実質、今年の仕事納めとなったのは、12・28後楽園ホール大会。

長州力プロデュース興行『POWER HALL2018 YEAR END SPECIAL』の

テレビ生中継(サムライTV)の解説だった。

 

『POWER HALL』は今年の1月14日にスタートし、7月10日に第二弾、

そして今大会が第三弾となりいずれも後楽園ホールに超満員の観客を動員している。

 

やはり、衝撃的だったのは7・10大会のメイン終了後の事件だった。

6人タッグマッチで、初対戦となる秋山準にフォール負けを喫した長州の発言。

 

リングに上がるのが怖いですよね。

このままやっていたら自分自身に何か起きるってことを考えてしまう。

まあ、今年あと2、3試合で終わって、来年はすこしのオファーが残ってる。

それが終わったら、もう靴を脱ごうと思ってますね

 

事実上の引退宣言だった。

といっても、長州は1998年の1・4東京ドームで引退試合、

引退セレモニーをやっているから”引退”という言葉には引っ掛かるものがあるのだろう。

 

だから、ケジメマッチといった感じ。

そういった経緯もあって、今大会から長州のファイナル・カウントダウンがスタート。

そういうテーマを持った12・28後楽園ホールであった。

 

全6試合。

様々な団体から選手が集った。

若手から、団体のエース、王者、レジェンドまで。

 

第4試合の8人タッグマッチでは、同期のケンドー・カシン大谷晋二郎が対戦。

1990年代の新日ジュニア黄金期を支えた両雄。

対戦するのは、全日本プロレスvsZEROーONEの全面対抗戦が

行なわれていた時代以来だから、おそらく15年ぶりくらいか?

 

なんといってもジーンときたのは、

チームリーダーである2人が先発を買って出て

スピーディーなレスリングの攻防を展開したこと。

 

あっという間に25~26年前にタイムスリップ。

当時、1992年デビュー組には、中西、永田、石沢(※当時)、大谷、高岩がいた。

そこに1年先輩の小島を加えたメンバーがヤングライオン。

 

あのころの若手は簡単に試合を組んでもらえなかったし、

全試合カードの事前発表などまだなかった時代。

つまり、会場に行ってみなければ前座のカードはわからない。

 

そこで、第1試合に石沢常光vs大谷晋二郎というカードがスタンプされていると、

私は我が意を得たりのガッツポーズだった。

 

2人の素晴らしくスピーディーなレスリングの攻防が大好きだったからだ。

両者ともあの当時を意識していたのかどうか…

それを見事に再現してくれたわけである。

 

プロレスを長く見ていると、

こういう楽しみ方ができるのだ。

 

ちなみに、この8人タッグはノアの大黒柱・杉浦貴

オリンピック予選スラムで平田智也(フリーダムズ)をピンフォールして決着。

 

ただし、ある意味主役はキャリア1年、24歳の若手である平田だった。

大先輩、実力派の他の7選手に交じっても、

気持ちで一歩も退かない存在感を見せつけたくれた。

 

 

第5試合の6人タッグマッチに出場した越中詩郎は、

例によって”腕まくって行くって!”状態で元気いっぱい。

ヒップアタックの雨あられを敵チームに浴びせていった。

 

来年の1・30後楽園ホールで『デビュー40周年記念大会』を開催する越中。

もちろん、平成最後の”平成維震軍”としての出陣となる。

 

メインに登場したのは、もちろん長州力。

前回の7・10大会で希望した通り、その横に藤波辰爾が並んだ。

 

長州力&藤波辰爾&マサ北宮vsNOSAWA論外、葛西純、清宮海斗

 

なんとも、興味深いラインナップ。

22歳、史上最年少のGHC王者・清宮はどう向かっていくのか?

15年ぶりに長州と対峙する葛西は一矢報いることができるのか?

 

試合は8分余の短期戦。

ただし、過去3大会のなかではイチバン内容が濃かった。

また、長州の動きにキレがあり、リキラリアットは計3発。

 

どれもが、ズバッと決まっていた。

そこで、やはり長州らしいところが、

入場も早ければ、退場も早いこと。

 

入場の際はパワーホールがかかった瞬間にカーテンを開けて入ってきたし、

試合が決着を見て手を上げた直後にサッと引き揚げていく。

 

 

この写真、おもしろいでしょ?

本当はもっと早く撮影すればよかったのだけれど、

まだ敗れた3選手がリング上にいる状態のまま、

バックステージでは長州の囲みインタビューが始まっていたのだ(笑)。

 

 

さて、この日、サプライズゲストとしてリングに登場した武藤敬司は、

2・15『プロレスリング・マスターズ』への長州の参戦を発表。

そのバーターとして、長州ファイナルとなる6・26『パワーホール』での

武藤自身の復帰戦を発表した。

 

その前に試運転として、4月、米国ニューヨーク大会に

グレート・ムタが降臨することも決まっている。

 

じつは、次回の6・26『POWER HALL』(後楽園ホール)を

長州さんの引退試合」と初めて明言してしまったのは、

リング上から挨拶した武藤だった。

 

この時点ではフライング気味だったのかもしれないが、

いずれにしろ長州ファイナルマッチの日に、

武藤は勝負の復帰戦に挑むことになる。

 

まさしくこれは大一番であって、会場入口ロビーで行なわれた

試合後の6・26チケット先行発売には長蛇の列…。

後楽園ホールでこんなに人が並んでいるのは見たことがない思うほど、

バルコニーまでファンの行列ができていた。

 

 

さて、私自身も武藤とはひさしぶりの再会。

ゲスト解説についた武藤は、ムトちゃんらしさ全開だった。

着席するやいなや、「ひさしぶりだねえ!」と私との雑談から入る。

 

越中がトップロープから、エプロンから、会場の雛壇からとヒップアタックを連発すると、

あんまり張りきって怪我しないでよ。越中さんもマスターズに出るんだから」と本気で心配。

 

メイン終了後、長州の共同インタビューが終わると、

オレ、長州さんがなに言ってるのかぜんぜん聞き取れなかったんだけど」と

遠慮なしに本音をぶちまける。

 

やっぱり、年齢は重ねても武藤はナチュラルそのもの。

1990年代後半~2000年代前半にかけて、

一緒によく飲み歩いてプロレス談義をしていたころとまったく変わらない。

 

おそらく、どんなに膝がしんどい状態であっても、

プロレスが好き!」という気持ちにもまったくブレはないのだろう。

 

私は半分ほど長州の言葉が聞き取れた。

もっとも印象的だったのは、珍しく笑顔が絶えなかったこと。

 

最後の相手として、藤波と対戦したい!

 

すでに覚悟が決まっているからこそ、

ゴールを公にしたからこそ、

長州につかの間の笑顔が見られたのだと思う。

 

 

来年の6・26後楽園ホール。

伝説となるであろう1日。

ついに長州力がシューズを脱ぐ日がやってくる。