新日本プロレス2018年度・首都圏最後のビッグマッチ、

10・8両国国技館大会が終わった。

 

全9戦、4時間におよぶロングラン興行。

まあ、いろいろとあった。

闘いあり、サプライズあり、ブーイングあり、

すべてをふくめ一大エンターテインメントという感じ。

 

第5試合の8人タッグマッチ。

一歩踏み出す勇気」と称し内藤哲也が投入を予告してしていた

ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン第6の男(パレハ)=Ⅹは、

大方の予想通り元ドラゴンゲートの鷹木信悟だった。

 

内藤とはアニマル浜口ジム時代の同門で、年齢的にも同級生。

また、次期こそ違えBUSHI、EVILとも同門にあたる。

 

 

我道驀進」を座右の銘とする鷹木。

やはり、この男、新日本向きだし、来るべき場所にやって来た。

そんな感じがする。

 

次期、『SUPER Jr. TAG LEAGUE2018』にはBUSHIとのコンビでエントリーする。

ジュニア、ヘビーの二刀流でいける鷹木が旋風を巻き起こすこと必至だろう。

 

第6試合では、超サプライズが待ち受けていた。

EVILvsザック・セイバーJr.の因縁マッチ。

なんと、闘わずして試合不成立の無効試合。

試合開始のゴングは鳴っていないのに、終了のゴングが鳴るとはこれ如何に!

 

EVIL入場の際、それに付き添う仮面に黒装束の従者たちの間に、

白いベルトを巻いた男が紛れ込みEVILを急襲したのだ。

 

リングにEVILを上げた男はコードブレーカーから、

インターコンチベルトで殴打しEVILをKOしてしまった。

 

 

ここで来るかよ! クリス・ジェリコ。

さすが神出鬼没、世界の我がまま大スター。

 

この乱入だけのために、わざわざ米国から来日したジェリコ。

この試合のためにイギリスから来日したザックはたまらない。

また、闘わずしてノックアウトされるという赤っ恥をかかされたEVILはもっとたまらない。

 

 

かくして、11・3大阪でのIWGPインターコンチネンタル選手権、クリス・ジェリコvsEVILが決定。

さらに、今年ザックに連敗を喫している内藤とザックのシングル戦も同時決定をみた。

 

第7試合は、乱入も介入もない純粋な腕比べ。

第82代IWGPジュニアヘビー級王座決定戦が行なわれた。

マーティー・スカルの頭脳戦、インサイドワークに手を焼いたKUSHIDAであるが、

最後はクラッチを離さないバックトゥザフューチャー2連発で勝利。

 

 

これにて、まる1年ぶりの同王座奪還、堂々たる6度目の戴冠を達成。

進化する世界のKUSHIDAは、やはり新日ジュニアの主役であることを証明した。

 

ここから、セミファイナル、メインイベントへ。

この2試合で来年の1・4東京ドーム大会のメインカードが決まる。

 

まず、IWGPヘビー級王座挑戦権利証争奪戦

棚橋弘至vsジェイ・ホワイト戦。

今年の戦績は1勝1敗。

先の『G1』公式戦でジェイが勝っていることから実現した権利証マッチ。

 

ただし、私の観点はすこし違って、内容に注目していた。

というのも、両者が初対戦したのは今年の1・4東京ドーム大会。

正直にいうと、期待外れに終わった。

 

棚橋のコンディション(膝の状態)が厳しかったのと、

ジェイの経験不足が悪い方向へ出てしまったと思う。

 

タイプは違っても、オーソドックスなレスリングを身上とする両選手なら、

もっとハイレベルな闘いができると信じていただけに残念でならないのだ。

『G1』に関しては、あくまで公式戦のなかでの1試合だと位置づけしている。

 

果たして、噛み合った。

エースとサイコパスがしっかり噛み合った。

途中、外道の介入でハイフライフローでの勝利を逃した棚橋だが、

かつてのフィニッシャーである”電光石火”を彷彿させる

スモールパッケージホールドで鮮やかにピンフォール。

 

 

タナの懐の深さ、ジェイの非凡さが存分に発揮された好勝負だった。

その後、またも事件発生。

ジェイ&外道が棚橋をメッタ打ちにするさまを見て、

オカダが飛び込んできた。

ジェイと外道を成敗するためだが、結果的に棚橋を救出したカタチ。

 

ところが、そこに邪道とBULLET CLUB OGのメンバーまで登場。

オカダに加勢すると見せかけて、BULLE CLUB OGとジェイ、外道&邪道が合体。

またも、オカダをボコボコにしてしまった。

 

 

