個人的にも大好きなジュニアの季節到来!

 

BEST OF THE SUPER Jr.25』が

5・18&19後楽園ホール2連戦から開幕した。

 

初日=1691人(札止め)、

2日目=1721人(札止め)と、

大入りの後楽園ホール。

 

オカダも棚橋も内藤もいない。

後藤も真壁もケニーもいない。

 

それでも、この人気ぶり。

やはり、『G1 CLIMAX』より長い歴史を持ち、

次々と新たなスター、名勝負を生み出してきた『スーパーJr.』は特別なシリーズ。

 

KUSHIDAや高橋ヒロムが唱える通り、

『スーパーJr.』の優勝戦が両国国技館や日本武道館で開催される日も、

そう遠くない日のような気がしてくる。

 

18日、Aブロック公式戦のメインイベントでは、

現IWGPジュニアヘビー級王者のウィル・オスプレイと、

ボーンソルジャーとしてBULLET CLUB入りした石森太二が対戦。

 

新兵器のブラディークロス(ブラディーサンデー&コードブレイカー)で、

石森がオスプレイから初戦白星をゲット。

 

さすがに実力者の石森。

この勝利でスーパーJr.のⅤ候補に躍り出ただけではなく、

IWGPジュニア王座への挑戦権にも王手といった感じ。

 

でも、なんといってもこの身体だよなあ。

シックスパックに割れた見事な腹筋。

おいらなんか、この数年、見事に横割れのツーパックだもんなあ(笑)。

 

さて、この日は4試合行なわれたAブロック公式戦。

予想を覆して、ベストマッチとなったのはタイガーマスクvs金丸義信戦

『スーパーJr.』のオープニングカードでもあった同公式戦なのだが、

正直いって注目度は低かった。

 

ともにキャリア20年を超えるベテランとあって、

いまのジュニア界を見て彼らをV候補に推す声はほとんどない。

現代ジュニアの試合を観慣れたファンからすれば、

試合内容にもそれほど期待はしていなかったろう。

 

 

ところが、やってくれた。

金丸のダーティ攻撃はこの日も冴えわたる。

凶器として使用したのはウィスキーではなくヤングライオンだった。

 

場外でダウンしたタイガーの上に若手の上村をボディスラム。

さらに、場外のタイガーを目がけて、リングに引き込んだ若手選手を放り投げる。

リング内から投げられた成田はレスラー人生初の

トぺ(プランチャ)・スイシーダをタイガーに炸裂させる破目となってしまった。

 

金丸ペースの試合のなか、金丸が勝負へ。

雪崩式ブレーンバスターから首のクラッチを離すことなく、

身体を反転させた。

 

フォール狙いというより、そのまま連続でのタッチアウト(旋回式垂直落下ブレーンバスター)を

狙ったのではないだろうか?

その一瞬のタイミングで、待ってました!とばかりタイガーが大逆転。

金丸の両脚を自分の両脚で絡め、エビ固めで3カウント奪取。

 

 

斬新にして、見事なフィニッシュだった。

これぞ、ベテランの職人技。

 

試合後、バックステージのインタビュースペースに向かうタイガーとチラッと話した。

 

「斬新だったねえ、素晴らしいフィニッシュでした!」

 

アレは昔、佐山先生(初代タイガーマスク)が試合で使ったことがあって。

それを思い出してやったら、ハマりましたねえ(笑)

 

若いから、飛べるから、速いから…それだけがジュニアではない。

タイガーvs金丸、初日のベストバウト獲得!

 

 

2日目のBブロック公式戦では、好勝負が続出した。

メインを飾ったのはヒロムvsマーティ・スカルの異色対決。

 

7割がたスカルペースで試合は進んだものの、

ヒロムが執拗な”D”(三角絞め)でレフェリーストップ勝ち。

そういえば、ヒロムは凱旋前にROHや米国インディーで活躍中に、

ブラジリアン柔術の道場にも通っていたから、こういった隠し技も持っているのだ。

 

この『スーパーJr.2018』、今年のシリーズのなかでイチバン面白かった、

『G1 CLIMAX』より面白かった!って言わせてやるよ!

 

ジュニア№1人気のヒロムがすこしサイコチックながら魂の雄叫び。

ジュニアを背負っているのはオスプレイ、KUSHIDAだけじゃない!

そういう思いまで無言で訴えているかのようだった。

 

2日目の公式戦は4試合とも見どころたっぷり。

そのなかで、あえてベストマッチを決めるなら、

ドラゴン・リーvsSHO戦を推したい。

 

 

CMLLの4・20アレナメヒコ大会で、カリスティコ(初代ミスティコ)とドリームマッチを行なった際に、

右足の太腿を負傷(肉離れ?)したリーは担架で退場している。

全治3週間との診断から、『スーパーJr.』欠場説も流れていたが、

負傷箇所をテーピングしたリーはいつも通りの全力ファイトを披露した。

 

一方、ロッポンギ3KのSHOもここ最近はいいところがなかった。

IWGPジュニアタッグ戦線から脱落した感もあって、

パートナーのYOHともども脇役に甘んじてきた。

 

ところが、その両者の一騎打ちが大爆発した。

過去、CMLLでは8人タッグで一度対戦しただけだから、

これが正真正銘シングル初対決ながらガッチリと噛み合ったのだ。

 

メキシコ、日本を股にかけ名勝負数え唄を展開している

ヒロム(元・カマイタチ)vsリー戦にも劣ることのない激しさだった。

 

打撃戦、空中戦、サブミッションと一歩も退かない両者。

そのハイライトシーンは…エプロンでティヘラを仕掛けたリーに対し、

こらえたSHOがそのままパワーボムでリング内へ投げ捨てた場面。

 

ホールが大爆発した。

 

レスリングのベースがあるSHOは背筋力が抜群に強いし、

米国修行時にはダニエル・グレイシーのもとで柔術を学び、

総合格闘技の試合にも出場している。

 

そういった財産、武器のひとつひとつが、

この一戦で遺憾なく発揮された。

凱旋以来、最高のSHOを見せてもらったような気がする。

 

 

敗れはしたものの、

まさに…SHO TIME!

