約1ヵ月に及ぶ長期シリーズ、『G1 CLIMAX28』が

8月12日、日本武道館でフィナーレを迎えた。

 

優勝決定戦が行われる武道館3連戦の最終日は、

当然のようにチケット完売。

1万2112人(札止め)の大観衆で埋まった。

 

優勝戦に駒を進めたのは、

14点(7勝1敗1分け)をゲットし単独首位で勝ち上がってきたAブロックの棚橋弘至と、

12点(6勝2敗)で勝ち上がってきたBブロックの飯伏幸太。

 

Bブロックの場合、4選手が12点をあげ同点首位に並んだものの、

他の3選手(ケニー・オメガ、内藤哲也、ザック・セイバーJr.)との

直接対決にすべて勝っている飯伏が堂々のファイナル初進出となった。

 

メインイベントを控え、館内のムードは最高潮へ。

ただし、明らかに「飯伏、初優勝!」を後押しする声のほうが多かった。

プロレスにかぎらず、そこはどんなジャンルでも同じ。

ニューヒーロー誕生を期待するのが、ファン心理というものだ。

 

ところが、両選手の入場でまたムードが変わった。

飯伏のセコンドにケニーがついていたのは予想通りであったが、

なんと棚橋のセコンドとして同期デビューの柴田勝頼が寄り添っていたのだ。

これによって、会場の空気はイーブンとなる。

 

凄まじく、素晴らしい闘いだった。

「俺の新日本プロレス」を貫く棚橋と、

レスラー人生のすべてを懸けて挑んでいく飯伏。

 

エルボー合戦、張り手の応酬が延々とつづく。

技術を超えた意地と気持ちのぶつかり合い。

 

 

試合タイムは、35分ジャスト。

右手を突き上げていたのは棚橋だった。

 

 

「新日本プロレスを見せてくれ!」

試合前、棚橋にそう言った柴田が満面の笑みで、

ライバルであり盟友を肩車して勝利を称える。

 

敗れた飯伏に棚橋が近づていった。

握手、抱擁をだれもが予感したシーン。

ところが、飯伏はそれを拒絶して無言で引き揚げていった。

 

これが、飯伏の覚悟の証。

この1ヵ月、『G1』にすべてを懸け挑んだ男の意地だろう。

 

 

どちらが勝ってもおかしくはない闘い。

どちらが勝ってもハッピーエンド。

だからこそ、この勝負の結果はよけいに非情なのだ。

 

36年(の人生)でイチバンがんばった1ヵ月だった気がしますね。

それでも、まだ超えられませんか?

なにがなんでも立ってみせます。

僕は諦めないです

 

2年前、米国WWEから最高の条件で契約のオファーを受けながらそれを蹴って、

日本を選んだ男、新日本マットを選んだ男が飯伏幸太。

 

こんなレスラーは他に2人といないだろう。

早熟の天才は、強い意志で再スタートを誓った。

 

 

もう飯伏の体力、気持ち、技術、なにをとってもぜんぶ俺より上だと。

それぐらいの評価はしている。

あとは、心のもちようひとつなんですよ。

べつに新日本プロレスじゃなくてもいいじゃないか。

プロレス界、さらに大きなスケールで、『俺がぜんぶ引っ張ってやる!』

っていうことを言葉に出す。態度で見せる。

もう、ホントに言うことないと思ったけど、これで最後にします。

(飯伏は)わかってると思うから

 

最大級の賛辞とともに、

プロレス界のエースとして、

飯伏にラストメッセージを送った棚橋。

 

 

2日前、オカダ・カズチカと30分時間切れの大激闘を展開し、

3年ぶりの優勝戦進出決めた棚橋は笑顔でこう言った。

 

「俺の夢はまだ続いているから!」

 

その言葉に嘘はなかった。

いや、その夢は我々の想像さえも凌駕するものだった。

 

名実ともにエースとして頂点に返り咲いた棚橋は、

2019年1・4東京ドーム大会メインイベントのIWGPヘビー級王座挑戦権利証を手に入れた。

 

その権利証を懸けて闘う相手として、

オカダを逆指名したのだ。

 

過去のシングル戦績、4勝5敗3分け

もっともハードルの高い、強い相手との対戦を自らぶち上げた。

 

その先に見据えるのは、あのケニー・オメガだろう。

現代プロレス、トレンドの最先端をいく男にして、現IWGPヘビー級王者。

 

俺の新日本プロレスを貫くためには避けては通れない男。

棚橋vsケニー、2010年代最大のイデオロギー闘争ともいえるだろう。

 

夢の続きは、あまりに壮大である――。

 

さて、今回も『新日本プロレスオフィシャルスマホサイト』にて、

『G1 CLIMAX28』総括レポートを書かせてもらいました。

 

『G1』全体を振り返って総括すれば、それこそ本(雑誌)一冊分の長文となってしまいそうなので、

今回は、優勝戦で相まみえた棚橋と飯伏に焦点を絞って書かせてもらいました。

 

それにも関わらず、文章量は余裕で1万字を超えてしまったのです(笑)。

タナ、飯伏と交わした裏話も満載、さらに私が勝手に選出した『G1』各賞も発表。

是非とも、チェックしてみてくださいね!

 

『号外! “GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』

「棚橋弘至、飯伏幸太、二人の主役から見た『G1 CLIMAX 28』を大総括!

 個人的各賞&ベストバウトも発表!」https://www.njpw.co.jp/161580

 

【おまけ】

 

 

8・12日本武道館で初対面の挨拶を交わし、

記念撮影に収まった蝶野正洋とメイ社長。

メイ社長、やっぱり大きいワ!

 

 

当日、テレビ朝日の特番撮影も行なわれた。

優勝インタビューを終えた棚橋をライガー、子供たちなど出演者が訪問。

子どもたちの直撃インタビューに、慣れた感じで答える棚橋。

 

さすが、「ベストファザー賞」を受賞した逸材だ。

なお、このシーンもふくめた番組は、8月19日(日)午前10時からオンエアされる。

 

★番組情報
番組名:『ファミリープロレス 仮面ライダービルドもビックリの必殺技大集合SP』
放送日時:8月19日(日)朝10:00~11:00(テレビ朝日系列 地上波 全国ネット)
※一部地域は放送時間が異なります

https://www.njpw.co.jp/161560