ったのか?

そこに関しては、ここでは触れない。

 

その部分は、新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトに

寄稿した1・4東京ドーム総評を読んでもらいたい。

 

『号外!“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』!

今回は「ドーム史上に刻まれる素晴らしい一夜」

ケニーvs棚橋の“イデオロギー闘争”~1.4東京ドームを大総括!

https://www.njpw.co.jp/180400

 

前半部分は無料にて公開中。

ただし、肝心なのはそこから先だからねえー!(笑)。

 

【おまけ】

 

今年の第0試合は恒例のニュージャパンランボー(時間差バトルロイヤル)ではなく、

1・5後楽園ホールでのNEVER無差別級6人タッグ王座への挑戦権を懸けた

5チーム参加によるガントレットマッチ(勝ち抜き戦)となった。

 

その一番手として入場してきたのが、

ジ・エリート(ペイジ&裕二郎&スカル)の3人衆。

ということは、もちろんこの人も登場!

 

 

そう、ピーターさん。

どうですか?

放送席からいきなりのナイスショット。

みなさんへのお年玉ということで(笑)。

 

【おまけ②】

 

7日に新日本プロレス大会議室で開催されたドーム三夜明け会見。

ここで、突然にKUSHIDAの新日本退団が発表された。

正直、「もしかしたら…」の予感はあった。

 

インディーシーンから成り上がって、

新日本所属選手となってから8年。

 

当初はファンの拒絶反応もあった。

しかし、KUSHIDAは実力でその声を大声援へと変え、

新日本ジュニアの象徴として時代を築き上げた。

 

その一方で、ホームの新日本はもとより、

アメリカ、イギリス、メキシコと世界を飛びまわる活躍ぶり。

 

いつしか、「世界のKUSHIDA」とまで称されるようになった。

これ以上のタイミングはないと思う。

まさに、いましかなかったと思う。

 

無論、本人のなかで葛藤はあったろう。

だけど、KUSHIDAは勇気ある決断をした。

 

 

私は、全面的にKUSHIDAの英断を支持したい。

おそらく、新日本の仲間たちも同じ思いのはず。

 

世界へ羽ばたけ。

よし、クッシー、勝負してこい!!