 

もう1試合、ドラマとストーリーを感じさせてくれた一戦があった。

KUSHIDAvsクリス・セイビン戦。

 

KUSHIDAの前パートナーはアレックス・シェリー

シェリーとのタイムスプリッターズは新日ジュニアタッグ戦線の顔でもあった。

 

そのシェリーの元パートナーにして、現パートナーが、

クリス・セイビン。

 

 

シェリー&セイビン。

モーターシティ・マシンガンズ

かつてTNA(現インパクト・レスリング)を席巻したモーターシティ・マシンガンズは、

世界最先端のタッグチームと呼ばれ、タッグマッチの歴史を変えたといわれた名コンビ。

 

いまに例えるなら、ヤングバックスの元祖的存在。

 

2009年の1・4東京ドームでは、IWGPジュニアタッグ王座を奪取。

2010年末には、TNA世界タッグ王者として来日し、

宿敵であるAPOLLO55(プリンス・デヴィット&田口隆祐)、

ノーリミット(内藤哲也&裕次郎)の2チームとも対戦している。

 

おもしろいのは、彼ら2人は日本で出会ってタッグを結成したこと。

2006年8月、ゼロワン(当時ZERO‐ONE MAX)にたまたま同時来日した

シェリーとセイビンは意気投合し、それから本格的にタッグを組みはじめた。

 

また、セイビンは2007年6月開催の全日本プロレス『ジュニア・ヘビー級リーグ戦』に出場し、

優勝決定戦で近藤修司を破り初出場・初優勝を達成。

 

同年8月には、全日本の両国大会で当時、中嶋勝彦が保持していた

世界ジュニアヘビー級王座に挑戦し、惜敗している。

 

大会後、取材も兼ねて健介ファミリーと食事をさせてもらったのだが、

そのとき聞いた北斗晶のひとことがいまも耳に焼き付いている。

 

今日は結果的に勝彦が勝てたけど、まだまだですね。

相手のほうが一枚も二枚も上だったし、いい選手ですよね

 

どうにもこうにも、得意の昔話になって申し訳ないのだが…

モーターシティ・マシンガンズが日本で生まれたこと、

シェリーはゼロワンで才能を開花させ、セイビンは全日本で実力を見せつけ、

そして、世界最先端のチームとして新日本マットに上陸してきたこと。

 

そういう、日本マットとの深い関係があるから感慨深いのだ。

そして、それを私以上に感慨深い思いで見てきたであろう男がKUSHIDA。

 

セイビンが二度にわたる大怪我を負い、

セミリタイア状態にあるとき、

シェリーと新チームを結成したのがKUSHIDA。

 

そして、事実上、タイムスプリッターズは解散状態となり、

セイビンの本格復帰によりROHでモーターシティ・マシンガンズが復活。

 

かつてのKUSHIDAにとって、モーターシティ・マシンガンズ、

シェリー、セイビンは憧れというか、雲の上の存在でもあった。

そんなセイビンと新日ジュニアのエースとしていま、わたり合うこと。

こんなドラマチックなストーリーはなかなかないだろう。

 

 

だから、KUSHIDAの思いがところどころで垣間見えた。

セイビンが狙ったクレイドルショックを切り返すと、

シェリーのフィニッシャーであったオートマティック・ミッドナイトの体勢へ。

 

それを切り返すセイビン。

最後は、クレイドルショックを2カウントでキックアウトされたセイビンが、

最終兵器のオール・へイル・セイビンでKUSHIDAから白星をゲット。

 

試合後、ノーサイドで両者は健闘を称え合った。

そう、友だちの友だちは友だちなのだ。

 

個人的には当初、「なぜ、いまさらセイビンなの?」と思っていたのだが、

その力はまったく衰えていなかった。

 

 

公式戦の枠じゃ語り尽くせないものが、僕とセイビンにはあって。

8年前じゃ考えられない。

この場所、このリングで、この『スーパーJr.』で、

クリス・セイビンと闘うことができるなんて。

こうやってクリス・セイビンを語れるのも、

この『スーパーJr.』のなかでKUSHIDAだけでしょう。

とにかく未知数すぎて、苦手な半分、楽しかったですけどね

 

とにかく、さまざまな思いが交錯してのリング上だったのだろう。

もちろん感傷に浸るだけではなく、最後はKUSHIDAから2連覇宣言も出た。

 

やはり、その歴史とドラマを知っていると、

試合を観ていて格別な思いにとらわれる。

それを痛感させられた。

 

【おまけ】

6月23&24日、横浜赤レンガ倉庫イベント広場で開催される

鈴木みのるのデビュー30周年記念野外フェスティバル

大海賊祭』のポスターが完成した。

 

デザインは、イラストレーターの左右田薫さん。

 

 

よーく、見てください。

なぜか、佐藤光留らしき男がエロ本(?)を手にしているのだ(笑)。