いよいよ、CHAOSにヤバイ空気が流れはじめた。

転んでもただでは起きないジェイ・ホワイト。

来年の外国人戦線は、スイッチブレイドを中心にまわるかもしれない。

 

しつこいようだが、まだ25歳でキャリア5年半のジェイ。

今年、ケニー、オカダ、棚橋の3強を倒した男。

完全に悪に染まってしまったが、私のイチオシは変わらない。

 

メインイベントは、IWGPヘビー級選手権3WAYマッチ

ケニー・オメガvs飯伏幸太vsCodyのマッチアップ。

 

期せずして実現した同志対決。

遺恨、因縁どころか、3選手の間に絆があるところがポイントである。

 

ちなみに、過去IWGPヘビーの3WAYマッチは二回実現している。

直近では、2014年5月17日、米国ニューヨーク大会

王者AJスタイルズに、挑戦者としてオカダ、マイケル・エルガンが挑んだ試合で

AJがスタイルズクラッシュでエルガンをピンフォールし防衛に成功している。

 

日本で開催されたのは、なんと13年前の同じ10月8日だった。

2005年の10・8東京ドームで当時の外敵王者・藤田和之に、

新日マット初登場のブロック・レスナーと蝶野正洋が挑戦。

 

元WWE世界王者のレスナーが圧倒的強さを発揮して、

藤田、蝶野の順に必殺のバーディクト(F5)を見舞い蝶野をフォール。

わずか8分余で新日本の至宝を強奪してみせた。

 

今回の3WAYは、34分13秒という長期戦。

3選手の複雑な心境も垣間見えた闘い模様となったものの、

最後はケニーが盟友の飯伏からフォール勝ち。

 

純粋なシングルマッチではないものの、

これまで飯伏にシングル3連敗を喫しているケニーが一矢報いる結果となった。

 

終わってみれば、ケニーの防衛。

それが正直な感想。

3WAYという特殊な試合形式のため、

最高峰を競い合うIWGPヘビー級選手権というカラーが薄く感じられたのも事実。

 

そこを思いきり衝いたのが、試合後に権利証の入ったブリーフケースを持ってリングインした棚橋。

1・4東京ドームで雌雄を決することになったケニーと棚橋が対峙した。

 

 

マイクを持った棚橋は、滑舌よくハッキリとこう言ってのけた。

 

「ケニー、オレは怒ってるよ。

みんな拍手してたけど、ここは新日本だから。

ああ、オレがあえて言ってやるよ。

ケニー、オマエ、賞味期限切れだ。

東京ドームで決着つけようぜ!」

 

これまで、さんざん煽られてきた棚橋とケニーのイデオロギー闘争。

飯伏は、「アスリートプロレスvs棚橋プロレス」と称していたが、

棚橋の発した言葉にはそれ以上の感情が込められているように思えた。

 

オレは、怒っているから

 

ここは新日本だから

 

賞味期限切れだ

 

この3つに集約されるタナの弾ける感情。

翌9日に開催された記者会見でも、なんと1時間にわたって

両選手はイデオロギーをぶつけ合った。

 

そこから私が感じたこと。

キーワードは、「ここは新日本だから」だと直感した。

 

そのキーワードを紐解くためには、

13年前のIWGPヘビー級選手権3WAYマッチにまでさかのぼってみる必要がある。

 

そういうわけで、私独自の見方で10・8両国大会を検証し、

さらに、棚橋の激情を推理してみた。

 

今回も、新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて、

ガッチリと書いてみたので、是非ともチェックしてみてね。

 

『号外! “GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』

今回は「波乱づくしの10.8両国を大総括!

 棚橋の言葉『ここは新日本だから』の意味とは?」

https://www.njpw.co.jp/166458

 

【おまけ】

 

大会終了後、国技館のバックステージに悲鳴が轟いた。

女性ならまだしも、男が悶絶する叫び声。

 

当日、試合をすることなく終了のゴングを聞いてしまったせいか、

ストレスの塊と化したザックがそれまで穏やかに話していた

東スポ・岡本記者に突然、コブラツイストを仕掛けた。

 

 

そりゃあ、相手は素人だから手加減はしているだろうけど、

サブミッションマスターのザックに極められては堪らない。

いやあ、ベストショットでした(笑)。

 

お次は、大会後のJR両国駅東口での出来事。

友人たちと食事を終えて外を歩いていると、

世界に二人といないであろうド派手な服装のオッサンを発見!

 

 

あっ、やっぱりターザンだ!

というわけで、数年ぶりに出会ったターザン山本!氏と記念ショット。

後方に、はためく「秋刀魚」の三文字。

すっかり肌寒くなり季節の移ろいを感じるなあ……以上!