いやはや、怒濤の5時間興行だった。
大会2週間前に前売りチケットがソールドアウトとなった
6・9大阪城ホール大会。
フタを開けてみれば、立ち見の当日券も完売して
1万1832人(札止め)の大観衆を動員した。
全9戦、6大タイトルマッチと、
カード編成はまさにドーム級。
2018年上半期の総決算と呼ぶに相応しい大会となった。
さらに、これも異変といっていいのだろう。
NEVER無差別級選手権、IWGPタッグ選手権、IWGPジュニアヘビー級選手権、
IWGPインターコンチネンタル選手権、IWGPヘビー級選手権の5大タイトルが移動。
1大会でこれだけベルトが移動するという事態も、
ちょっと記憶にないのだ。
あまりに濃密すぎた5時間余であったけれど、
そのなかで唯一、放送席にいながらファン気分に浸れたのが、
第6試合のスペシャル6人タッグマッチ。
棚橋弘至&獣神サンダー・ライガー&レイ・ミステリオJr.
vsCody&ハングマン・ペイジ&マーティー・スカルの顔合わせ。
絵に描いたような善vs悪、ベビーvsヒール。
ミステリオが狙った619をことごとく阻止するBULLET CLUBにブーイング。
私も心の中で、大ブーイング!
ところが、最後の最後に出ましたよ。
ペイジ&スカルに2人まとめての619。
ワタクシ、解説者の立場を忘れ両拳を突き上げてしまったのだ(笑)。
メインイベント第1試合のインターコンチネンタル選手権。
ヒールというより、狂乱ファイターと化したクリス・ジェリコによって、
右目付近から出血させられた内藤哲也。
その後、内藤のなかで違うなにかが初めて弾けた。
コスチュームでジェリコの首を絞めあげて、
真っ二つに割れた机の破片で脳天を一撃。
どこかで見たことのあるムーブ。
誰かに似ている。
そう、グレート・ムタだ。
もともと、少年時代から武藤ファンだった内藤のパフォーマンスは、
武藤敬司にインスパイアされている部分がある。
それが、初めて狂乱ファイトというカタチで、
ムタを彷彿させるように爆発したのだ。
ただし、結果的にベルトはジェリコへと渡った。
WWEで9度、インターコンチ王座を巻いた男が、
新日本のインターコンチまで制覇してしまった。
内藤のリベンジは?
それとも、次はEVILがいくのか?
メインイベント第2試合。
過去の戦績=1勝1敗1分けで迎えた決着戦。
オカダ・カズチカvsケニー・オメガ。
IWGPヘビー級選手権史上初となる
時間無制限3本勝負という特別ルール。
予測不可能、想像不可能なマッチアップ。
新日本プロレスにおいてシングルのヘビー級タイトルマッチに
3本勝負が採用されていたのは1970年代後半までの話。
引分け、両者リングアウトなど不透明な部分を排除するために、
完全決着重視で新日本はいち早く1本勝負を主流としたのだ。
現代プロレスに蘇った3本勝負。
しかも、1年前の大阪城ホールでは、
60分間闘いぬいてドローに終わっている両雄。
「ケニー、去年の大阪城のつづきをやろうぜ!」
そのオカダの指名から決定した試合なのだが、
つづきというには余りに過酷な3本勝負。
両者、コンディションは万全ながら、
未知の領域へと踏み込んだ一戦。
共通するのは、「1本目が重要」という認識だった。
だから、当然のごとく1本目からスパートがかかる。
未遂に終わったものの、レインメーカーにも片翼の天使の体勢にも入った。
1本目=〇オカダ(28分47秒、エビ固め)
2本目=〇ケニー(19分10秒、片エビ固め)
3本目=〇ケニー(16分53秒、片エビ固め)
トータルタイム=64分50秒
ゴールの見えないトライアスロンレース。
プロレスを超えたプロレス。
3本というより、3試合を見せつけられた思い。
名勝負だとか、ベストバウトという表現さえ
チープに感じてしまうほどの極限の闘い。
2年間の長期政権から陥落したオカダ。
第66代IWGPヘビー級王者となったケニー。
歴史に残る凄絶戦だった。
今大会に関しても、新日本プロレス『オフィシャルスマホサイト』にて、
6・9大阪城ホール大会総括レポートを書いていますので、是非とも!
『号外! “GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』!
「プロレスがついにここまできた」オカダvsケニーの極限死闘をどう観たか?
6.9大阪城決戦を大総括!http://www.njpw.co.jp/152014
【追伸】
テレビ朝日『ワールドプロレスリング』を9年間担当し、
この3年はチーフ・ディレクターとして大活躍してきた今井和宜さんが、
今回の6・9大阪城ホール大会をもって、
プロレス班から離れることになりました。
「今井さんあってのワープロ!」
この言葉に間違いはありません。
39歳を区切りにプロレスから一旦離れ、
新しい自分探しの旅に出るそうです。
だけど、もちろんプロレスは大好き。
またいつか、今井さんが陣頭指揮を奮うことだってあるかもしれません。
私も、今井さんには本当にお世話になりました。
ひと回り以上の年齢差などまったく関係ないとばかり、
地方出張となると二次会、三次会とよく一緒に飲み明かしたものです(笑)。
6・9大会終了後の打ち上げ&反省会。
最後は、今井さんの送別会となりました。
なんと、吉野真治アナウンサーが泣いています。
先輩アナだった古澤琢さんの送別会でも涙は見せなかったのに…。
上司の櫻井健介プロデューサーも涙。
そして、当然のごとく野上慎平アナはボロ泣きでした(笑)。
そうそう、レジェンドの田畑祐一アナウンサーに熱烈オファーを出して、
プロレス実況の現場へと引き戻しちゃったのも今井さんなのです。
ぱっと見、DAIGO似のイケメンでもある今井さん。
今後の活躍…期待&応援しています。
Nos vemos