『G1 CLIMAX28』日本武道館大会3連戦の2日目、
8・11武道館大会には、1万2023人(札止め)の大観衆が詰めかけた。
ここまでギッシリと埋まり、大歓声が地鳴りのように響いてくる
日本武道館の会場は本当にひさしぶりに見たし、その空気を体感した。
前半戦は意外に淡々と進行した感もあったのだが、
やはり火が点いたのは第7試合のBブロック公式戦から。
石井智宏vsSANADA戦からドカーンときた。
Ⅴ戦線に絡んでくる試合は、セミの内藤哲也vsザック・セイバーJr.から。
内藤が勝てば、メインを待たずして飯伏幸太が脱落となる。
無論、会場は「内藤コール」一色に包まれていたのだが、
どこかでメインまで期待をつないでほしい空気も漂っていたような気がする。
そこで、ザックが大仕事をやってのけた。
スポークスマンとしてザックについているTAKAみちのくは、
その前口上のなかに『G1』から新たな項目を付け加えた。
「一撃必殺のザック・ドライバーも身に付けた……」というフレーズ。
つまり、TAKAが元祖の使い手であるみちのくドライバーⅡをザックに伝授したという意味。
ところが、ここまでザック・ドライバーは公式戦で一度も公開されていない。
そこが落とし穴というか、
最後の最後で爆発。
見事なザック・ドライバーで内藤からピンフォールを奪ってみせたのだ。
「してやったり!」のザック&TAKAコンビ。
Bブロックの決着戦はメインへと持ち越された。
約6年ぶりに実現する飯伏幸太vsケニー・オメガのゴールデン☆ラヴァーズ対決。
場所も、同じ日本武道館。
しかも、勝ったほうがBブッロク代表権を得る。
舞台は、明らかに出来上がっていた。
これ以上ないほどに気合の入っていた飯伏。
やりたくないけど、やらなければいけない。
やらなければ、優勝戦に進めない。
盟友だからこそ、
互いの危険度を知り抜いているからこそ、
やらなければやられてしまう。
飯伏幸太vsケニー・オメガ。
完全に弾けた。
アリーナ席の大観衆によるストンピングが何度もこだまする。
ケニーが、エプロン上でひとでなしドライバー(※ブカネロ・ストーム)。
飯伏がトップロープから雪崩式タイガードライバー。
いったい、どこまでいってしまうのか?
だが、ケニーの片翼の天使を完封した飯伏が、
2発目のカミゴェで大激闘に終止符を打った。
この瞬間、棚橋弘至vs飯伏幸太による優勝決定戦が決まった。
試合後、ノーサイドでインタビュースペースに現れた飯伏とケニー。
ケニーのコメントはすべて日本語でしっかりとしていたが、
時おり頭を抱え込む飯伏はそうとうなダメージを被った模様。
もしかしたら記憶が飛んでしまったのかもしれない。
「明日はだれ?」
「タナハシ」
勝った飯伏がケニーに確認するシーンも見られたほど。
最後には、「行こう!」と飯伏がケニーを促して立ち去るという珍しい光景も。
この『G1』を全力で突っ走ってきた飯伏。
地方ツアーでの移動の際に顔を合わせる機会もあったが、
なにか今までの飯伏とは違う空気をまとっていたようにも思う。
今こそ勝負のとき。
今こそ自分を変えるとき。
今こそ階段を駆け上がるとき。
彼を見ていると、そういう気持ちが伝わってくるのだ。
昨年、棚橋とはシングルマッチで1勝1敗。
神と崇める棚橋を超えるために開発したカミゴェ。
「覚悟はあるのか!?」
昨年の11・5大阪大会でインターコンチ王座に挑戦し敗れた飯伏は、
試合後、棚橋からそう問われた。
もちろん、「オマエには、プロレス界を背負っていく覚悟はあるのか!?」
という意味である。
その問い掛けに答えを返すときがきた。
本日、棚橋vs飯伏の『G1』優勝決定戦。
さあ、時は来た!